第五百五十九話 唐突に始まり雑に終わるんですよ
というわけで、シガラキ滞在中のわたくしユウですけれども。
夜が明けまして、王家の方々と穏やかな朝食を食べた後、王様とシガラキの今後について熱く語り合いました。
「でさあ、シガラキどうする? 俺としてはやっぱ他国と交流してほしいかなーって思うんだけどさ、どのように運用していくか何か考えていることとか有るかい?」
「ユウさあ、忘れてない? 俺ってこう見えてもれっきとした猫だよ? 猫にそんな相談事されても困るよ。あっちで猫にそんな事言ってるの見られたら生暖かい目でみられるぞ」
「……そのつっこみ、今更過ぎるだろ!」
だったら、この国をここまで立派に作り上げたのは一体誰なんだ!……うちの子供達でした。
そうだった……ルーちゃんを始めとしたうちの子たちがせっせと手を貸し、ウサ族などの派遣をして作り上げていたらしいのがこの国だったね……。
しきりなおし!
というわけで、わたくしユウですけれども、王族の方々が見守る中、国王が信頼する外部組織の者を当面の代理人……宰相として迎い入れ、国民の中からキチンと国を管理できる者が現れるまで王の手となり足となり目となり口となり……言ってしまえばお飾りの王様に変わって国をぶん回してもらうことにしました。
いいですよね、ウサ族。何かめんどくせえことが発生したらとりあえず呼べばいいし。水道管がつまった? よし、ウサ族を呼べい! みたいな。
そんな具合でウサ族を何匹か集め、王族立ち会いのもとで今後の事を色々と決めました。
まず、この国は景観保護区ということで、外部との交易により様々な物が持ち込まれることはあっても、この異世界転移者が見たら喜んではしゃぎそうなテンプレファンタジー感あふれる景観は壊さないようにしましょうと言う取り決めをしました。
つってもガッチガチにやるわけじゃあなくて、ナベゾコや精霊樹の里みたいに見た目上だけ目立たないような感じにする程度ですね。京都とかそういう感じみたいな。
で、外部と交易をするために道路を作らなければ行けないんですが、それはユキウサ達が土木用魔導具とオペレーターを用意するそうなので、今回は俺が頑張らなくても良いみたいです。やったね!
……土木用魔導具……?
それに関してちょっと引っかかったので、後からラミィに聞いてみたんですが……。
『あー、ルー様の許可は得てるので平気っていうか、我々に発注したのがルー様なので、現場までの重機運送もルー様持ちですし、問題なく現場まで重機を運ぶことが出来ますよ』
こいつ……重機って言いやがった! そこはせめて魔導具と呼べ!
『まあまあ! もう今更じゃないっすか! バスとかバイクとか走ってるんスよ? お外でもケータイ普及してきましたし、今更ごっつい重機が動いていても「ああ、またユウさんか」で済みますって!』
めっちゃ不本意なんですけど!
……まあ、ルーちゃんが頼んだっていう事だし、俺も尺の都合で何時までもシガラキのお手伝いをしていられないので、そこはまあ、釈然としない物を感じましたけれどもおまかせすることにしました。
ユキウサ組の連中が施工する『主要街道シガラキメリル線』が開通すれば、シガラキとメリノ間が魔導バス5時間の道なりになるそうです(ウサ族調べ)
思ったより移動時間が掛かるのに驚きましたが、地上で使ってる魔導車はスペックに制限がかかっているのを思い出したので納得です。確か最高でも時速50キロくらいだっけ? それでも十分速いと思うんですけどね。
そこから計算すればざっくり250kmくらい。日本の感覚としては隣県に行くような感じでしょうか? 国外に出るということを考えればまあ納得の距離なんですかね。島国日本出身だといまひとつピンときませんけれどもね。
そうやって完成した街道を使って、シガラキ名産のワインを始めとした物資が輸出されたり、外部からもガンガン食料や素材などが輸入されるようになります。将来的にはシガラキ出身のタヌキヅラした冒険者なんてものも現れるかもしれませんね。
ああ、それと。
領土についてなんですけれども、それはまあ適当にっていうことにしました。
我ながらなんて雑なんだろうと思ったんですけどね、まず大きな括りとして大地毎にカッキリ領土が別れているわけですよ。幸か不幸か、この大陸は能天気にもお花の形をしていますからね。4片の花びらそれぞれ1つずつ季節が違う大地が寄り添うようにくっついているわけです。
今の所、春の大地を広範囲に治めるのが『はじまりの国』
その極一部、トンネルの向こう側だけを治めるのが『ナベゾコ村』
夏の大地の代表が『マリーノ』で、その領土の内、ジャングルエリアをざっくり治めるのがゾネスの集落だな。
ゾネスさんとこは……なんかファン達によって聖地化していて、いい感じに自治されてる感ありますね……って今はその話じゃない。
で、秋の大地は大部分を『学園国家メリル』だかメリノだかが治めることとなるのですが、森を境界線として、その向こう側をシガラキが治めるということになりました。
秋の大地の大きさからすれば、その1/3、大陸南部の海側をそっくりぜんぶシガラキの領土にすることになったのです。
理由として、もう既に結構立派で広範囲に渡る街が作られていることと、それが管理する畑や港も存在すること。そしてなにより、タヌキの加護なのかなんなのか知りませんが、あの国は妙に人口が多いんですよね。
なので将来を見据えての配分なのです。
ああ、ちなみに冬の大地はかんたんですね。一応は全領土を『ヒゲミミ温泉郷』が治めることになっていますが、あの極寒の地ですよ。普通に人が住める土地は限られていますからね。
それに精霊樹の里はフリーシアが管理しているわけで、身内なわけで。んで、あそこは保護区とは言え、ヒゲミミの傘下にしておいた方が色々と楽だっつうことで大地全土ヒゲミミにぶん投げてしまいます。
まあ、今後寒さ耐性がクソ高いラッコみたいな顔をしたドワーフと言いはる謎の種族とかそういうのが出てくるかもしれませんが、そんなの俺には知ったこっちゃないです。それはもう、この世界の連中が解決する案件ですからね。
そろそろここの連中は補助輪を外して、自力で走り出さないといけないのですよ。
パン「で、うちがある場所が大陸の中心部で塩のダンジョンが有る場所……と」
ユウ「そうだな。俺の家周辺は中立地帯……というか、どの国にも属さない場所という扱いさ」
パン「ダンジョン内はそっくり魔王国領土ってことでいいんだよね?」
ユウ「まあそうだろうね。そう言えば、魔王国の準備ってどうなってんの?」
パン「ああ、あんたが寂しがってあたしを呼んじゃったから……」
ユウ「やべ、そうだった。もしかしてめっちゃ支障出ちゃった?」
パン「ううん。あんたが呼び出す頃にはとっくに終わってたわよ」
ユウ「あれえ? それはそれでめっちゃ速くね?」
パン「ふふん。特定の階層だけ時間の流れを変えるなんて簡単な事なのよ」
ユウ「なるほどずるい」
パン「というわけで、次回からは満を持して魔王国のお話になるはずよ!」
ユウ「そんなメタいお話をしてはいけませんよ」
パン「どの口が言うのよ!」




