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人気者の令息がなぜか無愛想で研究しか興味のない令嬢の婚約者になった  作者: 徒然草


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4.ペナルティメイト

 最後から2番目の話です。


 ペナルティ・メイト男爵令嬢は両親に勧められてアレク・モルテ伯爵令息の婚約者になった。アレクが人気者である事は知っており、特に何の繋がりもないペナルティが何故婚約者に選ばれたのか疑問だった。だがペナルティは他に好きな人もいなかったし、地位が上の伯爵令息の婚約者になれるなんて嬉しいとも思ったので喜んでこの婚約を受け入れた。しかし数ヶ月、ペナルティは後悔する事になった。


「アレク様、優しい方ではあるけどもう限界だわ…。」


 ペナルティはとある貴族の集まりにアレクと共に参加していたが、ペナルティよりも友人と楽しそうに話すアレクに思う所があり、1人になりたくて外の庭に出ていた。思わず独り言を呟いて落ち込んでいると。


「メイト男爵令嬢、今お話をしてもいいかしら?」


「っ!?」


 突然声が聞こえて顔をあげると、ファースト・ラビリンス侯爵令嬢と10名以上の令嬢達がいつの間にかペナルティを見ていた。


「……え、何事ですか?」


 思わずペナルティは身の危険を感じてしまった。



◇◆◇



「…では、誰がアレク・モルテ伯爵令息の婚約者に相応しいのか話し合いましょう。」


 ペナルティはファースト達の話と不思議な黒猫によって全ての状況を理解した。アレクの事が好きな令嬢達は全員、婚約者になると後悔してしまった。次に政略的、もしくは中々婚約者が見つからないという令嬢にアレクの相手をさせてみたが結局、同じような理由で上手くいかなかった。


「…もう、モルテ令息は誰とも婚約しない方がいいのではないかしら?」

「何言ってるのよ、貴族である以上婚約は義務みたいなものよ!」

「でも、婚約者へのあの態度は我慢ならないわ。モルテ令息に悪意はないからこそタチが悪いのよ。」

「そうですね。もういっそ性格が悪い方なら諦められるのに、モルテ令息が優しい方なのは知っているから期待してしまいますよね。」

「…モルテ令息より、いえ誰かとの愛よりも大切なモノがある方はいないかしらね?」


「誰かとの愛よりも大切なモノ?」


 最後の言葉、セブン・ティーン伯爵令嬢の言葉にファーストは反応した。


「はい、例えば絵や刺繍みたいな趣味とか。」

「成程…でも私は自分で紅茶を入れる事に興味が強いですが、流石に婚約者という存在は大きくてダメでしたわ。趣味程度では弱いかもしれませんわ。」

「…私もそう思います。それにモルテ令息の事だけならまだしも、モルテ令息の友人から“アレクの事を真剣に愛していないのか!”って睨まれてしまった事があって…。」

「私もですわ! モルテ令息があまりにもデートのキャンセルが多いので怒ったら、ご友人達に“アレクを束縛するな、婚約者はモノじゃない!”だなんて…理不尽でしてよ!?」

「…分かります。モルテ令息のご友人は正直厄介ですよね。」

 

 全員が溜息を吐いた。婚約者がいるのに何度もアレクと約束をして会い、婚約者である令嬢を批難する友人達の存在は不快だった。何度も繰り返す内に、おそらくアレクはデートの約束をしている事を友人には言わず、予定を確認するとか言って返事を保留している可能性が出てきた。アレクには悪気は全くないのだろう。“絶対に来てくれ”、“困っているんだ”という言葉を友人に言われて“デートだから無理”、と言って断れないと思ったのではないかと思う。けれど婚約者になった立場からすると、その数の多さに蔑ろにされていると不快に思ってしまうのだ。



「愛よりも大事なモノがあって、友人達の言葉にも傷付かない。そしてアレクの行動を何とも思わない、むしろ良いとすら思える相手は居ないかしら?」


「つまり、デートをキャンセルされるのがむしろ良いと思う人って事?」




「………………あっ!」


 そんな人いるのだろうか、と全員が黙り込む。沈黙が続く中、ペナルティが声を上げた。全員がペナルティの方を向くと、ペナルティは恐る恐る口を開いた。


「あの、ラスト・ハーピー伯爵令嬢は…如何でしょうか?」


「ハーピー伯爵令嬢…あの研究熱心な変わり者の?」


 ラスト・ハーピーは交友関係を持たず、研究ばかりしている伯爵令嬢に相応しくない令嬢として良くも悪くも有名だった。ラストならばデートなんて面倒臭いと思っても不思議ではなかった。それに面と向かって伯爵令嬢に相応しくない、と言われてる場面を見た事があるが本人は何も気にしていない様子だった。それなら、アレクの友人達に何を言われても平気かもしれない…。


「…悪く、ないかもしれないわね。」


「そうですね、それに上手く行きそうになかったら巻き戻せばいいのですからやってみましょうよ!」


「…そ、そうね。」


 ファーストは何とも言えない顔をしながら頷いた。

ペナルティはまだ巻き戻しの体験をしていないが、ファーストやセカンドは何度も繰り返しているのだ。この巻き戻しを始めたのがファーストだとしても本当は精神的にキツイのかもしれないと、ペナルティは不憫に思った。


「…それじゃあ、お願いします黒猫さん。」


「任せてよ。」


 こうして、次のアレクの婚約者はラストになった。



 ペナルティメイトは、スペイン語で最後から2番目という意味らしいです。次で最後になります!

ここまで読んで下さりありがとうございました!!

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