五月ゴールデンウィーク期間ってなにしたらいいの
「せっかく、部活になじんできたら、連休になっちゃった」
ゴールデンウィーク直前、りりあは、部活のない日、どう過ごそうか考えて、くみさんに電話で相談した。
「じゃ、わたしとデートしよっか」
「うん。え、うん。え、ななちは」
「あ、うん。ななちいいの」
「え」
というわけで、くみさんとデートすることになった。
四月二十九日から連休に入り、長い休みのひとは九連休らしい。
五月一日と二日は、学園は普通にあった。
だから、実際学園の日程としては、今日、五月三日からが、連休だ。
くみさんは、準備してからいくから、と連絡があり、寮に来たのは、十ニ時くらいだった。
「おはよ」
「うん。ありがとう。おはよ」
「それで、荷物置いたら、買いものいこっか」
「うん。いいよ」
くみさんは、かなり気合いを入れておしゃれをしてきていた。
バッグのなかも荷物がたくさんだ。
自転車できたというが、重かっただろう。
「どこいく」
ときくと
「少し自転車でいくけど、街のショッピングモールまでいこうよ」
「うん」
この学園の大きめな買いもの場所は、
駅近くにあり、学園からもそんなに遠くない、ショッピングセンターと、
街からははずれているが、郊外型の大きめなショッピングモールと二つある。
くみさんは、自転車に載せる荷物は軽くしたようだった。
「りりあは、自転車あったっけ」
「大丈夫。寮のレンタルのもあるし、祭りのときに当てたわたしのもあるよ」
「そっかぁ」
わたしは、まだ新しいほうの自転車に乗る。
わたしの格好は、若干短めのスカートに、黄色のシャツ、デニム上着だ。
くみさんは、短パンに同じ黄色のシャツ、それに少し軽い素材の赤い上着をしている。
「もう、晴れてくると暑いね」
「うん」
今日のくみさんはおとなしめかな。
何か考えているのかな。
そう想っていたら
「りりあ、スカート丈いいね。パンツ見えそうで、見えないね。ふふっ、ふふっ」
気のせいだった。
自転車で少しの風に吹かれながら、ショッピングモールまでいく。
最寄り駅からのバスもでているが、くみさんは、自転車でいきたかったようだ。
もしかして、目当ての買いものがあるのだろうか。
「バスのほうがよかった?」
「ううん。風気持ちいいよ」
「買いもの持ったままだと、バスよりは自転車かな、て思って」
「そう」
ショッピングモールまでの四十分ほどの道のりをいく。
それまで、途切れとぎれに話しをしていた。
「ついたぁ」
「汗かいちゃったね」
「うん」
自転車を降りて、駐輪場にとめ、鍵をかける。
三階建で、三階が屋上駐車場になっている横長のフロアだ。
なかに入り向かったのは、下着売り場だった。
「え、くみさん下着買うの」
「違うよ。りーあの選ぶの」
「えーー、聞いてなかった」
「いま言った」
売り場をウロウロするとくみさんが
「りーあどれがいいかな。情熱的な赤」
「え、うーん」
「大人っぽくして黒」
「えーー」
「純白、乙女な白」
三つも抱えて、鏡の前にいき、渡される。
「ほら」
身体に交互にあててみる。
「恥ずかしいよ」
「りーあのイメージだと、やっぱり白かな」
「え、うーん。赤いのはちょっと」
「サイズいくつ」
「え! えーと。ごにょで、まにょ」
「ふーん。へぇー」
結局白いのにして、お会計に持っていく。
少しフリルつきで、模様も入っていて、持ってはいない感じだ。
「あ、わたし払うよ」
「え、くみさんいいよ。わたしのだもん」
「そうなの?」
「うん」
財布をとりだして、お会計する。
スッと、ショッピングバッグをくみさんが持ってくれる。
「じゃ、次ね」
「うん」
次はどこいくのだろうと思っていると
「ゲームセンターで、リリクラ撮ろうよ」
「うん。いこ」
ゲームセンターにいき、リリクラを撮り、少しクレーンゲームで遊び、
次に、クラフトのお店もよってくれる。
「わたし、男の子なら、くみさんとつきあっちゃうなぁ」
「え、なんで」
「うん。たのもしい」
「えーー、褒め言葉かなぁ」
少し休憩しようと、スターズバックカフェによる。
「チョコフラペチーノと」
「いちごフラペチーノお願いします」
席に座り、ひと息つく。
「ねえ、ななちと何か」
「え、うん。連休前に電話でね」
「うん」
「連休中は、夏にむけて陸上の練習するって」
「うん」
「そのときの会話がね」
先をうながすと、
「ねぇななち」
「あ、くみ」
「連休中さぁ、旅行とか」
「あ、ごめん。夏まで近いし、陸上の練習したいから、部活もでるし、ほかの自主練もしようかと」
「あ、そうなんだ。そしたら、練習みにいっても」
「練習きてもつまらないよ。遊んできたらいいよ」
「うん。でも、その、一緒に」
「ほら、りりあさんとかとさ」
「でも、うん。旅行いかなくても、ななちと」
「心配しなくていいよ。自主練がんばるよ」
「うん。頑張ってくれるのはいいんだけど」
「この時期くらいから、真剣にしたいしさ」
「ななち!」
「はい!」
「わたしと一緒にいたくないのか!」
「いたいけど、陸上もマジなんだよ」
「うん。もういい! りりあと浮気するから」
「え、浮気?」
「じゃ。練習頑張ってね!」
「ていう会話だったの。なんかひどくない」
くみさんの話し、わたしには、痴話喧嘩にしか聞こえないのだけど。
こういう場合は
「陸上頑張ってるんだから、あとで応援にいこうよ」
「いいの。もう。りーあとえっちぃ浮気して、ななちにあとで、見せてやるんだから」
「え! えーー!」
「あ、とりあえずキスしよっか」
「あの、くみさん、とりあえずでキスするもんじゃないし」
「りーあ、はい、あーん」
「うん。え」
「はい、あーん」
「も、もう。飲みものひとりで飲めるし」
「あ、写真とるね」
スマホをとりだして、カメラに切り替える。
顔を近づけるくみさん。
「これでラブラブカップルだね」
写真をとる。
「くみさん。あの、あとで、電話して仲なおりとか」
「あ、飲みおわったらいこ」
「うん」
すっかりくみさんペースだ。
このあと、さらに靴やさんやアクセサリーやさんにより、ベンチに座っておしゃべりし、広いスペースをみつけると、少し踊ったりした。
帰りは夕方になったが、自転車で汗かきながら、荷物を落とさないように、帰り道をはしっていると、今日は楽しかった、とりりあは思った。
寮につくと、
「じや、明日もくるからね」
「え、明日も」
「じゃね。りーあ好き」
次の日、五月四日は朝、くみさんが迎えにきて、カラオケにいった。
わたしが歌う曲が、あまりないと言うと、丁寧にくみさんは教えてくれた。
次の日、五日も朝からくみさんが迎えにきて、カラオケにいった。
もうレパートリーがなく、その場でくみさんが知ってる曲を入れては、少しずつわたしと歌うのを繰り返した。
さらに、六日も七日も朝から、くみさんがきた。
今日もカラオケだったけど、ルームに入ると、曲を入れなかった。
「ねえ、りーあ。魔法、教えて」
「うん。でも、くみさん、転生前の魔法は、どれくらいつかえるの」
「ほとんど、忘れてるの。転生ショックって妖精ノートにあったけど、初期のでも少しだけって感じ」
「固有スキルのはどう?」
「それは、なんとか」
「少しここで、できそう?」
「共鳴リアリストと、もうひとつがなんだっけかなぁ」
「うん」
「使ってみるね」
くみは、共鳴リアリストをつかった。
ルーム内に音が響きだし、それがりりあに伝わると、りりあは意識が飛びそうになる。
「うっ!」
そして、りりあの無意識の声がくみには聴こえた。
「りーあ」
「う、うん」
「リンヤと、とおやくん両方が気になってるの?」
りりあは、少し顔が赤くなる。
「うん。リンヤは妖精時代のずっと親友みたいなそばにいた妖精だから。でも、ここで、会ったとおやくんは、すごい気になってるよ」
「そっかぁ。なんか、わかった」
「くみさんのスキルなんだね」
「あ、今日この前買った白の下着着てるんだぁ。ふふっ。ありがとう」
「ええぇーー! そこもわかるの!?」
反響が収まっていく。
「ふぅ」
りりあはまだ動揺したままだ。
「あの」
「りーあ、下着見せて」
「ダメに決まってるでしょ!」
「ふふっ。あの白のかぁ。みたいなぁ」
「それより!」
「あ、うん」
「魔法、覚えてるのは使えるのね」
「そう」
「じゃ、初期の照明弾やってみて」
このあと、いくつかの初期のを使ってもらう。
「そっかぁ。そしたら、魔導書が必要ね。わたし、少し古いけど、魔導書送られてきたから、今度、練習だね」
「うん。やった。お願いします」
「でも、ひとつ聞いてみていい?」
「はい」
「妖精から、もうヒトに転生してるんだし、魔法そんなには、使わないよね」
「わたし、ルーレ師匠のこと、想い出したとき、あの言われたこと、まもっていきたいって思ったの」
「うん」
「魔法は…………」
夕方にカラオケをでて、寮まで荷物をとりにいくと、くみさんは帰っていった。
そういえば、ななちとは、大丈夫なのだろうか。
連休中は、ほとんど会っても連絡もなかったみたいだし。




