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第八十六話 うちの集落にも名物を!

 集落に戻ると目覚めた人たちが広場の掃除をしていた。今日1日は使い物にならないだろうと予想していたが、そこはドワーフ酒には強いらしい。


 ……猫耳の女性達にもその特性があるのかは不明だが、こうやってピンピンしてる辺り中身はそのままドワーフなんだろうな。性格もそれっぽいしさ。


 この分ならマルリさんも起きているだろうと家に向かうと、丁度散歩から帰る途中のマルリさんと出会いそのままご招待されてしまった。


「いやあ、昨夜は楽しかったのう。あんなに美味しい食べ物があるなんて知らなかったわい」


「逆にここにはうちの村には無い物が色々あって興味深いですよ」


「むら?むらとはなんじゃ?」

 

 本当は会った日に話そうとしたネタ、宴で有耶無耶になったネタをかいつまんで話す。


 狩人が暮らす集落があるということ、狩りの効率が上がったこと、うまい肉を求めて人が集まってきたこと、物々交換を効率化するため通貨と言うものを作ったこと、より効率的に管理するため村という集合体を作ったこと……。


 俺が話すこと全てに興味深そうに食いついてくれた。特にうまい肉という所に食いついたのはまあ、思った通りだが、村の仕組みや通貨に食いついてくれたのは嬉しかった。


 いずれこの集落とも交易をしたい、いやしなければいけない。となるとなるべくここも村化して通貨を使うようにしたかった。


 今パンが頑張っているだろう転送門ゲートが完成すれば火のダンジョンと塩のダンジョンの入り口が相互につながり、楽に交易をすることが出来る様になるだろう。今後を考えればやはりさけて通れない話だ。


「なるほどのう。この周辺にも多数の集落があっての、それぞれ穴を通じて行き来出来るのじゃが、ここが便利になれば人が集まるじゃろ、そうしたらむらと言うものにしてもいいじゃろうな」


 これは暗にこの集落にも狩りの効率化のような何かをもたらしてほしいと言ってるんだろうな。


 そうだな……、やっぱアレがいいだろうな。


「この集落には熱い泉があると聞きましたが、其れはどの辺りにありますか?」


「うん?ああ、あの臭い泉かの?そんなのどこにでもあるわい」


「じゃあ、逆に普通の泉はありますか?」

 

「泉はないが、地下を通る川が流れ込んでいての、其れをためている池がいくつかあるのう」


 いいね、いいぞいいぞ。これはあれだ、あれしかない。


「熱い泉の近くにある池がもしあったら…面白いものを作れますけどどうですか?」


 俺のちょっとした思いつきを提案してみるとマルリは興味深そうに身を乗り出す。


 結構なおばあちゃんだろうに見た目は猫耳幼女なのでついつい頭をなでてしまう。


「これ!撫でるでない!それよりじゃ!面白いものとは…なんじゃ!?」


「熱い泉は確かに飲水には向きませんが、うまく使うと疲れが取れる面白いものになるんですよ」


 見た目は猫耳幼女でも中身はおばあちゃんだ。疲れが取れる面白いものと聞いて俄然興味津々になる。


「そ、それはいいな!よし、案内するからついてまいれ!」


 年の割に素早く家を飛び出しこっちじゃこっちじゃと手招きをする。これあれかな…、寿命が300年とかでこの年でも若い方とかそういうアレかな……。でも長老って感じだったしな……。


 あの女神のパラメータ設定わっかんねええええええええ。



 すばしっこくチョロチョロ走るもんだから見失いそうになる。そのせいか、時折後ろを振り向いて手招きをしてくれるのだけど、其れがまたとても愛らしい。

 わざと迷子になったらどんなリアクションをするのだろう?そんな意地悪心すら芽生えてしまう。


 と、其れを実行する前に目的地についてしまった。残念。


「ここじゃここじゃ!どうじゃ?左に泉、右に池じゃ」


 なんとまあ、絵に描いたように都合が良い地形……。泉の近くは臭いせいか空地になっているし、これは都合がいいな。


「この一体を俺に預けてくれたら良いもの作りますよ」


 「勿論じゃ、そのつもりで案内してきたんじゃからの!」


 これだけお膳立てされていれば直ぐにでもなんとかなりそうだな。お湯や水を引く工事をして、建物を立てて、魔道具を設置して……。うん、半日もあればできちゃうな。なんて恐ろしいチートツール。


「じゃあ、ちょっと時間かかるんでマルリさんは家で休んでいてください。見てても面白いものでもありませんし」


「そうかの?暇じゃし見ててもいいんじゃが、邪魔になりそうじゃし、そうさせてもらおうかの」

 

 ピコピコと手を降って去っていくマルリさんを見てちょっと後悔する。作業に疲れたときの癒やし役として残っててもらっても良かったかなと。

 

 ……っと、作業に集中するか。先ずは上下水工事だが、参ったなモルモルが居ねえ。とりあえず形だけ作って後から派遣してもらうことにするか。


 元々家か何かあったのかしらんが、開拓キットを使うまでもなく整地されているのは助かった。アレはアレでめんどくさいんだよな。勿論自分でやったらもっともっと面倒なんだけどさ。


 汚水処理用の穴を掘ってと…、むむ、ちょっと掘ると岩盤になっているのか。これは都合がいいな、水をためやすい。地熱もそこまで無いようだし、モルモルが煮えることはあるまい。


 排水は川まで伸ばそう。モルモルが浄化するから平気だろう……多分……。


 一度作っているからサクサクと出来るな。後は上物か。ここの建物は石造りだから木造は目立って良さそうだな。湿気でどうにかなりそうな気もするが、そこは適当な魔道具で解決してもらおう。


 デザインは…やはりアレだろうな……。


 スケッチブックを取り出し、設計図という名の設定画にとりかかった。

 エンターキーがめり込んだので更新が遅れました、ごめんなさい。

 なんとか治りましたが、その後遺症で微妙に押し心地が悪くなり申した……。

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