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設定解説 感情制御型アンドロイドについて―1

・製造過程

1.基本設計

 最初にメインAIが設計される。プログラムはナンバーズにより供与された専用のコンピューターによって自動で行われる。

 詳しい構造、特に中枢部分に関してはほぼ完全なブラックボックスになっており今の地球人類では解析不可能となっているが、どのような人格や適性を持つかについてはある程度方向性を調整することが可能になっている。

 

※ただし、人格や能力適正について未調整な個体の方が成長の度合いが大きいため、こういった調整を好まない人間や組織もいる。特に軍用の指揮官型においてはそうした個体の方が好まれる傾向にある。逆に、PAやSLの場合は生活を共にしたり特定の目的に沿って製造発注されるため、調整を受ける事が多い。


2.データインストール

 プログラミングされたメインAIをコアユニットにダウンロードした段階で、法律上はアンドロイドの誕生となる。とはいえこの段階では思考も出来ず、成長もしない。

 この段階で行われるのはそのアンドロイドの用途に応じた各種データのインストール作業である。

 PAならパートナーとなる人間の情報や生活に必要なデータ。

 SLなら業務に関する情報。

 SSなら任務に必要な各種技能や知識。

 SAなら搭載される物の操作方法や情報などである。


※ここで問題となるのが、先ほど説明した性格や能力適正未調整の個体である。いくら成長度合いが大きいとはいえ、画家の適性が高い引っ込み思案なアンドロイドを突撃兵のSSにしては宝の持ち腐れであるし、極端な性格の場合任務に支障をきたす場合もある。

 そういった個体は適性が判明次第向いた部署や外部組織に移動となるのだが、流石に無駄が大きいため最近では未調整個体を過度に製造することは戒められる傾向にある。


3.ボディへの搭載

 コアユニットへのデータインストールが完了すると、ボディへの搭載作業が行われる。

 通常の個体なら製造ライン上で行われるが、高級仕様の個体だと人間やアンドロイドの職人が手作業で取り付けを行う。サガラ社製の高級シリーズであるRXタイプは特に有名で、アンドロイドでありながら芸術品としても扱われる。当然その分高価であり、一般人が生涯支給されるベーシックインカムの生活ポイントの十倍以上の値段が付けられる。


4.基本教育

 ボディへのコアユニット搭載が完了したばかりのアンドロイドは、インストールしたデータに基づいた最低限の動作は出来るものの、精神的には赤ん坊同然で幼児のような言動しか出来ない。口調も舌ったらずでたどたどしい。

 この状態で数時間から一週間程度の基本教育を行う事で自我がはっきりして人間的な動作が行えるようになる。

 教育内容としてはインストールしたデータの反復動作と、自我を固定するための会話が主となる。これらはネットワーク上で行う事が可能だが、実際にボディを動かしながら行う事でデータとボディのかみ合わせが良くなり、動作が機敏になる利点もある。

 そのためSSや精密動作が要求されるSLの場合は時間とスペースを取った大規模な基本教育が行われている。


※自我固定のための会話には専用の基本問答集が使用される事が多いが、異世界派遣軍ではTRPGが使用されている。サイコロを用いないロールプレイだけの簡易的なものだが、これによって自我の固定が早期に行われ、過酷な任務に絶える強い精神力を持ったアンドロイドになると言われている。

 ただし、副作用としてやや極端な性格の個体が多くなる傾向にあるため、異世界派遣軍以外ではあまり用いられない教育方法である。


5.現場、パートナーの元へ

 こうして完成したアンドロイドは配属される現場やパートナーの元に届けられる。

 だがこれで完成ではない。

 感情制御型アンドロイドは成長する存在である。

 人間への感情と地球連邦政府とその傘下組織への帰属意識を軸にしながら、自ら考え、学び日々成長していくのだ。


※この成長作用は、人間との接触下に置いて強くなる傾向にある。例えばパートナーアンドロイドは一か月程で(パートナーの嗜好にもよるが)成熟した精神構造とパートナーの求める人格がほぼ完全に発現するが、人間との接触が希薄な歩兵型SSや僻地で活動するSLは業務に関する行動以外の変化があまり発生しない。

 このため、基本教育段階でかつての盲導犬のパピーウォーカーの様に人間の一般家庭に預けて育成する手法が試された事がある。

 その結果この手法は非常に効果的で、試験育成されたアンドロイドはどの分野においても高い適性を示し、成果を上げる事となった。

 ただパピーウォーカーになった人間が手放すことを拒否する事態が多発した事と、そもそもパピーウォーカーのなり手が少ないという状況のため一般化することは無かった。現状ではPAの基本教育を発注したパートナー本人が行う方法が一部で用いられるにとどまっている。


6.製造年数による一般的な傾向(歩兵型SSや一般的なSLの場合。PAの場合もう少し成長が早い)

・製造から数か月     子供

 感情処理が甘くミスや特定の人間への依存などが見られる。黙っていると子犬や子猫の様に固まって行動し、人間を見ると無条件に甘えて来る。


・製造から一年~二年   若い個体

 自我が成熟してデータとボディの嚙み合わせも良くなり、動作が安定している。個別行動が増え、人間への接し方も常識的になってくる。


・製造から三年~十年   中堅

 現場のリーダーとして他の若い個体をまとめる立場。重宝される個体。社会性が高くなり、人間に対してもごく普通に接することが出来る。


・製造から十年~二十年  ベテラン

 精神状態が成熟し、蓄積されたデータにより最も能力的バランスが高い時期。


・製造から二十年以上   円熟

 業務にもよるが精神的な負担から性格や嗜好が極端な個体が増えて来るため、これくらいの時期から配慮が必要になってくる。


・製造から四十年以上   職人

 単純なスペックとしては最高レベルだが、トラウマや過去の経験を拗らせている個体が多いため接する際は注意が必要。同年代の個体や付き合いの長い個体で群れる傾向があり、異動などで別れさせると一気に不安定になるので注意が必要。口先ではアレコレ言うが、大抵人間からの愛情に飢えているのでスキンシップを大目に取ってあげる事が大事。


※参謀型や工場長などのリーダー職、大型艦のSA用に製造された個体の場合、製造数か月で高度な業務につく事になる。そういった個体には担当の人間が現場教育担当として付き、成長を促す事になっている。

 だがそうそう都合よく人手がある事は少なく、人間が数日現場教育を行い後は放置というパターンが(特に異世界派遣軍では)多い。

 重巡洋艦オダ・ノブナガはその典型で、現場教育担当のサーレハ司令のせいで早々にいろいろと拗らせている。

更新遅延のお詫びです。

機会があれば2も投稿します。

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