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地球連邦軍様、異世界へようこそ 〜破天荒皇女は殺そうとしてきた兄への復讐のため、来訪者である地球連邦軍と手を結び、さらに帝国を手に入れるべく暗躍する! 〜  作者: ライラック豪砲
第五章 ワーヒド星域会戦

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第18話―7 戦場の様子

 その後ミルシャは同様の話をカナバやルライ達お付き騎士の主要な者達に持ち掛けた。

 ミルシャが見込んだ通り、彼女たちはエザージュ同様次期皇帝であるグーシュの脱出に賛同した。


「一木将軍によると脱出用のようりくかん……空飛ぶ城を一隻用意してあるとの事です。相談して皆さんの主方も一緒に脱出させるように……」


 ミルシャはさらにそう提案したが、意外な事にカナバ達はすぐに賛同はしなかった。


「いや、ミルシャ。ポスティ殿下以外の皇族方はご本人が望まれない限りは帝都からの脱出にとどめておこう」


「どうして!?」


 ミルシャは驚き声を上げたが、カナバはため息交じりにグーシュを肘で小突いた。


「どうしてって、当たり前だろうが。皇族が揃って帝国を捨てて逃げ出しては、いくら何でも民へ示しが付かず、皇族の価値そのものが失われる。僕たちお付き騎士は、確かに主人に仕える存在だ。だが、何よりも皇族という存在そのものの価値守らなければならない。民からの信頼と尊敬を失った皇族には価値がない……そうだろう?」


 エザージュやルライも同意見の様で、横でうんうんと頷いていた。

 ミルシャは内心思わず狼狽した。

 お付き騎士であれば当然である考えに、自分が至らなかった事にだ。


 カナバ達の言う通り、お付き騎士であるなばら自身の主よりも”皇族”を優先するのは当たり前の事だったはずだ。


(僕はもう、お付き騎士では無いのかもしれない……殿下の……殿下だけの騎士だと言う誓いが、僕の在り方を変えているのかも……)


 ミルシャはそう考えると、申し訳なさと本心を隠したい思いから頭を深々と下げた。

 同僚にして部下たちは、そんなミルシャをの背中を軽く叩き励ました。


「何頭を下げてるんだ? 気にするなよ」


「この大変な中、僕たちの主人の事まで考えてくれてるんだ。いちいち目くじらなんて立てないよ」


「お付き騎士の代表になったばかりなんだ。これからゆっくり成長していけばいいさ」


 ルライ達はミルシャがお付き騎士としての常識的思考が出来なかった事を恥じているのだと誤解していた。

 結局、この誤解は最後まで解ける事は無かった……。


 その後、ミルシャはルライ達とこの後の事について話し合った。

 状況は言うほど簡単ではない。


 なぜなら、すぐにグーシュを拘束して地球連邦軍に引き渡せばいいと言うものでは無いからだ。

 一木達が誤解したように、まずはグーシュが”帝国を捨てて逃げた”という感情を抱かれないように巧妙に事態を進める必要があるからだ。


 そのためにも、ガズルを始めとする帝国側の主要人物と、一木を始めとする地球側の主要人物に話を付けた上で筋書きを描く必要がある。


「泥をかぶるのは僕たちで無ければならない。具体的に言えばグーシュ様のお付き騎士である僕だ。僕が殿下の命欲しさに地球側をそそのかして殿下を連れ出した、という見方を帝国側に広める必要がある……」


 ミルシャがそう言うと、ルライ達も同意した。


「やはりそれには一旦殿下にはこのまま帝都防衛の指揮を執っていただき、あくまで逃げる意志がないことを示さなくてはな……その一方で地球側に計画を明かして、状況を見計らって殿下を拘束しなければ……」


「ルニ子爵領は領民まるごと逃げるという事だが……一部の要人に一緒に逃げる事を条件に協力させることは出来ないだろうか?」


 話し合いもスムーズに進み、ミルシャとお付き騎士達は計画の実行について話を詰める事が出来た。

 ミルシャはその場のお付き騎士達に、一旦グーシュに状況報告のための戻ると告げ、訓練場を後にした。


(この後殿下にお付き騎士達との説明のための会合予定日時を伝えて……おそらくその後殿下による今後の行動予定があるはずだから、それを聞いた後で帝国内の主要人物への根回しをして……ああ、それよしまずは一木将軍への連絡だな。ああ、忙しくなるぞ)


 ミルシャは頭の中でこれからの困難への勘定をしながらグーシュの部屋に戻った。

 すると、そこではグーシュが入り口に背を向けて携帯端末を弄っている所だった。


「? 殿下、ただいま戻りました。ルライ達に状況の説明を行った上で殿下が話がしたいとおっしゃっている事を伝えてまいりましたが、今後の……」


 さっきまで怒っていたのに、何をしているのだろうかとミルシャは一瞬訝しんだ。

 まさか、遊戯をしているわけではないだろうが、計画のための計算でもしているのだろうか。


 そんな事を考えていたミルシャに聞こえてきたのは、想像外の音声だった。


『拘束して、一木将軍に引き渡す……帝都灰燼に帰し臣民ことごとく灰になろうとも、殿下には生き延びていただく』


「んな!?」


 思わず妙な声が口から漏れ出る。

 無理もなかった。

 先ほどルライ達と話した時の、ある意味グーシュへの裏切りでもある会話が、あるごと聞こえてきたのだから。


「ああ、ミルシャ……ご苦労だったな。さて、聞かせてもらおうか? お前たちの……計画とやらの詳細をな、お前の口から、改めてききたいのだ……なあ、ミルシャ。わらわの騎士よ?」


 そう言ってグーシュはゆっくりと振り返り、ミルシャをじっと見つめた。


 衝撃のせいか、ミルシャにはグーシュの笑顔がどういった意味を含んでのものなのか分からなかった。

地上の様子は今回で終わり、次回から宇宙での最初の戦闘の決着を描きたいと思います。

その後地球等の様子を描き、そして……。

という予定です。


次回更新予定は9月9日の予定です。

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