転生女子高生、夏休みのはジマり
昨日で学園の夏休み前の登校がおわり、今日から夏休みのりーあは、朝から動きだして、朝の支度をすませて、妖精ノートを読む。
夏休み初日の今日から、りーあはできごとを日記帳にまとめることにした。
学園では夏休みのできごとを日記課題として、提出することになっている。
どうやら、夏休みのできごとを文芸誌としてまとめて、文化祭の出し物に使うらしい。
そのため、ただ寝てました、よりでかけたりいろんな体験をしようとりーあは決めている。
今日は演劇部の部活がある。
十時から十六時だ。
夏休みの予定も多くつめた。
くみさんと課題日。
演劇部の部活。
夏祭り、花火大会、市民プールにいく。
図書館で、課題の調べもの。
演劇部の夏合宿。
学園の進路指導にもいきたい。
ショッピングして、カラオケ。
くみさんと文芸誌の打ち合わせ。
どうやら文芸誌課題をみつけたいらしい。
それから、妖精の異世界にも一度連絡をとりたい。
転生してからの連絡手段は、妖精郵便か、それか時計デバイスによるチャットルートだ。
まだまだ予定はあるが、ひとまずは部活にでかける準備をする。
途中、時計デバイスにお知らせがきていたので、スライドしてアプリで確認すると、とおやくんからだった。
おはよう。
という文字をすぐにタップして送信すると、
今日は部活だね。
そうだね。
これからでるとこだよ。
とここまで送ってから、外出する。
今日もわたしのほかには誰もいない寮の部屋に、
「いってきます」
と声をかける。
寮の管理人室にいき
「今日は部活でそのあとショッピングしてきます」
と伝えてみると、
「おはよう。りーあさん。わかった。
いってらっしゃい」
と返ってきた。
部活には、自転車でいくことにした。
寮からのレンタル自転車だ。
学園までは、ほんの少しの距離ではあるが放課後には、少し遠くにもいくかもしれないからだ。
自転車で五分。
すぐについて駐輪場所に停めた。
カギもかける。
授業がないため、校舎ではなくて、体育館に直接に向かう。
演劇部の部室は、体育館のなかの照明室なため、体育館に入っていく。
途中うしろから、声をかけられた。
「おはよう」
「おはよう、とおやくん」
「早いね、りーあさん」
「寮近いから。でも自転車できたよ」
「そうなんだ」
部室の扉をコンコンコンとノックして開けようとするもまだ閉まっていた。
「まだ来てないね」
「カギとってこよう」
そう言って、今度は校舎のほうに向かう。
一緒についていく。
教室棟につき、職員室に入る。
コンコンコン。
「失礼します。演劇部です。照明室のカギ」
と話をするとえみさんがきていた。
「おはよう、早いね」
「鍵先にもらったよ」
「失礼しました」
扉をしめて、今度はえみさんも一緒に、廊下を戻る。
「えみさんは電車だっけ」
「そうだよ」
「早いね」
「部室で寝てようと思って、早めにきたよ」
「りーあさんも早いね」
「寮近いから」
「とおやくんは、照明プラン進んだ?」
「まだこれからだよ」
「そっか」
三人して体育館につき、部室のカギをあける。
なかに入り、窓をあける。
少しほこりっぽい気がする。
「あまり掃除してないなぁ」
「そうみたい」
「先輩たち、基本メンドウなのかなぁ」
「そうかも。少し掃除しようかなあ」
えみさんは、ロッカーから掃除用具を三つだして、渡してくれる。
「とおやくんも一緒に掃除ね」
こうして、朝から部室の掃除をする。
三十分くらいほこりを払い、雑巾でふいて。
「ふー。少しはキレイになったかな」
「ありがとー。えみさんとおやくん」
「いいえ。これで寝られるね」
えみさんはさっそく、床に転がってしまう。
格好も制服のまま気にしない。
とおやは、椅子に座り台本とノートにかきこみを始める。
りーあは、照明の機材をにらんでみる。
なかなかに配置やライトの種類が一致しない。
十分くらいそうしていると、階段を昇る音がきこえてきた。
「おはよう」
めぐやんが入ってきた。
「みんな早いね。
さっき駅に集まってたから、みんな来るよ」
「そうなんだね」
「えみさんが一番だったよ」
「そっかぁ」
「あ、とおやくん、早めに着替えるから」
声をかけると、とおやくんは着替えを持って下にいってしまう。
一応部室のカギをかけてから、三人は着替えを始める。
体操服やジャージに着替えて、少しすると、部室がノックされる。
「はーい」
カギをあけると先輩がただった。
「おはようございます」
「おはよう」
「とりあえず着替えたら、舞台の真ん中に集合だね」
「わかりました」
とおやくんは、なかに入るも着替えだけおいて、すぐに舞台のほうにいってしまう。
りーあもついていくと、
めぐやんとえみさんもきた。
先に来ていた四人で、柔軟体操を先にはじめる。
少しすると着替えた部員たちが、みんなぞろぞろと降りてくる。
それぞれで挨拶したあと、発声練習がはじまった。
あ、い、う、え、お、あお、う、お
アメンボあかいなあいうえお
か、き、く、け、こ、かこ、く、こ
うきもにコエビもおよいでる
さまざまなバリエーションで、発声をしていく。
少しすると、顧問の教頭先生もきて。
「おはようございます」
挨拶をした。
続けて、その場で筋トレをする。
腹筋や背筋、腕立て伏せなどだ。
それが終わると、柔軟体操をした。
そのあと、自然と丸く円になり、部長が話しはじめる。
「夏休み期間、演劇部は合宿があります。
でもその前までに、秋大会の台本をかためて
出演メンバーも決めたいと思います。
夏休み期間ムダにだらだらせずに
勉強もしっかりこなしつつ
部活動に積極参加をお願いします」
「音響さん照明さんは夏休み期間に、台本と合わせてプランを提出してください」
「大会では、文化会館を使うから、そのとき用のプランも合わせて作っておくようにお願いします」
「これから夏休み日程と、合宿について、それから夏休み練習プランを渡します」
顧問の教頭先生が、プリント三枚を手渡しで配ってくれた。
「それじゃ、今日の練習からお願いします」
「はい、お願いします!」
それぞれで、
「お願いします」
と声をかけあった。
りーあは、もちろん夏休み部活も、合宿も、はじめてだ。
「とおやくん、合宿とか楽しみだね」
「そうだね。でも、部活けっこう忙しいね。
合間で勉強もしないとね」
「そうだね」
今日は、まず外にでて、校庭の外回りを走りこみがあった。
それぞれ、外にでていき、走っていく。
五周したところで
「戻っていいよ」
声がかかる。
体育館に戻ると、一休みのあとで
「簡単に早口言葉とエチュードやるよ」
「はい」
「照明さんと音響さんは、エチュードみながら、プラン作ってね」
「わかりました」
りーあも返事する。
えみさんが、内緒話をするように話す。
「今日の部活終わり、一年は少し残ってね」
「うん、わかった」
「とおやくんもね」
「はい」
これはなんだろう。
「たぶん恒例のだよ」
とおやくんが教えてくれるもよくわからない。
今度は早口言葉の言い合う言葉が、体育館に響く。
それが終るとエチュードという即興芝居だ。
体育館の舞台の上で、それぞれ部長が決めた設定により、冒険やケンカ、旅や日常、いろんな物語が短く芝居される。
りーあととおやは、そのエチュードをみながら、照明室で、台本片手に照明の使い方やタイミングを話しあう。
お昼休憩になり
「昼食休憩だよ」
部長が声をかけて、一時間休む。
昼食はそれぞれ、コンビニで買ってきたり
お弁当を持ってきたり、ハンバーガーを買ってくる部員もいた。
しばらくして、再び練習がはじまる。
りーあも少しずつ、この部活の動きに慣れてきた。
照明室で、照明プラン作りをして、機材を動かし、
呼ばれると舞台の側にいき、部長の話しをきく。
今日の練習分は終わり、
「ありがとうございました」
「お疲れさまです」
解散して、先輩たちと顧問の先生は帰っていく。
部長からカギを預り、帰りは一年でカギを閉めて帰ることになった。
りーあととおやが、着替えをすませて、舞台の上で待っていると、他の部員たちも集まりはじめた。
りーあもこのごろは、だいぶ一年生同士の顔はわかってくるようになってきた。
髪が短めで、照明係、演劇部で数少ない男子のとおや。
少し背があり、みんなのサポートをしてくれて、成績もいい、えみさん。
漫画好きで、ツインテールが好きでファッションに詳しいめぐやん。
漫画好きで、ピアノが弾ける髪短いたなやん。
背が高く、いつも明るい、とおやくんとよく話す亀ちゃん。
背が少し低く、大人しめかと思いきや、話すと男の子っぽい、少し感情不安定な、みゆさん。
文芸部とのかけもちで、脚本が得意、声がおおきく、でも繊細で、ごめんなさいが癖になっている、黒さん。
一年生のメンバーが揃って。
とおやくんが話す。
「残ったけど、どうしたの?」
黒さんが話しだす。
「ごめんなさい。先輩たちが、特に秋の大会でいなくなる三年先輩たちが、機嫌がわるい。たぶん二年の先輩たちとケンカしてるんだと思う。
だから、いまのとこ一年はどうなのか話したい」
「そうなんだね」
りーあはその辺のところはさっぱりだ。
かえってみんな仲良くしてるのだと思っていた。
「えみさん、先輩たちってそうなの?」
「そうみたい」
「前も口ケンカしてたよ」
「そっかぁ」
「それで、一年はどうする? いまケンカしてるひとーいる?」
「いないよ。だれも」
「一年は大丈夫」
「よかった。でも、まだ連絡先もしらないよ」
「そこは、これから交換するよ」
「これ作ってきたよ」
めぐやんが配ってくれたのは、連絡先交換リストだった。
「この部員メンバー同士で、交換してよければ、
電話と、アプリに賛成かかいてね」
「はーい」
りーあは、いまのところとおやくんと、えみさんのしか知らない。
電話とアプリに賛成と書いた。
紙が回収されて、黒さんが
「よし、じゃ、みんなで交換しようか」
こうして、連絡先交換をみんなでしあい、アプリ登録までした。
「あとは、一年で台本をもう少し読みたいけど、
これから予定あるひとは」
みゆさんが、早めに帰りたい、という以外はとくになく
「じゃ、早めに終わらせようか」
それから、三十分だけ、台本読みをして、今日は解散となった。
「ねえ、とおやくん、こういうのよくあるの?」
「いや、あまりないけど中学のときとか、部員同士集まったりしたよ」
「そうなんだ」
すると、めぐやんとみゆさんが声をかけてくる。
「りーあさんは、記憶喪失なの顧問の先生から聞いたよ」
「うん、そうだよ」
「いまは、なにか困っていることとかある?」
「寮にひとりだけど、あとは学園からの援助もあるし、大丈夫。買いものが大変なくらい」
「そうなんだ。せっかく交換したから、話そうよ」
「わかった」
するとみゆさんは、
「先に帰るね。お疲れさまー」
みゆさんはすぐにいなくなってしまう。
「めぐやんは、演劇ながいの?」
「いや、高校からだよ」
「いまは音響だよ」
「そっかぁ。うん。また聞くかも」
「うん、わかった」
「とおやくんもお疲れさま」
「お疲れさま」
「音響と照明あとで、あわせられないかな」
「ごめん。プランまだなんだ」
「いいよ、だいたいで」
とおやくんとめぐやんが話している。
するとえみさんが近くにきた。
「どう、部活慣れてきた?」
「うん、だいぶね」
「えみさん、ありがとー!」
「え、何もしてないよ」
「気づかいありがとー」
「そっかぁ。
りーあさんは、寮だよね?」
「今度遊びいっていい?」
「いいよ」
「じゃ、お疲れさま」
だんだんと部員が帰っていき
黒さんと、えみさん、とおやくんとりーあになった。
「じゃ、帰ろうか」
「はーい」
部室にカギをかけて、体育館をでる。
えみさんは駅にいき、黒さんは自転車で帰る。
とおやくんが、行こうか、といい、
寮の側まで来てくれた。
寮の側で、とおやくんとわかれたあと、りーあは買いものにいくことにする。
近くのショッピングセンターまで、自転車を走らせる。
停めて駐輪場所で、カギをポケットにしまう。
ショッピングセンターで一休みをしながら、
ぐるぐる買いものしてまわる。
目当ては夏祭りにいくときの服装となるものと、
花火大会できるかもしれない浴衣だ。
女性用売り場でしばらく、ぐるぐるみて周り、
結果は何も手に取らずに、食品をみてまわる。
洋服は、管理人にもきいてみよう。
食品で買いものして、レジではチャージしてある時計デバイスでタッチして買いものをすませる。
外にでてまた自転車で、寮まで戻る。
管理人室に帰ってきたことを伝えながら、夏祭りにきていく洋服について話した。
「あとで、友だちと選んできなよ」
「そうしようっかなぁ」
こうして、部活と買いものをして、寮まで帰ってきたりーあだった。