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壊れた明日も Another-Tia
忘れていた時の記憶。消えゆく星の光のように。
一つだけ、願いが叶うなら。
本当の名前を知りたい。
私は知っているの、私のお父さんは他にいる。今いるお父さんはお父さんじゃない。
いつの間にか私のそばにはあの人がいて、育ててくれた。だけど違う、違う気がする。
本能とも違うだけど確信がある。
何か忘れている気がする。
誰かの声が…こびりついている。
目が覚めた。私の部屋、私のベッドの上。
「ティア?どうかした?」ドアを少し空けた隙間からお父さんが顔をのぞかせる。「…ちょっとだけ、怖い夢を見たの。」暑くもないのに汗が滴る。「そっか。」ドアを閉めようとするお父さんに、聞かずには居られなかった。「お父さんは…お父さんなの?」お父さんはキョトンとしていた。
頭をポンポンと撫でた後、お父さんは微笑んだ。
私のお父さんは偉い人なんだ。私のお父さんは凄い人なんだ。
私のお父さんは…ずっとお父さんでいてくれるの?
誰かの名前は本当の名前じゃないのかも知れない。誰かが私を呼んでいる。その名前もまた、本当の名前じゃないのかも知れない。




