第五百六十話 いざ魔王国へ
なぜこのタイミングで唐突に登場したのかわからない新種族のお話をさっくりと適当に、かつ雑に終わらせてやったユウですけれども。
いやまじでホントなんでこのタイミングだったんだよ……まあ、クロベエの影が薄かった理由がわかりましたけれどもね? ……まさかそれの言い訳のために……? いかんいかん。それ以上はいけない!
というわけで、たぬきの国にさよならグッバイした俺はパンと二人、懐かしき我が家に戻ってきたわけです。クロベエ? あいつはおいてきた。王様業で忙しいんでな! ってわけでもないんですけど、あいつら勝手に適当に自前のゲートで何時でも好きなときに戻ってこれますからね。
またしばらくの間放置ですよ、放置放置! だって話が進まないもの。
さて! 何度仕切り直すんだって話ですけれども、今度こそ本題に入ります。本題が何かってそりゃ予告通り魔王国ですよ。
「もしもしルーちゃん? そう、俺ー! うん、いやあ、面白い国だったよ。ルーちゃんもお手伝いしたんだって? すげーな! 流石かわいい俺のルーちゃんだ! うん、うん。 あーそう。 じゃあ、今夜はシチューにするよ。うん、楽しみにしててね。じゃあ、また後でねー」
ふふ、うちのルーちゃんは可愛いですね『今日はいっぱい頑張ったからシチューが食べたい!』だって! よーし! パパ張り切っちゃうぞ……ってちがーーーう! ルーちゃんは可愛いからちがく無いけどちがーーう!
「あ、もしもし。うん、何度もごめんね? うん、え? シチューの人参は星型が良い? よっしゃ! 銀河系ができるほど作っちゃる! そこまでいらない? そっかー うん、うん じゃあ、また……って違う違う!
うん、あのさ、魔王国って今どんな感じかなって。うん、パンの奴からできた~っていうのは聞いてるんだけど、お城とかあるのかな? 見れるのかな……見れる!? そう? うわー、え、今から? 行く行く! じゃあ、待ってるから迎えに来て! うん、じゃあ、またねー」
「きたよー」
「わ! 流石に速いな!」
いやあ、ついうっかりまたルーちゃんに流されてシチューのお話で終わっちゃうところでしたけれども、なんとか軌道修正できたので褒めていただきたい。
無駄にだらだらと消費してしまった分はルーちゃんが突如転移してくるという荒業でノーカンですしね。
「あちこちの国を巡ってきてね、じゃあ、最後にルーちゃんの国を見ようかなって思ったんだよ」
「なるほどねー。といっても、私が居る階層以外は2階層と3階層を除けば全部普通のダンジョンだよ? 将来的に生活層を増やそうかなって考えているけど、今の生活層だけでも合わせれば大陸一つ分くらいはかるくあるからね」
「ああ、それはいいんだよ。俺が見たいのは王城がある階層だけだからね。他の階層は今まで嫌ってほど通ってるしさ」
「あはは、そうだね。じゃ、私達のお城にご案内するよー! えーい!」
ルーちゃんの可愛らしい掛け声とともに俺の視界がゆらぎ、ふわりと身体が軽くなったと思ったら、見慣れない場所に到着していました。
「なんというか……良い意味で魔王国らしくない景色だな……」
「そうかな?」
そうだよ! なんと言いますか、何処からか竪琴の音が聞こえてきそうなほどに澄み渡る青空、若葉色の木の葉を揺らす木々。心地よい涼しげな風はキラキラと鮮やかな色をした草原を揺らし……深いのか浅いのかわからないほどに澄み切った小川には彩り鮮やかな魚たちが泳ぎ、極彩色の水草からその身を出したり入れたりしている。
そして、その小川が行く先は大地の端であり、そこからどこかわからないけれども底が見えない下層に向かってとうとうと流れ落ちています。
遠くを見れば、同じようにぷかりぷかりと浮かぶ浮遊島がいくつか見え……後ろを振り返れば白亜のキラキラと輝く美しい神殿のようなお城がそびえ立っている……。
「ねえ、ルーちゃん」
「ん?」
「ちょっとさ、この台詞読んでみてくれる?」
「えっと……ごほん。『目覚めましたか? 驚くかもしれませんが、あなたの生はあの日あの時終わってしまいました。しかし、悲しむことはありません。とくべつな星の下に生まれた貴方には、他の人には得られない選択肢が与えられます……私の世界に転生し、新たな人生を歩みませんか?』って、これママのお仕事じゃん!」
「うっわーーー! すげえ! めっちゃそれっぽい! うける」
「うけるじゃなくて、なんで女神様のモノマネみたいなことをさせたの?」
「だってさ……ルーちゃん……ここってどうみても……ねえ?」
「うん?」
「どうみたって俺みたいな異世界ファンタジーが夢見る例の天界じゃないか!」
「はっ!」
いやいやマジでマジで。魔王が住む魔界的な感じじゃあ無くって、こりゃどうみても天界じゃないっすか。確かパンさんが手伝ったんだよね? だったらこんな事にならないはずなんだけど……。
「もしもし? パンさん? 俺だけど」
「なによ……久々にだらだらするのに忙しいのよ……後にしてえ……」
「ああ、暇なようだな。よし、話があるから後書きに来い」
「えっ!? ええええ……めっちゃ嫌な予感がするんですけど……」
「怒らないからきなさい」
「それってめっちゃ怒られる奴ゥ!」
怒りませんよ?
ユウ「何故ここに転送されたかおわかりになりますでしょうか」
パン「え!」
ユウ「お前ほんと大抵のネタくいついてくんのな。そういうとこは好きよ」
パン「えへへ……どうも」
ユウ「いや、マジで怒るために呼んだんじゃないのよ。疑問を解消したくってさ」
パン「疑問?」
ユウ「うん。ここって魔王国だろ……?」
パン「そうよ! 私とルーちゃん、そしてフィーちゃんが腕によりをかけて創造したんだから!」
ユウ「だろうな。いや正直感服。めっちゃ良いマップですわ」
パン「でしょう、でしょう!」
ユウ「でもさ……魔王国だよ? 魔界的なものを想像してたわけよ……それがなんでこんな……」
パン「ああ、なるほどね。それはあんたの思考があまりにもテンプレに過ぎるってだけよ」
ユウ「テンプレに過ぎる」
パン「魔族領が地獄見たいな場所じゃ無い理由なんて無いでしょ。魔族だって人族と同じ環境が快適なんだから」
ユウ「た、確かに……」
パン「それにほら、ルーちゃんって天使でしょ? 勿論比喩的な意味合いだけど」
ユウ「そうだな。ルーちゃんマジ天使」
パン「フィーちゃんもこう、堕天使感あるじゃない? そんな子達が住むのよ? ぴったりじゃ無い?」
ユウ「ぐうの音も出ません! お見事です! 女神様!」
パン「でしょうでしょう! ふふん! もっと褒めて良いのよ!」
ユウ(あれ……? なんか上手く丸め込まれたような……でもまあ、悪くは無いのか?)
パン「なに変な顔してんのよ。ほら、ちゃっちゃか次話に行きなさいな!」




