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終業式、夏休み予定

 テニスと、陸上の夏の地方大会が、通りすぎた。


「くみさん、テニス大会頑張ったね!」

「ふふん、三回戦」

「ななちは、県大会だっけ」

「そう。一応、月曜からあるよ」

「ななちファイ!!」

「うん」



 終業式、帰り道いつものように、くみさんとななちと帰っていた。


「りーあは、劇の役の練習?」

「そう。でも、まだ台本のセリフ覚えているだけ」

「そっかぁ」


 歩きながら、まだむし暑い寮までの帰り道。


「夏休みの予定どうする?」

「ななちの大会次第だね」

「なに、早く負けるの?」

「違う。応援してるから、そのあとプールいこ」

「花火大会は、次の週だね」

「一緒にしよっか!」

「えっ」

「プールに花火大会に」

「劇の練習に」

「課題に」

「そうだ、水着買わなきゃ。りーあつきあって」

「あ、さちさんも誘ってみよう」

「うん」

「あの、もしかしてだけど」

「なに、ななち?」

「男子ひとりなんじゃ」

「お、ヤバ。ななちの独占だぁ。浮気すんなよれ」

「くみさんもいるでしょ」


 ななちの帰る曲がり角になり、


「じゃ」


 すると、りりあの目の前で、ななちの顔のほっぺにキスをするくみさん。


「えっ、なに!」

「ふふん。勝利のニケさまのおまじないだぞ」

「わかった。ありがとう。」



 ななちが歩いていく姿を見守るくみさん。


「仲なおりしたんだね」

「いつもはしないよ。今日だけね」

「いいなぁ」

「りーあには、わたしがいるじゃん」

「うん。そうなんだけどぉ」



 いつもの青バラ園につくと、ベンチに座って、くみさんは新魔導書を読みだす。


「あ、さちさん、いいみたい」


 スマホにメッセージが届くと、さちさんも遊びにきたい、とのことだった。


「うん」

「ねぇ、くみさん」

「なに」

「参考にききたい」

「うん」

「ななちのどこが好き?」

「うん、そうだなぁ。陸上してる姿が、かっこいいのと、意外と勉強するところと、あとは、まぁ顔」

「ふふっ。そっかぁ」



 公園の上空を緑羽鳥が、飛んでいる。


 このところ、いろんな武器や新魔導書が送られてくるけど、もう、察しがついていた。


 妖精のリリアだ。


「これ。このスキルはどういうの?」


 くみさんが、見つけたのは、運命のコインのスキルだ。


「それは、固有スキルで、運命を操るの」

「えっ」

「わたしも、ひとつ持ってるよ」


 みせたのは、割れたコインだ。


「この運命のスキルは、コインを受けた瞬間から、あとの時間、そこに戻りたいときに、戻ることができる」

「そうなんだ」

「りーあは、帰らないよね?」



 くみさんが、まるで、ちいさな子どものように聴いてくる。


「大丈夫。わたしはココにいるよ」


 でも、とりりあは考える。


「そっかぁ。よかった」


 いくつかのスキルを練習したあと、くみさんとわかれて、寮につく。




 ベットに座りこみながら、さっきの続きを考える。


「でも、リリアはどうだろう」


 くみさん、リリアは、二人いるんだよ。


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