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安楽椅子の魔女 〜四人の死に戻り令嬢と暗黒のお茶会〜  作者: 平沢ヌル
第四夜 シセリアの弑逆
22/25

第22話『グザヴィエ』

犯人の名前を指摘するシセリア。そして最後の瞬間に、彼女は何を見て、聞くのか。

 魔女が指を鳴らすと、時間が巻き戻り始める。


 奇妙な感覚。今までは、見ていた光景が消えて、それが形作られるだけだった。

 だけど、今は高速で時間が巻き戻っていく。後ろ向きに歩く人間たち。

 どうやらこれから見ることになる光景は、さっきの死の場面からほんの少し前に、この場で起きた出来事らしかった。




 ——王女シセリアの革命は、シセリアが思った通り、計画した通りには行かなかったのだ。

 シセリアが女王位を掌握して程なく、ある噂が流れ始めた。

 ルイ王子の焼死とジョルジュ王子の失脚、それは全て、シセリアが計画したことだと。

 シセリアはその噂を、軍隊を使い、力で押さえ込もうとした。

 だが、それは失敗した。

 やがて軍隊がそっくり、シセリアに反旗を翻した。

 噂の出所、そしてクーデターの首謀者は、女王の共謀者、元牢番のグザヴィエだった。——




『……どうしてですか』

『ご自分が、一番よく理解していることでしょう』


 それはグザヴィエだった。

 黒いフードに黒いマント、何度となく見てきたグザヴィエの姿で、唯一フードはその顔を覆っていない。短い黒髪に精悍な顔立ち、その顔面には真一文字に傷が走っている。

 グザヴィエは同じような格好をした数人の兵士たちとともに、槍を手にして、シセリアを玉座に追い詰めている。


『どうしてですか、グザヴィエ』

『王国は滅びねばならない。これは、あなた自身の言葉です』

『だから、私たちはこの計画を実行した。そうでしょう』

『そう。ラマルタン王家の血を引くものは、全て殺した、あなたが。そして最後にあなたが死に、王国は滅亡する』

『あなたは、最初から……』

 そう言いかけて、シセリアは言葉を失う。


 最初に言い出したのは、計画したのは誰だったのか。

 グザヴィエか、それともシセリアか。

 思い出せない、どうでもよかったのかもしれない。

 どちらでもあり、どちらでもなかったのかもしれない。

 そこまでに、二人は一心同体だったのだから。


『あなたを一人にはいたしません。最後の仕事を片付けたら、私もそちらに向かいます』

 そう言って、グザヴィエは、そして周りの兵士たちは、槍を構え直す。

『あなたと私は、二人でラマルタン王国を滅ぼした。そうでしょう』


 事切れる直前、シセリアの耳に、ある声が聞こえてくる。

『女王は死んだ! 我々は、自由だ!』

 それは、グザヴィエの声だった。

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