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赤春

作者: ソクラテスの鼻息

「合格していました。今までありがとうございます。」

そう母に告げて私は家を出ました。先程まで降っておりました霧雨もやみ、外気は非常な静けさを帯びておりました。


私はどこか居心地が悪うございました。それでも外に出てみたかった次第です。外に出てみたかったと言いましても、よくある青春映画を真似て喜びのあまり外に駆け出したといった訳ではありませんで、ただ何となくそんな気になったのです。


私の家の近くには海がございました。別段キレイでもなく、どこにでもある、浜辺にはっぽーすちろーるの転がる海です。行くあてがあって出てきた訳でもないのですが、外に出た限りどこにも行かないとなると、それはそれで変なことに思われ、またいささか恥ずかしくも思われ、ここは映画の例にならって浜辺へ向かおうと思いました。


浜に着きますと海の向こうには日が沈み初めておりました。夕日はいつもより赤く、美しく見えました。私の心がいくら鈍いとは言っても、いや、鈍いと言うとウソになりましょうか。引っ込み思案で感情表現が格段苦手なだけだと述べておきましょう。そんな私はこの機に目にした夕日をとても美しいと感じておりました。どのように美しかったかと申しますと、それはなんとも切なく美しかったのです。切ないとは、胸が締め付けられる思いのことを言っております。そんな夕日をぼんやりと(私はよくバスを乗り過ごしますので、いつもの事であります)眺めておりますと、急に涙がほろほろと流れてまいりました。私は小心者ですので、声はあげませんで、ただ黙りこくって泣いておりました。


程なく太陽はほとんど沈みまして、背後には星空が広がっておりました。なにぶん根暗なものですので、夕日はいささか眩しゅうございました。私は次に星空を見上げ、その一つ一つに家族や友人を思い出しておりました。


太陽はすっかり沈みまして、その代わりに、水平線の彼方から月が出ておりました。私はこんな時分に満月を見られるほど幸運ではございませんで、その月はいくらか欠けておりました。三日月と呼べるほどは欠けておらず、なんとも言い難い月だったと記憶しております。けれども私は、後にも先にもあの時見ました月ほど美しい月を見たことがありません。


私は同時に海に入りたく思いました。夜の海はとても怖いものです。みなさんよくご存知かとおもいます。その上小心者の私ですので、いつもなら昼でも海に入ろうなどとは、そうそう思いません。好きな女性に誘われて、水辺で戯れるという特別素晴らしい体験をするためというような場合しか入りません。しかし、その日は無性に、海に入り泳いでみたく思ったのです。


服を脱いで、適当にまとめて、堤防の上に置き、私は海に入りました。思った以上に冷たく、びっくりいたしました。塩水をいくらか飲み、苦しかったことを記憶しております。


結局海からはすぐに上がりまして、服を着直して、とっとと家に帰りました。今振り返ってもなんだか面白おかしくおもわれます。


私は帰り道、何故かニタニタしながら鼻歌を歌っておりましたので、見かけられた方々は、さぞ不気味に思われたでしょうと心底申し訳なく思っております。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

初めてこちらに投稿します!


ここで、この小説の設定について少し述べたいと思います。


太陽は青年の将来に対する希望や不安、星空は友人や家族、月は愛する人、海は未知なる社会や大学生活や恋愛をイメージしています!


題名について

大学受験に合格した青年が、将来への希望と不安が入り交じった感情を抱き、友や家族に助けを求めます。青年は社会という大海に漕ぎ出すことを恐れますが、愛する人が現れ、青年に生きる意味と勇気を与えます。そんな初々しい感情は、まさに青春だと思います!!しかし、最近使われる青春とはイメージが違うなと思いましたので、夕日の赤と掛けて赤春(せきしゅん、あかはる)という題名にしました!

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