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第九十五話 ウサ族、派遣される

 リリィに代わりギルド係員よろしくダンジョンの受付けに座る。


 とは言え、今来る客は村の狩人達くらいだ。そんなに人が来るわけでも無く、時折ルーちゃん達が持ってくる岩塩や鉱石などをアイテムボックスにしまいながら退屈な時間を過している。


 現在ダンジョンは5階層まで作成可能で、そのうち2階層が探索可能な状態になっている。


 とはいえ、1階層目のフロアマスターであるモル丸がめっぽうやたらと強い上に弓矢と相性が悪く2階層に到達出来るパーティーは未だ存在しない。


 ただ、それは俺にとっては都合が良い話である。さっさと2階層に行かれたところであっちはまだ充実していない。ドワーフの村を作る間にでもルーちゃん達には外の森に居る魔獣をスカウトしてもらい、もう少しポップする魔獣の数を増やしたいところだな。


 いや、あそこは冬山か。2階層に冬山地方を作るのも悪くは無いが、3階層目に冬山を再現して寒い思いをして貰うのも悪くは無いな。


 で、火のダンジョンの扱いだが、これは1フロアしかないので、感覚的には塩のダンジョンの終盤にある階層という感じにしたい。


 住んでいる魔獣がやたら強いし、なんたってフロアマスターはドラゴンだ。いきなりあのダンジョンに潜らせるのはちょっと無理がある。


 そうだな、まだちゃんと考えてないけど塩のダンジョンのラスボス的なのと戦うには全てのダンジョンを攻略し鍵を集めなければいけないとかにしようか。

 

 想像でしか無いが、恐らくパンがうっかり作ったダンジョンは他にもあるはずで、それらのダンジョンもまた強力な魔獣が生息していると考えられる。


 もし予想が外れていたらまた別の案を出せば良い。


 とにかく、人々のモチベーションに繋がる場所が作れれば其れでいいからな。


 暇すぎて真面目にダンジョン運営について考えてしまった……。結構暇つぶしになったけど、なんだかムカつくな。


「ユウ様ー、連れてきましたよー」


 良いタイミングでリリィの声が聞こえてきた。後ろには6人のウサ族がついている。

 

「良くやった。最初はお前達に仕事を覚えて貰うからな。当分の間は1週間毎に3人ずつダンジョンに帰還して新たなウサ族をこちらに寄こしてくれ。そうして全員が仕事を覚えたら後はそれぞれ話し合って3日ずつ交代で働けば良いさ」


「わかりました、ユウ様。我らウサ族の誇りにかけて一生懸命働きますね!」


「うむ、期待しておるぞ」


 あれ、こいつら結局ウサ族と自称してるのか。別に構わないけどそれでいいのか感はある。ロップ族とか他に言い様があったと思うのだが、俺的にはウサ族が呼びやすいのでそれで良しだ。


「ユウ様ー、コックとメイドを連れてきましたよー」


 何故か二人送り出してしまったダンジョン係のウサ族達がコックとメイドを連れて戻ってきた。


 「あーー!あたし一人だったのってユウ様のせいだったんじゃ無いですかー!お仕事頼んで悪かったなーとか思ったのに、自業自得って奴じゃないですか!もー!」


 リリィがなんか怒ってるがしょうがないのだ。俺も何で二人お使いに出したのかわからんもん。


「まあ、これで俺の用事はおしまいだ。よし、連れてこられたウサ族諸君。今から君たちには新たな土地で仕事をして貰う。 

 まず、コックとメイドの二人にはそこに居る6人の教育を頼む。1週間ほどしたらこちらに戻ってこれると思ってくれ。次に残りの6人はさっき言ったとおり1週間みっちり勉強したら3人ずつ入れ替えな」


 気がつけばすっかり日が傾き始めている。あっちに帰ったらコックになんか作って貰うか。


「では、諸君俺に続け!」


「「おー!」」


 謎のノリで転送門ゲートに向かう。先頭を歩くのはルーちゃんとナーちゃんを乗せた猫共だ。

 その後に俺、ウサ族達と続くため良く分からない謎のパレードと化している。


 普段からダンジョンにある家に帰るため転送門ゲートを使っているためか、特に盛り上がることも無くドワーフの集落への転送が済んでしまう。


 もうすこしこう、何だこの光りは!とか有れば盛り上がるんだけどな。


 ただ、転送後は凄かった。なんたって環境が全然違うのだ。しかもゲートがあるのは集落の外でダンジョンの入り口前だ。我慢できる気温だとは言え30度くらいは軽くある。ナーちゃんの加護により暑さが和らいでいる我々と違い、ウサ族はダイレクトにその暑さを味わっているわけで……。


「ユウ様……、この地獄のような場所で……我らは……働くのですか……?」


 早くもテンションがだだ下がりだ。


「案ずるな!ウサ族共よ!」


 明らかに普段より動きが鈍くなっているウサ族達に檄を飛ばす。


「ここは暑い、暑いと言うより熱い!しかし、集落に入れば大したこと無いからマジで案じなくて良いよ」


 途中で面倒になったので普段通りに宥める。実際集落に入れば暑くないどころか丁度良いからな。


 その話を信じられないと言う顔で聞いていたウサ族達は、後悔の念が籠もった視線を俺にひたすら送りながら村への道を歩いていたが、徐々に下がっていく気温に気づいたのかいつの間にか疑いの眼差しを向けなくなっていた。


「ほら、そこが集落だよ」


 坑道を抜け、広い空間に出るとウサ族達から歓声が上がった。


「おお!ここは……なんて素晴らしい所なんだ……!」


 そうか、ウサギは穴を掘って巣を作る習性があるものな。昔、爺さんが庭に大きなウサギ小屋を作って沢山のウサギを飼育してたけど床穴ぶち破って穴を掘って巣作りをしていたのを良く覚えている。


 見た目的にどう見てもウサギのウサ族にとって穴蔵の中にある集落というのは魅力的な場所としてうつるのだろう。


 ……ここに永住したいとか言い出さないよね?

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