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第八十三話 火のダンジョンコア

というわけで、ルーちゃんの再現……、火山のコアに受肉させるべく設定画を書く羽目になった。


 机が無いと無理ーだの、椅子がーだの、画材がーだの文句をつけるたびパンが何処からか出してくるため断るに断れない。デジタルのが良いーと、液タブやらを強請ったら無言で蹴られたので渋々とスケブにペンを走らせている。


「うーん、しかしどうするかな。火山……だから火のダンジョンとかそういう感じか?見た目年齢とかどうすればいいかな?」


「ルーちゃんと同じくらいで良いんじゃ無いの?精神年齢がわからない以上、下手に大人の身体にしちゃうと不味いことになりかねないし。無知的なアレでさ」


「何を言わんとしてるか理解した。よし、幼女にしよう」


 後はどういう見た目にするか、か。ゲームのキャラクリしてる気分だなこれは。いや、ノーヒントだから寧ろ新キャラのデザインをしている、と言うのが感覚的に正しいか。ルーちゃんだって元々は冬の原稿の……。


 っと、書かないと。


 ルーちゃんがロングヘアだから……、ボブくらいがいいか。体格はルーちゃんと同じ感じで……

 そうだ、この集落にあるコアだから猫耳にしよう。んで火を司ってる感あるから、耳のフチは炎が揺らめいているようなイメージで……となれば髪の色と目の色は赤だな。


 ……となると、肌の色はやや褐色で、猫耳があるなら尻尾も必要だな。尻尾の先に炎をまとわせて……、服装はアラビアンな感じで。


 よし、こんなもんだろう。


 久々に絵を書いたのでちょっとアレだが、熱意は伝わってくれるはずだ。


「出来たぞ!会心の出来だ!」


「あ、ふーん」


「なんだよそれ!」


「いや、思いがけず良い感じだったんで上手くリアクション出来なかった奴」


「ああ、そういう……」


 ともあれ用意は出来たはず。あとはパンの仕事だ。偶発的に産まれたルーちゃんの再現を意図的にしようとしているのだ、まあ相手は女神様だからチョロいもんだろうけど、女神は女神でも駄女神だから少し心配である。


 パンは俺が渡した設定画を火のダンジョンコアに置くと目をつぶって何かを始めた。


 間もなく辺りに光が降り注ぎ、普段馬鹿にしている俺ですら女神を感じる暖かな加護に涙が……あれ?


 突然光が止んでしまった。どうしたのかなと、思っているとルーちゃんをコアの前に連れて行きその手をコアに触れさせる。


 間もなく儀式?は再開され、徐々に光が強くなっていく。


 眩しくて目を開けていられなくなり、目を閉じてから間もなく、ゴウと言う音と共に光が止んだ。


「……やったか!?」


 パンが何か言っているが無視をした。


 視力が回復し辺りの様子を確認するとかわいらしい女の子がそこに立っていた。


 手を動かし足を動かし、身体の調子を確認している。その子は正に俺が書いた通りの女の子だった。


「成功したようね」


「わーい、妹だー妹だー」


「……おお……身体……姉上と同じ身体だ……」


 あっ、そういうキャラなの?


 受肉し、声を出せるようになった火のダンジョンコアは可愛い声で武士の子みたいな事を言う。ということは……


「母上、父上、創って下さり有難うございます。よろしければ名前を頂きたく……」


(ちょっと、なんでこんなに武士っぽいっていうか賢いんだ?)


(知らないわよ!ていうかほら、名前、名前考えてやりなさい!)


 名前か……、ルーちゃんは塩のダンジョンだからソルトから転じてルト。ここは火のダンジョン、火山、ボルケーノ?強そう……。火……ほむら……は色々かぶるからだめだ。


 そうだ、こんな時こそスマホじゃん。賢くない我らの救世主!教えて検索エンジンー!


 [火 外国語]


 おお……色々出てきた。どこかのゲームやアニメで見たような名前がたくさんだな……。


 っと、これが良いな。うん、決めた!


「よし、お前の名前はナール、アラビア語で火を意味する言葉だ。よろしくな、ナーちゃん」


「おお……ナーちゃん……いい名前を有難うございます、父上」


「あんたにしては良いチョイスじゃないの。よろしくね、ナーちゃん」


「ナーちゃん!ナーちゃん!」


 キャッキャと喜ぶ子供達。さてさて、愛らしいがこのナーちゃん、どうしよう……。ダンジョンコアということは、このダンジョンを管理するのだろう?しかし、こうして受肉した以上一人にするのはなんかアレだ。


 精神年齢がルーちゃんより高そうに見えるが実際の所は分からない。その辺ちゃんと考えてるんだろうなあ、女神様ー?


「ふふん、あんたが何を考えているかお見通しよ。大丈夫、ナーちゃんについてはちゃんと対策を取ってあるわ」


「聞かせて貰おう」


「儀式の途中、中断してルーちゃんを連れて行ったでしょう?あれはね、ルーちゃんとナーちゃんを接続するために必要な行動だったの」


「接続」


「そう、接続。ルーちゃんはダンジョンコアとしては異例の強大な魔力を秘めているの。それこそ他のコアが束になっても敵わないほどに。

 ほら、ダンジョン内に湿原とか森とか創っちゃったでしょ?あれはルーちゃんにしかできない特別な力なのよ」


「それで、その魔力を使って接続?そう、その接続ってのはどういう意味があるんだ?」


「ルーちゃんをマスターコアに任命したの。つまりダンジョンコアを統べる存在。その恩恵として、まずはここ、火のダンジョンの入り口と塩のダンジョンの入り口を繋ぐ転送門ゲートが設置出来るようになったの」


「ほほう、帰りは楽が出来るって事か?」


「いいえ、こっちに創るだけじゃダメよ。帰ってからあっちでも専用の転送門ゲートを創らないと」


「お前だけあっちに転送して設定したら良いじゃん、女神なんだし」


「あっ」


 

 どうやら帰りは楽に帰ることが出来そうだ。旅の楽しさ?知らない子ですね……。







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