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幼き世界に調律を  作者: 未白ひつじ
最終章
569/577

第五百六十六話 あっさりとマリーノ

 はい。というわけでナーちゃんを連れてマリーノにやってきたわたくしユウなんですけれども。


 なんだろな、親子デート? 良いですよねって感じですね。


「ほらほら! 父上! スーちゃんが待ちくたびれていますよ!」


「今行くってば、ちょ、力強いなナーちゃん!」


 ゲートから出るなりグイグイと袖を引きます。どんだけ俺とのお出かけが嬉しいんでしょうか。いやかわいいなあ。


 どうせ現地で一緒になるのだからと、スーちゃんも一緒に行くように誘ったんですが、水のダンジョンで待ち合わせしてから遊びに行くのが良いと、謎のこだわりを見せたため、家から一緒に来たのはナーちゃんのみ。


 そんなわけで、街に向かう前にダンジョンに寄る感じになっているわけなのです。


 ダンジョンと言っても、まだまだ開店休業中です。水のダンジョンをはじめとしたエレメントダンジョン達はゲームで言うところの終盤に行くところです。まだまだ序盤に生きてる冒険者共が現れることは無く、元々住んでいた魔物達が来る日に備えて日々研修をしているとのことです。


 水のダンジョンの入り口部分である地底湖の波打ち際に向かいますと、倒した椅子の上にだらりとスーちゃんが寝そべって……いや、ガチ寝していました。


「ほらほらスーちゃん。来たからおきな」


「ん……今日は何年の何日……? あれからどれだけ……」


「1時間もたってないから! ほら起きた起きた!」


 ナーちゃんと二人で左右からユッサユサと椅子を揺らすと、仕方が無いなあと言った顔で渋々と椅子からむくりと起き上がりました。


「前回起動時から……28292年が経過……おはよう……マスター、そして姉妹機ナールよ……」


「スーちゃんはまた妙な漫画に影響されていますね。父上、フィーちゃんにキツく言っておいてください」


「ああ、これフィーちゃんのせいなんだ……」


「無口系AIは至高……」


 なんだか妙な方向に転がって話が進まなくなりそうだったので、右手にナーちゃん、左手にスーちゃんと間に入って半ば無理矢理に街に向かうことにしました。


「む……スクランブルか。おとうもやるね」

「もうそれでいいから父上の手を離さぬようにね」


 この状況はこれはこれで嬉しいのか、さっきからナーちゃんの尻尾がぶんぶんと振られていますな。ナーちゃんスーちゃんは尻尾が生えているので、言葉や顔に表れない感情が読み取れちゃいます。


 この二人は妙に仲が良いところがあるのですが、きっと亜人系の特徴を持つ同士なのが関係してるかもしれませんね。


 しかし、この夏の大地って奴はゲートから街に行く途中にビーチを通るわけで、否が応でも『いつ来ても夏だなあ』と気候以上に思わせてくれます。


 だってゲートから歩いて間もなく見えてくるのが海の家だぜ? わらわらと居る海水浴客達だぜ? おう、夏だぜ!ってなるじゃん。ならない?


 海の家の数もなんかしらんまにがっつり増えていて、香りにやられた子供達にねだられ、焼きもろこしに焼きイカ、フランクフルト等を買わされました。


 まだ街に着いてないというのに、仕方が無い子供達ですね。いやまあ、こういう場所で漂ってくる「何かを焼いている旨そうな香り」は暴力的で抗いがたいですからな。子供達がやられてしまうのは仕方が無いことでしょう。


 せっかくなので、道路では無く砂浜をサクサクと街まで歩きました。波打ち際を歩いたため、時折波がサンダルを洗っていって気持ちが良い。


 そうこうしているうちに街に上る階段に到着。


 階段を上るのは勿論嫌なので、エレベーターを使います。ここには俺とパンが苦心をして……やらかして、ブーちゃんに手伝って貰って作った水族館もあります。


 厳密に言えば何処かの海の中をのぞき見してるような仕掛けなので、水槽に魚がはいっているわけではないのですが、この仕組みのおかげで深海魚なんかも見られちゃう……おい、今リバイアの奴が横切ったぞ……あいつ海底で何してんだ。


 ……さて、気を取り直して街に。


 マリーノの代表達に挨拶は……別に良いか……尺が無いしな。


 改めまして。


 ここ、マリーノは二つの顔を持つ海洋国家です。海水浴にフィッシング、キャンプ等を楽しめるマリンレジャー。そして新鮮な海産物と、それを利用して作られる様々な加工品。食と遊びで二度美味い素敵な国家。


 中でも鰹節や干し昆布等の出汁に使われる加工品は今や無くてはならない存在です。四方を海に囲まれている大陸ではありますが、海に面した大きな都市があるのはマリーノだけ……あれ……クロベエんところもそうか……


 ……ごほん。


 大きな水産加工場を持つ都市はマリーノだけ! シガラキにも海はありますが、あちらは日本で言う所の太平洋側北部に生息する魚介類に近い物が多数生息する海域ですからね。


 競合してない! いいね! 昆布? 底は目をつぶれ!


 はい。かぶってない。

 

 まあ、そんなわけで、マリーノもまた独特の商材がたっぷりとある国ですのでね、商人ががっつりやってきていますし、それに加えて最近は若者の観光客が、以前とちょっと層が違う観光客の姿が増えています。


「マメスケどのー! マメスケどのー! こっちですぞー!」

「おお! ヤッシーどの! 失敬! バス停はこちらでしたか!」

「マメスケどの、ヤッシーどの! 緊張しますなー」

「そうですな、マサハルどの! なんといってもアイドルの聖地!」

「胸が熱くなりますな!」

「「「どっ」」」


 ……アイドルの聖地としてあまりにも有名になってしまったゾネスの里にめっちゃファンが押し寄せるようになってしまいました。


 クローズドな感じがすげえしてたゾネスの里がこうなっちまうとは誰が思っただろうか。


 まあ、マリーノもなんだかんだで人口が増えてますし、街も賑わってますしいいんじゃないっすかね。


「父上、ソフトクリームが食べたいです」

「おとう、わたしも食べる……」


「ソフトクリームか。うし、せっかくだから牧場の奴食いに行こうか」


「「わーい」」


 夏の大地はまあこんなもんでいいだろ……ゾネスはこの間行ったばかりだしな……。


 というわけで我々は秋の大地へと足を向けたのでありました。

パン「雑に終わらせたわね」

ユウ「マリーノはまあ、べつだん語るような土地でもないし……」

パン「ひどい奴……。養蜂場の伏線とかぶん投げてるしさあ」

ユウ「アレ伏線でもなんでもねえって! ただナギサちゃん連れてくってだけだったし」

パン「ほんとにー? ほんとでござるかあー?」

ユウ「蜂蜜はあの後責任を持ってスタッフがお届けしました。もうこれでいいじゃねえか!」

パン「雑ゥ!」

ユウ「ま、こうやってさ。子供達との思い出を作っておかなきゃなって……ね」

パン「なによ急にシリアスなこと言わないでよ」

ユウ「はは。そうだな……あと10日くらいかあ……」

パン「ちょ、マジで急にまともな感じになるのやめて! なんかこう! なんかこうだから!」


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某剣盾に備えてストック作ってるところですが、更新止まったらお察しください。

某怪盗Rの時はなんとかクリアするまでストックで乗り切れましたので平気かと思いますが……。

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