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地球連邦軍様、異世界へようこそ 〜破天荒皇女は殺そうとしてきた兄への復讐のため、来訪者である地球連邦軍と手を結び、さらに帝国を手に入れるべく暗躍する! 〜  作者: ライラック豪砲
第五章 ワーヒド星域会戦

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第35話 連合軍の秘密

 最終兵装とはそもそも何なのか?


 先のジンライ・ハナコが用いた戦いで見せたように、その戦闘能力は既存の兵器のものを遥かに凌ぐ。

 ここまで七惑星連合軍と地球連邦軍が行った戦闘など児戯に過ぎない様な膨大な破壊力、機動力、防御力を見せる。


 極論を言えば、空間戦闘に特化した三番隊隊長のエリザベットが最終兵装を起動すればシャフリヤールとハストゥールの戦闘に参加する事さえ可能だった。


 となれば、誰もが言う事がある。


 なぜ七惑星連合はこれだけの超兵器を使わなかったのか?


 先ほど例に挙げたシャフリヤールとハストゥール戦においてエリザベットを参戦させ、地上にいる三人のRONINN隊長格に最終兵装を起動させ一気に戦線を突破させればここまで戦況がこじれる事も無かったはずではないか。


 その理由は実に単純。


 あまりに非効率で、最後の切り札であり、そして使用にリスクがあるからだ……。


 まず第一に非効率。

 最終兵装の起動及び維持には縮退炉の発するエネルギーのおおよそ5%が必要となる。

 地球連邦が用いているダイソン球のエネルギーが無線送電やゲート通過時、それに取りこぼし等で30%程のロスがある状態で用いられている事を考えると、ダイソン球とほぼ同等のエネルギーを持ちながら軍事専用かつエネルギーロスの無い縮退炉の5%という数字はあまりにも強大だ。


 計算方法にもよるが、一人のRONINN隊長クラスが最終兵装を維持するエネルギーで兵装展開と同時間地球の電力を賄えるという試算すらある。


 この点を踏まえた上で言うと、最終兵装は()()()()()()()


 巨大文明を支える程のエネルギーを注ぎながら、出来る事は戦略兵器の枠を出ない。


 確かに異世界派遣軍の地上部隊を消滅させるだけの力がある。

 異世界派遣軍の宇宙戦艦に対抗可能な程の力がある。


 だが言い換えれば、ここまで強大なエネルギーを用いてこれだけの事しか出来ないのだ。


 海兵隊や陸軍の特殊部隊や、対艦戦闘に特化した機動戦艦が相手となれば苦戦は避けられない。


 この点、素直に七惑星連合の技術不足であった。


 彼らの技術力ではこの程度の事をするのに、ここまでのエネルギーを無駄なまでに注ぎ込む必要があったのだ。


 その結果……。

 仮に残存する八人全員の隊長クラスが最終兵装を起動すれば七惑星連合軍が崩壊するという笑えないありさまになってしまった。

 この点今後の技術革新が待たれるところではあるが、現状その日はまだ、遠い。


 ではこの問題の多い……否、多すぎる大飯ぐらい達をなぜ作ったのかと言えば、それはナンバーズ対策のためだった。


 そう。

 七惑星連合軍の目的は、構成勢力毎に差異はあれど、少なくとも表向きにはナンバーズからの有機生命体の解放である。


 となれば、地球連邦軍を当面の敵としつつも、その最終局面ないし途中においては先史文明の残滓である強大なナンバーズとの交戦は避けられない。


 無論その点七惑星連合軍には魔法文明の申し子ニュウ神官長やナンバーズ同様の先史文明の生き残りであるベルフ人やンヒュギ人の生き残りを要してはいるが、ナンバーズに対抗可能かと言うと正直言って厳しいものがある。


 そこで開発された対ナンバーズ戦の切り札が最終兵装なのだ。


 ……つまり、最終兵装とは安易に戦線突破などに使っていいものではないのだ。

 むしろ、情報漏洩を可能な限り防ぐためにも秘匿されるべきものだった。


 万の軍勢を消し去る強大な兵装を用いずにいたのは何のことは無い。

 七つの文明を滅ぼし、地球で億の人間を実際に消し飛ばした存在への対抗手段だったからだ。


 だが。


 実の所これらはあくまで最終兵装が温存された副次的要素に過ぎない。

 

 最終兵装が忌避されるその最たる理由こそ、縮退炉という強大なエネルギー源を軍が独占しているという異常な七惑星連合軍の特性にある。


 例えば、異世界派遣軍もダイソン球からの送電をある程度想定した編成にはなっている。


 しかし、派遣される現地のダイソン球の状態が分からないという事情もあり、彼らはあくまで無線送電を補助的なものと捉え、現地軍による自活と空間湾曲ゲートからの補給を主眼にしている。


 しかし七惑星連合軍は違う。

 火星本国が地球に睨まれる事を避けるという建前上、縮退炉の存在を隠匿する必要もあり彼らは縮退炉のエネルギーを全て用いる事が出来た。


 その上設備さえ整っていれば(RONINN並みの装備もしくはンヒュギによる支援が必要と、これはこれでハードルは高い)極小空間湾曲ゲートによるロスの少ない遠隔送電すら可能と、依存しても仕方がない程の条件が揃っていた。


 つまり。

 七惑星連合軍はエネルギー源のほぼ全てを縮退炉”風の杖”に依存しているのだ。


 この状況下で最終兵装を使うという行為……即ち突然のエネルギー供給率の低下と不規則化というものが、どれだけ恐ろしい物か、想像に難くない。


 そして、その恐ろしい状況が……今まさに起きてしまっていた。

以前言っていた最終兵装に関しての解説です。

この点を踏まえて、次回こそ 第36話 帝都決戦 お楽しみに。

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