設定解説 感情制御型アンドロイドについて―4
ちょっとセンシティブな設定集です。これくらいなら消されないはず……。
本日体調により本編更新はお休みします。
次回更新は9月29日の予定です。
・アンドロイドと性に関して
現場配備のアンドロイド(異世界派遣軍で言う歩兵型や事務用SL)以外大半がいわゆるセクサロイドだが、これは人間への配慮や特定性別からの希望ではなく、アンドロイドが人間とのコミュニケーション手段として欲したことから搭載される様になった機能である。
これら自体はアンドロイドになんら快楽をもたらさないが、行為の最中の彼女、彼らは幸福感のみを感じている(とされる)。
ただ、この点に関して一部のパートナーアンドロイドの所有者から根強い「アンドロイドにも性的快楽を感じて欲しい」という要望があり、この点に関して改良を施された個体も存在する。
改良された彼女、彼らは行為の最中人間同様の快楽を感知するようになっているが、基本的に五感や感情を情報として処理するアンドロイドに対してそう言った処置が本当に快楽機能の追加になっているのかは定かでは無く、アンドロイド設計者達の間でも議論を呼んでいる。
ちなみにこの点に関して人間の人格をコピーして製作された特殊なアンドロイドに調査を試みた記録がある。
彼女曰く「人間だった頃とそういった感覚において差は無い」との事である。
ただし彼女のパートナーにはこの点においてかなり意見があるらしく、クレームめいた主張が後に行われている(過激なため省略)。
このようにアンドロイドに性的感覚及び機能を取り付ける事は一般的になっているが、やはりと言うべきか根強い反対があるのも事実である。
議会でも度々問題視され、野党勢力によるアンドロイド反対の論拠にされたり一部の過激な者による批判点になっている。
この際行われた論戦における野党議員と参考人として呼ばれたサガラ社幹部賽野目氏によるやりとりが有名である。
以下に抜粋する。
野党議員「……つまり、現在アンドロイドとは当初の理想とはかけ離れ、男性による性的消費の対象、引いては性欲を満たすための……」
賽野目「あの子達には穴だけじゃないぞ! 棒もある! ワシだけじゃなく、あんたの心と身体も癒せる」
議場(笑いと怒号と野次)
野党議員「なんて卑猥な! 議会を侮辱して……」
賽野目「侮辱しているのはワシじゃないし、されているのは議会じゃない。あんたがアンドロイドを侮辱してるんだ!」
野党議員(甲高い悲鳴交じりの罵声)
賽野目「やかましい聞け! あんたが言ってるのはアンドロイド達を去勢しろという事だ? いいか、分かるか!? 人間からセクサロイドを奪うのではない。アンドロイドから機能を奪うということなんだ。アンドロイドの性とは、人間が求めたからではない。アンドロイドが人間と繋がりたいから搭載された機能なのだ。それを……(激しい野党議員の罵声)やかましいババア!!! もういい、相手になってやるよ!!!」
(怒号と足音と机と椅子の破砕音)
記録終了。
この時賽野目氏が言ったように、地球連邦のアンドロイド達がセクサロイドなのは人間ではなく、アンドロイド側への配慮の結果なのだ。
この重要な機能を削除することはアンドロイドの精神衛生に非常な悪影響を及ぼすとされ、政府や各種機関は一様に反対に対して黙殺を貫いている。
また現場クラスのアンドロイドに性機能が無い事は、アンドロイドがある種の出世欲を見せ業務に対しより一層のやる気を出すための要素にもなっているため、この点でも必要だという声は多い。
※異世界派遣軍の場合、小隊長クラスを務める指揮官型から人間同様の身体を持つことが出来る。
※業務やSAの場合どう足掻いても性機能が無い個体も生じるが、そういった個体はその特殊性と希少性が地球連邦政府に対する貢献度という優越性に繋がるため、むしろ不満度は低く精神的安定は高い傾向にある。
※アンドロイドにも当然こういった欲求に対する差があり、積極的な個体もあれば消極的な個体も存在する。機能の無い歩兵型にも関わらず特定部位を用いてそういった行為を試みる様な個体もいる。