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第九十六話 目覚めし者

 ウサ族達を連れ、温泉施設に向かっている。


 体型は限りなく人間に近いのに魅惑のモフモフ部分が多いウサ族は、ここの女ドワーフ(といっていいのか悩むが)とはまた違うタイプの獣人であるため、集落の連中から熱い視線を受けている。


 また、ウサ族も同じようなリアクションで、


「ユウ様、ヒゲと一緒に居るのは我らと同じような種族なのでしょうか?魔族?まさか、またユウ様達の力で……?」


 なんて勝手に俺達の功績を増やしてしまっている。功績かどうかは知らんが。


「いやいや、ヒゲとネコ耳は別の種族に見えて同種族、人間族の一種らしい。俺みたいな特徴が無い人間族以外にもいろんな種族が多分いるんだろうよ。なんで男女で見た目が違うかは俺に聞くなよ」


 まあ、ネコ耳とウサ耳同士仲良くやってくれることだろう。ウサ族達もこの集落の穴ぐらっぷりはお気に入りみたいだしな。


 と、温泉施設が見えてきたが様子がおかしい。


 現在準備中で中に入れないため、面白くもなんともない温泉施設前に人が集まり賑やかに騒いでいる。


「あれは……酒盛りしてんのか?何でまたあんな所で……」


 既に夕方を過ぎ夜に向かう時間帯だ。飲んでいること自体を咎める気は無いが、この騒ぎは何だろう?


 嫌な予感を胸に温泉に近づくと奴の声が耳に転がり込んで来やがった。


「あーしがさあ?起きたらぁ、だーれもいないのよお?お昼ご飯も無しでさあ?どうしろってんのよお!」


「ねーちゃん、その話もう20回目だぞ!」


「ちがうよ!もうずっとその話ばっかしてるじゃないか!」


「そうだった!がはははは」


 がははじゃないよ、良く耐えられるな……。

 

 酔っ払いの無限ループほど辛いものはない。別の話題に移ったとほっとしていると直ぐに元に話題に戻して同じ事延々と繰り返すからな。


「お前はようやく起きたと思ったらドワーフの皆様に何迷惑かけてんだ!」


 頭にチョップを喰らわし、女神のループを止める。


「あああああ!!ユウううう!あんたねえ?ひどいじゃないのお!あたしをおいて!いく!なんてえ~」


 うわ、めんどくせえ、めそめそと泣き出したぞこいつ。


 それになんだか周りの空気がおかしい。これではまるで俺が悪者みたいじゃないか。


「あのなあ、昨日言っただろ?お前は明日、今日サボった分挽回しろって。自分でも任せろって言ってたじゃ無いか」


「そ、それは……そうだったけども!黙っていくとか無いんじゃ!ない!の!」

 

 ドン、ドンと机を叩きながら反論してくる。居酒屋で隣の席に居たら最悪な客だわこいつ。


「何度も起こしたぞ?くすぐっても尻を叩いても起きないんだ、どうしろってんだ?」


「しょうないじゃない!お酒残ってたんだもの!それにあんたが行って直ぐ起きたんだからね!」


 絶対嘘だ!その証拠に何人かのドワーフが首を横に振っている。


「そこの彼、こいつ何時くらいからこの様なんだ?


「そうだな、昼過ぎか?皆で昨日の片付けを始めたんだよ。ところがこの人おきねーんだ。あんまりにも邪魔だからさ、そこのモル山に聞いたら外に出しとけっていうもんで……出したんだよな」


「それでも起きなかった?」


「ああ、起きなかった。それであらかた綺麗になってな、モル山達にお礼を言って帰ろうとしたらそこで酒盛りしてたんだよ。酒だぞ?俺達が混ざるのはしょうが無いよな」


 まあ、それはしょうが無いっちゃしょうが無い。そしてパンが目覚めたのは恐らく13時過ぎだろう。


「どう考えても俺らが出かけてから3時間は軽く経ってるじゃねえか!それの何処が直ぐだよ、直ぐ!」


「な、なによ!うちの業界では10年や100年は誤差なんだから!3時間くらいでガタガタ言わないでよ!」


 よし、こいつは放置しよう。


「さて、せっかく皆集まってるんだ、ついでにちょっと紹介させてくれ」


「ちょ、ちょっとまだあたしが……むぐ」

 

 パンの口に肉の串焼きをぶち込んでやった。これで暫く静かになるだろう。


「そこに居るモフモフ達は俺達と同じ所に住んでいるウサ族だ。こいつがコックのウサ男、こっちがメイド長のランだ」


「おお、我らに名前を与えて下さったのですな」


 うむ、名前が無いと呼びにくくて仕方が無いからな。ついでに他のモブウサ達にも名前を与えてやろう。きっと忘れてしまうが、ステータス画面で確認すれば良いだろうし。


「で、そこに居る6人は見習いで右から……ララ、リリ、ルル、ミミ、ムム、メメだ」


 次々にドワーフ達にお辞儀をしてみせる見習達。今回連れてきたのはコックのウサ男以外は雌……いや、女性と言った方がいいか。女性なので男ドワーフ共の視線が熱い。


「こいつらがこの温泉施設でお前達客を世話してくれるってわけだ。まだ開業しないが、その時はよろしく頼むな」


 なんだか異常な盛り上がりを見せ、そのまま二日目の飲み会に突入してしまった。


 見ればマルリさんもちゃっかりといつの間にか飲みに参加している。


 酔いが回らないうちに村の話をして置いた方が良いだろうな。



 エンターキーの具合が悪いのが気に入らず、外してメンテしたら戻すのに1時間かかりました。

 よい子の皆はパンタグラフ式キーボードを分解するのはやめような!


 ……それで遅れるなら予約投稿しろって言う話ですね!

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