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地球連邦軍様、異世界へようこそ 〜破天荒皇女は殺そうとしてきた兄への復讐のため、来訪者である地球連邦軍と手を結び、さらに帝国を手に入れるべく暗躍する! 〜  作者: ライラック豪砲
第五章 ワーヒド星域会戦

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第34話―1 大馬鹿野郎

「……大雑把に言うとこんな感じだ。それで気が付いたらマナの体になってた……」


 一木のふんわりとした説明はそれで終わった。

 聞いていたグーシュは何ら反応を示せなかった。


 話が壮大で、個人的で、一木の説明が下手糞だったからだ。


(……だがそれでも分かる。こいつは……話が本当なら一木は! 星間文明を賄えるほどのエネルギーを扱う事が出来るのか)


 そう思うとグーシュの中で好奇心と野心が混じりあった感情がむくむくと動き出してきた。

 だが同時にそれに反する感情も動き出す。

 非常時。ミルシャの命。追って。帝都で戦っている仲間や臣民。


 そういったものと動き出した感情がせめぎ合っていると、一木は素早く立ち上がった。

 腰のホルスターから拳銃を抜き、壁に立てかけてあった盾を手にする。


 てっきりカタクラフトのある場所へ一緒に向かうのだと思ってそれを眺めていたグーシュは、一木が歩み出した方向を見て面食らった。


 一木はグーシュがやってきた方向。

 つまり、未だに地響きや金属音が絶えないハイタとジンライ・ハナコが戦う場所へ行こうというのだ。


「おい一木。方向間違っとるぞ。カタクラフトのある塔は逆だ。ていうか拳銃持つなよ。その盾兼用担架にミルシャ載せるんじゃないのか」


 嫌な予感がしつつも、グーシュは一木が間違っている可能性に賭けて軽口を言った。


 しかし当然ながら一木は歩みを止めない。

 止もしない。


「いいや、これでいいんだ。すまないが俺は行かなくちゃならない。グーシュはミルシャちゃんを連れてカタクラフトに急いでくれ。もう少し行けば憲兵隊が陣地を作ってるから、そこまで行けば大丈夫だ。あとこの担架は人間が持つのは無理だ」


「そんな事は知ってる! 砲弾が止まるような盾だからな!! ……ってそうじゃない!!! なんであっちに行くんだよ!?」


 問いかけられた一木はようやく一瞬だけ足を止めた。

 ぎこちなく振り返ると、小さな声で言う。


「……あの子との因縁は、俺が終わらせなきゃならないんだ……分かってくれグーシュ」


 そう言うと一木は再び歩み出した。


 意味が分からない。

 グーシュとしてはそれに尽きた。

 疑問と腹立ちをそのまま未加工で口から吐き出す。


「意味わからんわ阿保ー! お前そう言う事するのがどんだけ迷惑か知らんとは言わせんぞ! 桜やシャクティがどんだけヤキモキさせたかさー……いちぎーーーーーーーー!!!!」


 叫び終わった時には見た目マナ大尉の一木の白い戦闘服は見えなくなっていた。


「大馬鹿野郎が……」


 小さく悪態をつくと、グーシュはミルシャを抱き起しにかかった。


「……あいつが迷惑ヒロインポジとは……」


 幾分具合のよさそうなミルシャに肩を貸し、グーシュは逃避を再開した。






 最終兵装の展開は一瞬だった。

 極小の空間湾曲ゲートから流れ出した膨大な電力。


 現在の地球の電力数か月分に相当する膨大なエネルギーが流れ込んだと同時に、極小極薄無荷重にまで圧縮されていた大量のオリハルコンが定められた形状へと展開された。


 全身を薄く覆う超圧縮複合装甲。


 オリハルコンの電気形質変換特性をフルに活かして生成された高性能光学装備。


 膨大なエネルギーを最大限活用可能な電気推進装置を大小合わせて全身に88ヶ所に装備。


 オリハルコンにたった一つ。

 硬質化と靭性強化と形質維持というシンプルなプログラムだけをエネルギーに任せて流し込んだ超超超高性能対人刀。


 口さがない者に言わせれば電力による暴力。

 創意工夫のないゴリ押し。

 脳筋と揶揄される単純明快シンプルな直線的暴力を主眼とした装備。


 これが最終兵装だった。


「死ね」


 言葉は最短かつシンプルに。


 武装によっては惑星破壊レベルのエネルギーを用い、ジンライ・ハナコは一木弘和……いや、ハイタに対し吶喊した。


 対人刀剣術の奥義。


 最終兵装によって得た音速を超える速度での突撃に抜刀術ないし大上段からの振り下ろしを合わせた単純かつ回避困難な技。


 ジンライ・ハナコは初手からこれを繰り出した。


(制限時間に加え、こいつに小手先は通用しない!)


 との考えからだった。

 

 脳を潰しても死なないという不可思議な事態も、脳天から真っ二つにすれば関係ないという判断もあった。


「イェアア!」


 猿叫に似た叫びがわずかな時間響く。


 ジンライ・ハナコが動きを止めた……いや、止まったためだ。


「なっ!!!???」


 星をも砕くエネルギーを込めた必殺の振り下ろしは、相手を真っ二つにするどころかハイタの額の位置で止まっていた。

 ハイタが手刀のような構えにした右手から光る棒のような物を繰り出し、それでジンライ・ハナコの一撃を受け止めたからだ。


「それ……すごいエネルギーですね。この強化機兵の装備じゃ対抗できない……」


 複数の女の声が重なったような不気味な声が一木弘和の体から響く。

 ジンライ・ハナコは再びの恐怖を覚えたが、最終兵装まで繰り出したからにはもはやこれ以上の停止は出来ない。


「ビームサーベルなんぞで……!」


「これプラズマなの……ごめんね」


 間の抜けたやり取りの直後、星をも砕くエネルギー同士が斬り合いという極めて原始的な殺し合いを開始した。

次回更新予定は未定です。

とうとう本業多忙にてシフト作成すら困難になったためです。

状況確定次第更新ないしご連絡しますので、お楽しみに。

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