設定解説 亜人
亜人
異世界に居住する人間種同様の知能を持ちつつも、人間との間に子供を作る事の出来ない種族の総称。
ただし細かい定義に関しては各異世界や地球連邦政府機関ごとに差異があり一定ではない。
これは地球における差別問題との絡みや、亜人の生体の差などから来る問題であり厳密な定義は容易ではないとされている。
例を挙げると例えば外見は明らかに人間とは異なっていながらも交配可能な種族や、逆に人間とほぼ完全に同一ながらも子を設ける事が出来ない種族がいるなど先に上げた定義だけでは区分出来ない事例が非常に多いためである。
さらに言えばこれらはあくまでも地球側の定義や区別に過ぎず、現地の異世界人による考えや定義による違いも含めればもはや定義は不可能に近くなる。
話が逸れたが、とにかく亜人とは異世界に住む人間に近い要素を持った知的生命体の総称である。
最も有名なのが最初に確認された亜人にして、戦闘用アンドロイドの宿敵でもあるアイオイ人である。
カルナーク戦の長期化最大の要因であり、当時の戦闘に参加した古参のアンドロイドの中にはいまだにトラウマを抱える者も多い。
アイオイ人
惑星カルナークの先住種族とされる亜人種。
最大の特徴は顔面の中央にある握りこぶし代の巨大な単眼である。
この単眼は一見すると巨大な眼球であるが、実態としては顔面表層に露出した脳の器官の一部である。
この眼球は印象に反して非常に強度が高く、生半可な刃物や小口径の拳銃弾くらいならばはじき返す程の頑強さを誇る(実際にカルナークでは騎士がアイオイ人の目を斬りつけたら逆に手首を骨折した、といった伝承や口伝が多く残っている)。
だが、この単眼の特異な点は形状や強度ではない。
それは、この単眼は様々な波長や物質を視認することが出来る点にある。
確認されているだけでもガンマ線、X線紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、ラジオ波、レーダーや機械類の発する電磁波に粒子、音波など多岐にわたる。
さらに視認したこれらをもとに複雑な弾道計算や分析が可能な優れた思考能力を持っており、その上身体能力も人間を凌駕するなど、ある意味で人間の上位種族とも言える存在である。
この様に優れた存在ではあるが、カルナークにおいては長らく奴隷階級として扱われており、その上一部の部族は生体レンズの材料として養殖されるなど、過酷な扱いを受けていた。
※巨大な単眼の表層部分は死後特殊な溶液に付ける事によって弾力性と強度を保ちつつ腐敗しない優れた有機部材のレンズとなるため、軍用民間用問わずカルナーク社会において様々な用途に用いられていた。頭蓋骨を切除すれば眼球がほぼ無制限に肥大する性質を利用して、一時期は戦艦の測距儀や天体望遠鏡用の大型レンズにも用いられていた程である。
しかし、地球によるカルナーク解放作戦の開始によって潮目が変わる事となった。
精密機械であるアンドロイドや高度な誘導装備や電子戦を主にする異世界派遣軍に対抗する手段として、アイオイ人が非常に有効であることが分かったためである。
アイオイ人達はアンドロイドや兵器が発する電磁波や様々な波長を数キロ先、個体によっては十キロ以上先から視認し、その情報を基に超長距離攻撃を行いカルナーク反抗の主力を担ったのだ。
この活躍によりアイオイ人の社会的地位は向上。
よく言っても奴隷、悪く言えば消耗品や資源扱いだったアイオイ人達はカルナーク社会における立ち位置を見つけ、徐々にその立場を確固たるものとしていったのだ。
社会と文化
アイオイ人の社会はごく少数の男性を中心とした部族社会である。
男性は小柄で、人間で言うと小学生高学年程度の体格までしか成長せず、繁殖と社会運営に関する事しかせず、女性に半ば世話される形で生活する。
社会で活動するのはそのほぼすべてが女性であり、女性アイオイ人達は皆背が高く体格も良い。
余談だが、このように優れたアイオイ人がカルナーク人に征服されたのはこの社会体制が理由である。
詳細は文献にも残されておらず不明だが、古代カルナーク人はアイオイ人達の男性を人質に取って征服したとされている。
脆弱かつ数の少ない男性アイオイ人は女性たちにとって庇護対象かつ種族存続の要であり、一旦身柄を抑えられてしまえば反抗することは難しかったのだ。
またこれら一般的な特徴とは別に部族ごとに強い個性があり、人間の人種とは比べ物にならない差異がある。部族はかつては多数あったとされているが、地球来訪時の時点では三つしか残っていなかった。
以下はその三部族である。
ラーナス部族
男性に関しては他の部族と変わりないが、女性も比較的小柄な体格をしている(それでも平均身長は160cmを越えていた)。
身体能力も低めだが、その分眼球が大きくその視認能力や計算能力も高かった。
こういった特徴から、古代アイオイ人達の中では主導的な立場にあったとされている。
しかし近代カルナーク社会においてはその眼球の大きさが災いし、生体レンズ牧場に大半が囚われるという悲惨な境遇にあった。
地球連邦軍による解放後は臨時政府の主要構成員となったが、主だった文化の大半を喪失した彼らを半ば無理やりに親地球政権の構成員にした事が却ってカルナーク社会の混乱と反発を大きくしてしまった。
ココン部族
男女ともに最も一般的なアイオイ人種族。
男性の平均身長は130から150c程度。女性は170から180cm程。
カルナーク戦においては早々に中立的立場を表明して山中や僻地、極地に逃亡。
戦闘が小康状態になると地球側に集団で投降するなど、ある意味で賢い行動をとった部族である。
部族長の男性が優秀だったためとも言われており、現在もカルナーク人から恨まれる臨時政府の運営には関わらない代わりに異世界派遣軍や連邦政府に協力要員を出すことで社会的地位を確立している。
一部の異世界に存在する”魔法”の仕組みを解析することに成功したのもココン出身の異世界派遣軍職員の活躍によるもので、地球連邦内で亜人の代表として徐々にその認知度を増している。
ガーネス部族
男性に関しては他の部族と変わりないが、女性の身長と体格が最も大きく、身体能力も高い(女性の平均身長は190から200cmを超える)。
古代のアイアオ人社会においては戦士職を独占していた戦闘部族であり、カルナーク戦におけるカルナーク軍の主力となった。
その身体能力は超絶というほかなく、トップクラスの戦士ともなれば参謀型アンドロイドと渡り合う猛者もいたという。
巨大な特殊鋼製の斧とニールスト対機械人用ライフルがその象徴の凶暴なウォーモンガー達であるが、戦中のこういった活動が災いし戦後の社会的地位は芳しくなく、貧困にあえいでいるとされている。
申し訳ありませんが、執筆が間に合わないので設定解説を投稿します。
次回更新予定は3月24日の予定です。