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魔法使い女子高生として転生して恋に落ちた前編

 くみは、体育館の演劇部の部室のドアを叩いてみた。


 でも返事はない。

 そーっと開ける。



 鍵は、もう借りられていて、開いていた。

 とおやくんと、リンヤも一緒だ。


「ねぇ、くみさん。一年生いるんでしょ」

「うん」

「じゃ、説明して少しだけ待っててもらうとか、ね、リンヤ」

「もう時間が。十二月六日の十三時まで」

「うん。そう、あと三分くらいだよ」

「そうか、説明する前には……」


 と静かに話している。

 すると、


「あ、ねぇ、みて」

「なに?」

「りょうくんと、あかねさんが」

「えっ、まさか」


 扉を少しだけ開けて、なかを観てみると、

 りょうくんとあかねさんが、向き合い、両手をにぎりしめたあと


「え、え、もしかして」


 二人は顔を近づけて、眼を閉じて


「まって、まって、まって、もう来ちゃうよ!」



 部室の天井ふきんが、淡く光りだすと、

 転移の陣が浮かびあがる。



 そして


「うわ」

「あ」

「きゃ」

「え」


 どさっと、ニ名が転移してきた。

 りょうくんとあかねさん、それに近くにいたゆいさんを巻き込むように、倒れこむ。


「いたぁ!」

「なに?」

「え」

「これなに!?」



 転移してきたのは、リリアとりりあだ。


「えっ、せんぱい」


 仕方なし。


 くみは、走っていき、みんなを助けおこす。

 とおやくんとリンヤも手伝う。


「着地、しっぱい!」

「あぁ、もう!」

「リリアちゃんと、計算したの!?」

「りりあこそ、時間あってるよね?」


 どうやら、だれもいないところに着地して、感動の再会には、ならなかったようだ。


「はぁ。もう、こういうのって、うまくいかないよね!」

「まって、いまの観てたんですか?」

「ていうか、どこから、いま飛んできました?」

「え、このイケメンだれ」

「あ、とおやくんの運命スキルかも」

「あぁ、少しタイミングずれたかぁ」


 とりあえず、みんな一斉に話すため、

 なかなか話しがまとまらない。



 それでも、リリアとリンヤには関係なかったらしい。

 その場で、抱きしめあい、泣きあっている。


「え、せんぱい」

「あ、えとわたしは、こっちね」

「え、りりあせんぱいは」

「そう、えと、双子なの。妹」


 一年生三人は、驚いたようだ。


 よくみると、

 リリアは白のドレスっぽいワンピースを着ていて、胸元が少し開いている。


 顔はほとんど一緒なのに、

 リリアは、やはり妖精の雰囲気だ。


「そ……れで、一年生たちは」

「あ、ええ。担当の先生に、許可してもらって、休みの日だけど、披露会の練習にきて」

「そうなのね」

「りーあせんぱいと、とおやせんぱいこそ、その、あとイケメンさん」



 くみさんが、話しをまとめる。


「うん。りーあの妹が、そこのイケメン、リンヤと、恋人で約束してたんだけど、行方不明で、いまここで感動の再会になって」


 二人はみつめあっていて、

 一年生三人は、魅入ってしまった。


 くみさんは、心の底で想ってしまう。


 "イケメン、リンヤ。りーあで、リリアだけど、リリアはりーあなんだから、べたべた、みせつけないでよね"


「くみさん、りーあはひとりだよ」

「わかってる。てか、とおやくんこそ、かってにシンパシーつかわないで」



 話しが落ち着いてきたあと、

 一年生たちと、わかれて帰り道。


 ななちも学園の前まできていて、合流して一緒に歩く。


「くみさん、心配かけて」

「ななち、うまくいったよ」

「リンヤ、これからはヒトとして」

「うん。わかってる」


 リンヤが、みんなに向かって話す。


「ありがとう。もう、リリアと離れないよ」

「うん!」


 くみさんは、リリアとりりあに挟まれて、なぜだか一番幸せそうな顔をしている。




 青バラ園の前で立ちとまると、

 りーあが言う。


「リリアとリンヤ、改めて、よかったね!」

「うん」


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