第五百七十三話 二度あることは三度ある 七度もあったらもっとある
本日3本目です。 この話の前に10時更新分、13時更新分があります。
突如現れた女神様と部屋で二人きりのわたくしユウでございますけれども、そこにキャッキャウフフな空気はなく、なんと言いますか、いやほんとなんと言ったら良いかわからない状況です!
さて、そのわけがからん状況を解決させようって言うアマテラさんでしたが、懐からスケッチブックをにゅっと取り出し、俺に手渡してきたのです。いやいやなんでスケブ? スケブなんで?
「何、お主がこれまで何度もやっていたことを何時も通りやるだけだ。そう、手始めにコアを覚醒させるのだ。ユウ、いや "星乃☆くず先生”気合が入った設定画を一枚頼む!」
「なっ!? なぜ俺のペンネームを!?」
「ふふ、地上の文化にはあらかた目を通していると言ったろうに。当然お主の本も把握済み……というか、わんこから布教だと1冊ずつ貰ったからの。以来、お主の本は欠かさず買うようにしておる」
「ああ……なるほどですよ。へへ、ありがとうございます……で、このスケブにいつもの如く、”僕の考えたさいつよに可愛い娘ちゃん”を描いたら良いんですね?」
妙に使い込まれた感があるスケブを受け取りながら確認をとると、アマテラさんはブンブンと大きく首を横にふる。
「いやいや、それは違う。それには書くな! 設定画はこの部屋で描くのであれば別に液タブを使っても良いし、ノートに書いても良い。それに関してはお主の画材を使うが良い」
「えっ? じゃあなんで俺にスケブを渡したんです?」
「それは私用だ! 設定画を書く前に筆慣らしとして "猛犬乱舞のわんわん丸が大盛りご飯を前にはにかんでる様子" を頼む! ああ、服はよく書かれるイベの洋装じゃなく、デフォの着物での!」
「まんまスケブお願いしまーすってやつじゃねえか!」
「ふふふこれくらい出張費としておまけしろ」
まったくもう。いやまあ、別にいいんですけどね? モウラブは俺もちらっとやってましたから、描けと言われれば描けますし。わんわん丸は男の子なのにやたらと可愛いから俺も好きですし。しかしこのタイミングで言うことかよ……ああ、はいはい。そんな顔しなくても書きますよ。作家として読者様からスケブを頼まれるのは嫌ではありませんからね。
……
…
そしてスケブに40分(ダメ出し含む)設定画に30分を費やしまして、覚醒の用意が整いました。スケブのが時間かかってるってなんなんだよ……ま、めちゃくちゃ喜んでましたから良いんですけどね!
「ふむ、なかなか可愛らしい幼女ではないか」
「でしょう。コアの色、桃色をベースとした髪色に、ふわっふわのワンピース。ああ、ここが何のダンジョンなのか聞かずに書いちゃったけどこれでよかったんですかね」
「うん? まあ、よかろ。この幼き姿も生まれたてのコアにぴったりだし」
そんなもんですかね。 あとはええとどうするんだっけな? 確かパンがルーちゃんと手をつないで……ああ、データベース役のルーちゃんはともかくとして、肝心の神力バッテリー事、パンがいねえじゃねえか。俺の神力だけで創るのはなんか父ユウ母ユウみたいでアレだし、そもそも無理な気がするし……。
「それなら大丈夫だ。ほれ、これをわんこの代わりにするのだ」
アマテラさんが俺に手渡したのは例の小箱。一体いつのまに取り出してたんだ……。
「その中身を設定画の上に置くが良い」
「置くが良いって……気軽に言うけど……はあ……はい、置きましたよ」
俺の設定画が印刷されたマット紙の上に堂々とした姿で輝くパンさんの真っ白なシルクのおぱんつ……ッ! なんだろうなこれ……
「ぷくく……印刷された絵の上に……下着とは……これは妙な趣味だと勘違いされても……」
「あんたがやれつったんだろうが!」
「くはは、すまんすまん。いやでも実際これシュールだし、変態的だろう? 笑うってこんなの! くははは」
「それはわかりますけどねえ! つうか言葉! 威厳! 保てよ! 神の威厳!」
ギャアギャアと久々の残念なやり取りをしていると……パンツが、いや設定画が輝き始めた。 パンツがパンさんの代わりとなり、無駄に神々しい光の柱を立て……うっわ、ここ地球ですよ? 日本ですよ!? ご近所さんに見られない? え? 大丈夫なんすか。 そうですか。 じゃあいいです。
てなわけで、もはや見慣れたいつもの流れに沿って……俺が書いた通りの女の子が光の中に姿を現した。
そして光の中で座り込んでいた女の子はゆっくりと目を開き、俺の方を見て口を開いた。
「……パパ?」
……くっ! かわいい! もうかわいい! 流石俺の子!
「ああ、パパだよ。よろしくな……ええと、そうだアマテラさん。この子結局なんのコアなんです? 名前のつけようがないや」
「ああ、そうじゃったの。この子は創造のダンジョンコアだ。お主の部屋に染み付いた創作の神気が作用したのじゃろう。まったく全くお主らしいダンジョンを作りおって」
創造……だと? 時とか重力とかそういうやつが来ると思ったら、まさかの創造……。
創造、創造かあ……まんまつけるのはやっぱアレだから……少し短縮して……よし!
「はじめましてだレア。お前の名前はレアだよ」
「レア……? それがレアの名前? ありがと、パパ」
もう早速一人称が名前かよ。可愛すぎかよお……やべえな、子供たちレスも加速していたから久々のわが子という存在に俺の中の父性が天元突破しそうだよお……
……って、そうじゃないだろ。ダンジョンコアとは言え、幼女を生み出してしまったわけで、何度も言うがここは実家だぞ!? 一体これから俺はどんな目にさらされてしまうんです? NO! ポリスメンNO! 俺じゃない! あいつがやった! 知らない話だ! 済んだこと! いやいやマジで!ってなっちゃうんです?
「ええい、思考もやかましいやつだな。落ち着け。まずは落ち着け。うむ、OK? 続けるぞ? ダンジョンコアを覚醒させたのには理由がある。それはこのダンジョンをこれ以上成長させぬよう、一見普通の部屋に見えるままにする事と、ここから溢れる魔力をよそに流す事、その2つの仕事をさせるためじゃ」
「なるほど……ダンジョンが成長せず、魔力をあちらに流せば、それが溜まって魔物がこの部屋で爆誕することも無くなるわけか」
「うむ。それが可能となれば、そこなレアの身もここより良い場所に置くことが出来るし、なによりお主にとっても良い結果がもたらされることになろう……我からすると少々面倒が増えるので喜ばしいことではないが……まあ、こんなこともあろうかと既に方々への根回しはしておるので今更なのだが」
神様の根回し……? 俺にとって良い結果……一体何が始まるんです?
「お主、リプラシルにおけるダンジョンの役割を覚えておるか?」
「ええと、魔力を糧に魔物や魔石を生み出したり、そのダンジョンそれぞれの特色を活かして何らかの貢献を世界にする感じの……」
「めっちゃふわっふわな事言っとる……あれから2年しか経っとらんのに、随分と忘れておるの」
「いやあ、照れますな」
「褒めとらんわ! はあ、一番肝心な事を忘れおってからに。もう一度聞くぞ。お主が育てたリプラシルにおいて、ダンジョンとはどの様な役割を担っておったんじゃ? ダンジョンが各地にある利点とはなんじゃったんじゃ?」
ダンジョンが各地にある役割……利点……。大地それぞれの特色がある愉快なダンジョンが楽しめる……違う。ダンジョンの特徴を備えたかわいい子どもたちが……そうだけど違う。 ダンジョンコアの子どもたちがもたらす加護が……これはちょっとズレてるや。ええとええと……
ダンジョンは……ダンジョンとダンジョンは……転移門で繋がり、相互に移動することが……
……!
まさか。
「そのまさかだ。言うたろう? このダンジョンはリプラシルと地球の神が作ったダンジョン。お主はすでに亜神となっている。亜神とは言え、神。あちらとこちらの神力が混ざり合ってダンジョンが生成された結果、2つの世界に跨る非常に管理がデリケートで面倒な代物になったわけだが……」
「その件についてはその、申し訳なく……」
「全くだよ! 管理せぬまま放置しておけば、双方の世界に少なからず悪影響を及ぼしたはず。しかし、お主とわんこが作ったダンジョンである以上、当事者であるお主ら以外には関与ができんときた」
「ああ、それは本当に面倒で……」
「だろう!? まあ、お主があちらで上手い方法を編み出しておったからの。ダンジョンコアを人化させる、いいじゃないか。話が通じやすくなるし、人化は何より浪漫がある」
「わかってますな!」
「うむ! 我としては少年のコアも見てみたかったのじゃが……いや、それはいい。
……というわけで、じゃ。 レアよ、早速で悪いがの、転移門を創るのだ」
「アマテラさんが言うくらいだし、生まれたばかりのレアでも転移門自体は作れるんでしょうけれども、2つの世界を結ぶ転移門なんてもの、存在して良いか悪いかの前に作れるもんなんです?」
「まあ、通常では不可能だな。いくら2つの世界に跨るダンジョンという好条件だとしても、それは不可能だ。ダンジョンが跨っているというのは、存在がでは無くあくまでも管理上の話じゃ。別に内部であちらと繋がっているわけじゃあなく、わんこの神気経路と僅かに繋がっているだけだし、ダンジョンの本体はこちらにだけ現れている。
経路が繋がってる以上、普通は何かしら気づくはずなんだが……どうせわんこの奴はこのダンジョンに気づいてすらおらんだろう」
「なるほど……。跨っていると言ってもそのままの意味ではなくて……あれですな、2つの国が権利を主張している島みたいな」
「それはちょっと違うしデリケートだからやめろ!……話を戻すぞ? お主の娘、ルトは膨大な魔力と神力を使いとても器用な事をしておるが、それでも世界を繋げる様な真似をするのは不可能だろう」
ルーちゃんって結構色々すごいことやってるよね。小さな世界を創造するようなことをポンポンとやってパンの顔を青くさせてたし……こうやってアマテラさんの耳に届いているあたり、ほんと何かギリギリな恐ろしい事をしているんだろうな。
しかし、そんなルーちゃんでも不可能なことを生まれたばかりのレアにさせる? ルーちゃんに出来ないことをレアができるわけが……ああ、そうか。
「レアは創造のダンジョンコア。だから通常ではありえない物も創造出来てしまう、そういうことですか」
「うむ。扱い方を誤ればとんでもない事になりうる存在だが、お主とわんこの元で暮せば悪いようにはならんだろう。それではレアよ、そうだな……うむ、やはりこういうのはここに創るべきじゃの」
アマテラさんは転移門の設置箇所を指差し、レアに作るように促す。なるほど、たしかにそこはその手のアレに関して定番というか、部屋の中に作るならそこが相応しい気がするな……。
そんなところに作ると出入りの際に壊れそうな気もするけど、きっと魔術的なアレで質量とかそういうのの法則を無視しやがるんだろうて。
とてとてとレアが歩き、えっちらおっちらとよじ登り。やがて陣を描く場所までたどり着く。そしてこちらを見てニッコリと笑って。
「パパ、見ててね。レア、パパ達のためにがんばる」
と、やる気十分だ。ああ、この感じ、ルーちゃんそっくりだな。ルーちゃんの時より成長がやたら早いが、そのへんの話はいつかアマテラさんに聞くとしよう。今は転移門だ。
「ああ、レア、がんばってな」
俺の声に大きく頷いたレアはぶんぶんと大きく腕を振りながら、アマテラさんの指示に従い一生懸命に陣を描き始める。
――そして15分後。
俺とレアは机の引き出しに潜り込むように部屋から姿を消した。21世紀からきますた! なんつってな。
ユウ「まさかまたあっちの世界にいけるなんて!」
アマ「まだおったんか。はよアッチにいかんかい」
ユウ「だって長すぎて更に分割しちゃったんですもの」
アマ「まったく。メタい事をいいよる」
ユウ「しかし、最終話に新キャラを増やすとかひどいですよ」
アマ「新キャラとか言うな! お主の娘じゃろうが!」
ユウ「だからですよ! 出番が少なすぎて可愛そうでしょう?」
アマ「そこはそれ、完結後のSSとかで……な?」
ユウ「よくあるやつだ。機会があればそういう事もあるでしょうけども……」
アマ「まあ、そういうことで良いではないか。む、そろそろ次話じゃぞ!」
ユウ「まじか。アマテラさん、今回はマジでありがとっす!」
アマ「うむうむ。リク本の件、忘れぬようにな」
ユウ「ははあ。あちらに戻れる以上アシには困りませんので、必ずや」
アマ「うむ! よい心がけじゃ。ではわんこによろしくの!」
ユウ(しまった、なんでパンの事”わんこ”って呼ぶか聞くんだった)
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予定ではこれが最終話だったのですが、なんか1万文字を超えちゃったので
予想外にもう一話分割です。てなわけで、この後15時更新分がございます。




