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魔法研究所への道のり

 お茶会から数日。なんと、あれから義兄が私たちと一緒にご飯を食べているのだ。隣に義兄がいるのが新鮮だった。そしてお父さんもお母さんも、十一年目にしてようやく家族揃ってご飯が食べられたので、目を潤ませて喜んでいた。

 そんな様子を見ながら、義兄は、

「今まで素っ気ない態度を取り続け、申し訳ありませんでした。これからは私もロディアーナ家の一員として、義父さんや義母さん、そして義妹……ルナディールと接していこうと思っています」

 と言ったのだ。

 その言葉に父さんも母さんもうんうんと頷き、それは嬉しそうにしていた。私も、またルナディールと自分の名前を呼んでくれたことが嬉しくてにやけてしまった。


 義兄が食事を一緒にすることになったお陰で、私はお茶会で恥を晒し婚約者は要らない宣言をしたことを特に叱られることが無かった。

 前世から怒られることは嫌いなので本当に良かった。推しキャラである義兄と毎日顔を合わせられるだけではなく、怒られることも回避した私、凄い!


 ……そう思っていたのに。婚約者の件は回避できたわけではなかったみたいだ。

 今日もいつものように家族みんなで朝食を食べていると、お父さんが急に私の方を見て尋ねたのだ。

「そういえばルナディール、婚約者の件だが、要らないというのは本当なのかい?」

 今日は何をして過ごそうかな〜なんて呑気なことを考えながらご飯を食べていたので、そんな爆弾発言にうぐっと食べ物を喉に詰まらせてしまうところだった。危ない危ない。

 私は動揺を顔に出さないようにして、こてんとゆっくり首を傾げる。自分の意志を貫き通すためにも、ここで動揺や焦りを出したらいけない。何となくそう思った。

「はい、本当ですわ」

 何かいけないことでもありますの?というような雰囲気を出しつつにっこりと微笑む。それにしても、なかなか貴族のご令嬢っぽくなってきたんじゃない?さすが私!

 その言葉を聞いたお父さんは困った顔をし、お母さんは若干顔を引き攣らせている。うーん、やっぱり婚約者は要らない、結婚はしないって貴族らしからぬ発言だったかな。


 この世界では、一般的に十五歳近くなると婚約をする。ご令嬢もご子息も、自分の身分、派閥に釣り合う人と婚約を結ぶのだ。政略結婚をしている家も多い。

 よって、私や義兄のように、十七や十八歳になってもまだ婚約を結んでいないのは異例のことなのだ。

 しかしお父さんやお母さんは、自分の好きな人と結婚する方が良いと言い、別に婚約は急いでするものじゃないという人たちだった。だから私たちものらりくらりとかわしてこられた。


 でも、この前のお茶会で私はきっぱりと断言してしまったのだ。婚約者なんて要らない、と。

 きっとお父さんもお母さんも、今は婚約を結んでいなくてもいずれは誰かと結婚すると思っていたはずだ。驚くことは容易に想像できた。だからこそ、私の結婚しないという要望を叶えるためにも、それ相応の建前が必要だった。

 私が結婚をしなくても良い理由。こういう時、もし私の肩書きに傷でもついていようものならそれを盾にできたのだけれど。残念ながら今の私は、宰相の娘という立派な肩書きしか持っていない。だから私は、前世と今世の知識をフル動員させて、今ここで両親から結婚しなくても良いと言質を取ってやる!と決意した。


「わたくしが結婚しなくても困ることはないでしょう?宰相の跡継ぎにはお義兄さまがいらっしゃるので、わたくしが婿を取る必要はありません。どこかの家に嫁ぐとしても、それはわたくしが恋に落ちないと結婚できないではないですか。政略結婚は嫌なのです。これはお父さまとお母さまもよく言っていたではありませんか」

 そこで一息つくために、コクッと紅茶を飲む。そしてお父さんとお母さんの目をしっかり見つめ、更に言葉を重ねる。

「それにわたくし、やりたい事ができましたの」

「やりたい事?」

 お父さんが不思議そうな顔をする。お母さんも紅茶を飲みながら続きを促す。

 ここで決まる!私はグッと拳を握り、深呼吸をする。そして、ゆっくりと、かつ力強く言葉を発する。

「わたくし、もっと魔法の勉強をしたいのです。そのために魔法研究所へ行きたいと考えています」

「魔法研究所ですって!?」

 お母さんは目を見開いて、信じられないと首をゆるゆると振った。お父さんも驚いている。義兄はどんな反応をしているのだろう。分からないけれど、応援してくれるといいな。

「ルナディール、あなた魔法研究所がどういう場所か知っているの?あそこはとても頭が良くないと入れない場所だし、そもそも魔法の才能がないと厳しいのよ?あなた、今まで勉学はそっちのけで逃げ出してばかりいたじゃない。そんな人が入れるような生優しいところじゃありません」

 分かってはいたけどすぐに却下された。お母さんは国で聖女と称えられている大魔導士さまだ。もちろん魔法研究所に勤めていたことだってあるし、その世界の厳しさも知っているのだろう。

 でも、私にだって引けないことはある。そもそもこの世界に転生して魔法が存在すると分かった時点で、私はもう魔法研究所へ行きたいと考えていた。そこなら溢れんばかりの魔法の資料を読み尽くせるし、思う存分魔法について研究できる。

 それに、実はもうこっそり色々研究したりしているのだ。家にある魔法書を読み漁り、前世の様々な魔法の知識と合わせ独自の魔法を創ることにも成功した。私の魔法に対する興味・関心を舐めないで欲しい。

 笑いを堪えきれず、私はうふふと不敵に笑う。その笑みを見た両親は何か勘付いたようだ。キュッと顔を引き締めた。

「お父さま、お母さま。もし全属性の魔法を使える人が魔法研究所に入りたいと言ったら、研究所の人たちはその人を門前払いすると思いますか?」

「全属性?……そんな人がいたら是非とも魔法研究所へ、と勧誘するでしょうね。そんな人は喉から手が出るほど欲しいでしょうから」

 お母さんは間髪入れずに即答した。そして、まさかと目を見開く。

「ええ、わたくし、全属性の魔法を使えますの」

 お父さんもお母さんも、そして義兄までもはっと息を呑むのが分かった。


 そう、それほど大変なことなのだ、全属性の魔法を使えるということは。

 でも、ルナディールの母は全属性の魔法を使える聖女さまである。その娘なのだから、全属性の可能性だってあるはずなのだ。それに気付いた私は、全属性の魔法を使えないかこっそりと試していた。

 全属性とは普通、火、水、風、光、土、闇の六種類を指す。これに加えて神聖魔法というのも存在するけれど、これは数百年に一人しか使える人が現れないので数えられないことが多いのだ。私は、神聖魔法も含めた完璧なる全属性……完全属性とでも言うのかな?を使えるようになるのが夢なのである。


 この世界の魔法は基本イメージすることで大抵何とかなる。属性の相性が悪くても、イメージさえはっきりしていればあとは努力次第で何とでもなるのではと思っている。現に私は闇の属性値が低く、最初はろくに使えなかったが、イメージと根性で何とかそこそこ使えるようになった。

 でも属性値が低いものを無理に使おうとしたり、根性で魔力を身体の隅々から凝縮させて無理に放出させようとすると、身体への負担が半端なくて下手したら死ぬかもしれないことも分かった。

 実際私も気を失ってしまったのだ。流石にやり過ぎたと反省したが、そのお陰か魔力が少し上がったのだ。それが嬉しくて、魔力を使って、凝縮して、放出してを繰り返してちょっとずつ魔力を上げていったのだ。その甲斐あっての今である。


 いやぁ、頑張った、私。周りの人も引くくらいの魔法への愛だと思うよ。でも実際に使えるようになると、楽しいし欲がいっぱい出ちゃって辞められなくなってしまう。

 これができるならあれもできるんじゃ?あの漫画のあのシーンも再現できたりしちゃうかも?

 そんな感じでどんどん試していった結果がこれである。お陰で今私の身体は全身筋肉痛でボロボロだ。


「全属性って……でもルナディール、あなた今まで水魔法しか使っていなかったじゃない。そんなこと一度も……」

 お母さんが信じられない子を見るような目で私を見つめる。そりゃそうですよね。水魔法しか使えないと思っていた娘が実は全属性持ちでしたなんて驚かない親はいないと思う。

「だがそれほどの魔法を使うなら身体の負担は物凄いのではないかい?身体は大丈夫?」

 お父さんは心配するような目で私を見つめる。ああなんて優しいのだろうお父さんは。心配してくれてありがとう!

「ここ数日ちょっと過度な肉体改造をしたので全身筋肉痛ですが、わたくしは大丈夫ですわ。わたくし、魔法の素晴らしさに気付いたのです!世界で一番の大魔導士になることが今のわたくしの夢ですの。そのためにはもう努力を惜しまないつもりですわ!」

 後半は拳をギュッと握ってガッツポーズをしながら、やる気はたくさんあります!と表現してみた。

 するとお父さんもお母さんも微妙な顔をし、チラッと隣を見てみると、義兄も微妙な顔をしていた。

 何か変なことを言ってしまったのだろうか?私が少し首を傾げていると、いつの間にかご飯を食べ終わっていたお母さんがスッと立ち上がり、

「ルナディール、今から庭に出て全属性の魔法が本当に使えるのか確認します。もし本当ならば、魔法研究所に行くことも視野に入れてみましょう」

 と言った。それに続いてお父さんと義兄も、

「そうだね、私もルナディールが魔法を使うところを見てみたいな。まさか私の娘にそんな才能があったなんて驚きだよ」

「私も後学のために、全属性の魔法を使うところを見てみたいです」

 と言って立ち上がる。

 え、待って待ってもうご飯食べちゃったの?私まだ食べてないのに……。

「ルナディール、あなたも座っていないで立ちなさい。庭に行くわよ」

 お母さんに急かされながらも、美味しいご飯を残すのは気が引けた。

「ちょっと待ってくださいませ!今すぐに食べますから」

 残りを口の中に詰め込み、優雅さの欠片もない食事を終える。そして筋肉痛で思うように動かない身体を駆使して、家族みんなが集まっている庭へと向かった。


「お待たせしました」

 自分では結構頑張って急いでやって来たつもりだったけれど、お母さんからは遅いと言われた。でも全身筋肉痛だったのだ、仕方ない。

「それで、わたくしは何をすれば良いのでしょうか?」

 と聞くと、お母さんは呆れたような顔をした。

「何って魔法を使うに決まっているでしょう?さあ、やってご覧なさい」

 さあ、やってご覧なさいって言われても……。どの程度やれば良いんだろう?私、他の人が魔法使っているところなんて見たことないから基準が分からないよ。この世界に学校的な場所があったら、他の人の基準とか分かるのに。


 この世界には学校がないので、友達を作るのも勉強をするのも一苦労なのだ。友達は社交の場で作らなくてはならないが、私はあまりそういうのに出ていない。だから私の友達はレティーナただ一人だ。

 十七年も生きていて友達一人しかいないってなんてことだ。悲しすぎる。


「何ぼーっとしているの、ルナディール!あなたと違ってみんな時間が無いのだから早くしなさい!」

「はいっ」

 私だってちゃんと忙しいですよっ!

 そう心の中でツッコミながら、私は魔法を使うために目を閉じて集中する。本当は目を開けたまま使えるようになればいいんだけどね。まだ複数の魔法を使う時は目を閉じていないと魔力のコントロールができないのだ。


 魔法というのは体内にある魔力を放出して発動させるものだ。この世界の魔法書によると、人の体内にある魔力には属性というものがあり、属性数によって使える魔法が決まるのだそうだ。

 例えば、火の属性を持つ魔力ならば火の魔法を使える、とかそんな感じだ。

 たくさんの属性を持つためには、それ相応の膨大な魔力が必要となるので、属性数が多いほど魔力量は多い。

 もちろん魔力を持っていない人間もいる。この国で魔力を持たない人の割合は三割弱だと書いていた。その三割に入らなくて良かったと心の底から思った。魔法が存在するのに使えないとか、それほど残酷なことってないもんね。


 体内の魔力を左右の手のひらに均等になるように分配していく。

 火、水、風、光、土、闇だから、二ペア三セットでポンポンポンと上に打ち上げれば大丈夫かな?いや、でも私が初めて魔法を誰かに披露するんだもの、もっとこう綺麗な感じにしたいな……。

 んー、土と闇ってどうやったら綺麗になるかな。あー組み合わせどうしよう、困る〜!

 うんうんと考えているうちに、魔力が手のひらに集まってしまった。あとは魔法をイメージして魔力を放出するだけだ。ここまできたらもう目を開けたままでも発動できる。

 私が目を開けると、じっとこちらの様子を見ている三人と目があった。時間がかかり過ぎてしまったのだろうか、お母さんの目が疑わしそうになっていた。私嘘なんてついてないからね、お母さん!


 早くイメージを完成させなきゃ。でも綺麗ってどう表現すれば良いんだろう。もー!考えれば考えるほど頭ぐちゃぐちゃになってくる!

 内心一人でわたわたと焦っていると、義兄が口パクで何か言っているのが見えた。

 それが私には、「頑張れ」って言ってくれているような気がした。義兄も応援してくれているって思うと嬉しくて、私はにこっと笑って頷いた。すると義兄もほんの少しだけど、一瞬だったけど、ふんわりと優しそうに笑ったのだ。私はバッチリと見てしまった。

 その笑顔は、冷酷キャラなアリステラからは想像もできないほど素敵な笑顔だった。


 ひええなんですか今のは!?あなた本当に冷酷キャラなんですか!?最近だんだんと冷酷さが和らいできたのではと思っていたけどあの笑顔は反則ではないですか!?あれはもう全人類を魅了し得る会心の笑みでしたよ!?それを……それを、私はくらってしまうなんて!

 あまりの衝撃に頭が真っ白になってしまい、パッと反射的に浮かんだイメージがそのまま魔法となって現れてしまった。

 推しキャラの会心の笑み、人を昇天させてしまいそうな素敵な笑み。アニメや漫画では、その背景にはよく花が描かれている。バラとかそんな感じの美しい花が。

 だからか、私は大量の花を魔法で作ってしまった。火、水、光、土、闇で作られた花が、クラッカーのようにパァンと私の手のひらから飛び出し、空中をひらひらと舞った。そしてそれらの花を、私の手のひらから放出された風が義兄の頭上へ運んでいった。そしてパラパラとたくさんの花が義兄に降り注いだのだ。

 義兄はもう無表情だったけれど、それでも元々イケメンなのでとても花が似合っていた。イケメンと花ってやっぱり絵になるんだなーと感心した。

 でも、その美しい光景も一瞬で消えてしまった。本物の花ではないので、地面に落ちたら消えてしまったのだ。今回は咄嗟のイメージだったので仕方ない。

 だけど光と闇で形を作ることができるのか。今まで癒しとか消滅とか、そういう魔法しか使ってこなかったから新発見だ。これならもっと色んなことができるかもしれない。


 魔法を使ってできることを考えながら一人にやにやしていると、お父さんが「素晴らしい!」と言っているのが聞こえ、そうだ今は魔法研究所へ行けるかどうかの大事なお披露目だったと慌てて思考を元に戻した。

 みんなの方を見てみると、お父さんは興奮して嬉しそうにしていて、お母さんは手を顎に当てて何か考え事をし、義兄は私と目が合うとフイッと顔を逸らした。


 え、なんで顔逸らされたの!?もしかして花が嫌いだった?嫌がらせだと思われた?うそ、どうしよう!せっかくあのお茶会の時から、家族として歩み寄ろうとしてくれていたのにこれじゃまた振り出しに戻っちゃうよ!

 ……あれ?でも義兄と仲良くなりすぎたら主人公ルートに行っちゃうんだっけ?そうしたら平凡な人生は送れないから仲良くならない方がいいの?

 でも嫌われたら殺されるんだよね?もし今ので、私が酷い嫌がらせをするやつだと思われてしまったら殺されちゃうんじゃ?ええっ、私殺されちゃうの!?まだ推しキャラ一人しか会ってないのに?それは嫌だ!絶対に回避しなければ!


 そう思うが否や、私は義兄の前まで行き、

「お義兄さま、もしかして花がお嫌いでしたか?もしそうなのでしたら申し訳ありませんでした!」

 と謝罪して勢いよく頭を下げた。

「でもわたくし、お義兄さまに嫌がらせをしようなどとは少しも思っていないのです!なのでどうか嫌いにならないでくださいまし!」

 そんな私の必死の謝罪を受けても、義兄は何も言葉を発さず微動だにしないので、これ本当に嫌われた?と心配になり恐る恐る顔を上げてみた。

 するとそこには、さっきと変わらず無表情のままの義兄がいた。全く何を考えているのか分からない無表情さだ。


 元々アリステラは表情のない冷酷キャラなのだ。考えていることなんて全く分からない。前世ではファンブックやアリステラ目線の物語を通して、初めて彼の考え方が分かったのだ。それらがない今世で、アリステラの考えが分かるなんてことがあり得るだろうか?……私には無理な気がする。

 でも、相手はいつか私を殺すかもしれない人物だ。好感度が重要なこの世界において、考えていることが全く分からないのは危険だと思う。

 うわーん、好感度ゲージが欲しい!それがあれば好感度のど真ん中をキープできるのに。平凡な人生を送るのも簡単そう。魔法で作れないかな?こんど研究してみるのも良いかもしれない。


「……俺は別に嫌ってはいないが」

「……はい?」

 また自分の考えに没頭して聞き逃してしまった。反射的に返事をしたものの、少し反応が遅れてしまった。しかも疑問系。

 何をやっているんだ私は。相手は私の命を狙っているかもしれないのに。そんな人の目の前で考えに没頭するとか自殺行為ではないか。

 私は頭のスイッチを切り替え、義兄の顔を見た。話を聞いてますからね!のアピールだ。

「……俺は別にルナディールのことを嫌ってはいない。……その、勘違いさせてしまったのなら謝る。すまなかった」

 そう言って何故か軽く頭を下げられた。

 え、何故に!?どうして義兄が謝るの?どうしよう義兄の考えていることが全く分からない!私は今日どれだけ義兄に驚かせられるの!?

 私の頭は色々パニックを起こしていたが、とりあえずまだ義兄は私のことを嫌っていなかったようだ。

「嫌われていないのでしたら良かったです」

 謝られた件に関してはまだ理解が追いついていなかったのでスルーしてしまった。


 そんなやり取りをしていると、お母さんがずいっと間に入ってきて、

「ルナディール、あなたは本当に魔法研究所に入りたいのよね?自分の意思で、入りたいと思っているのよね?」

 と聞いてきた。

「え?あ、はい、そうですが」

「そう……分かったわ」

 私の返事を聞くと、お母さんはこくりと頷いてすたすたと歩いていってしまった。お父さんも、

「ルナディール、素晴らしい魔法を見せてくれてありがとう。その才能は磨き続けると良い」

 と言って去っていき、

「それでは私は部屋に戻る」

 と義兄までもいなくなってしまった。


 あれ?これ、どういう状況?私、魔法研究所へは行けるの?行けないの?どっち?

 ただ一人残された私は、呆然としながらしばらく庭に立っていたのだった。

魔法、良いですね。私も是非一度使ってみたいです。ルナディールは魔法研究所へ行って、夢の生活ができるのでしょうか?次回はまたアリステラ目線のお話です。

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