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幼き世界に調律を  作者: 未白ひつじ
最終章
561/577

第五百五十八話 前回中途半端に続いてしまいましたがここで終わります。

 というわけで、再生速度が通常に戻ったところでユウですけれども。流石に今回で回想は終わりにしたいということで、サクサク行きましょう!どうぞ!


 ……

 …


 おや、第一住人発見! じゃあないけれども、コボルト……いえ、犬族の兄ちゃんがたぬきどんをみて驚いた顔をしていますな。


『な、なんだあこれ!? ず、随分と変わった姿……』


 暫く遠くから観察したり、枝でつついだりしていましたが、どうやらそれが害をなす生き物ではないと理解したようで、恐る恐る近くまで寄っていきます。


『よく見りゃあ優しそうな顔をしてるじゃねえかあ……なんだか安心するお顔だな……気のせいかなんだか穏やかな気分だ……ううん、どうにでもなれ、今日はこのままここで寝よう』


 ……たぬきどんから滲み出る神気のせいでしょうか? なにかこう、恍惚とした顔になった犬の兄ちゃんがたぬきどんに寄り添うようにして幸せそうに眠りについてしまいました。


 空から天使とか降りてこないよね? 連れて行かないよね? タヌラッシュ!ぼくなんだか眠いんだッ!


 なんて馬鹿な事を言って、パンさんを笑かしてると映像がいきなり切り替わり、今度は3人の犬族がうつりました。


「こんな真似できるならわざわざ早回ししなくてもよかったんじゃないの?」

「ばかだねパンさん。あれはたぬきどんの孤独をお前に見せて反省させる演出なんだよ」

「ぐふっ」


 自爆したパンさんは置いときまして……犬の兄ちゃんたちの会話に耳を傾けましょう。


『ほんとうかあ? ここにいれば魔物が出ねえのかあ?』

『本当だよ! うっかり寝ちまったが、無事に朝を迎えられたんだよ』

『運がよかっただけじゃねえんかあ?』

『だからそれをためそうってんだろ』


 間もなく、幸せそうな顔でたぬきどんに寄り添って寝る犬の兄ちゃんたちの姿が……そして再び場面が切り替わり『数年後』というテロップが。無駄に凝ってますな。


 邂逅から数年が経ち、たぬきどんの周りに何軒か家が立ち並んでいます。どうやらたぬきどんを中心として集落が誕生したようです。


『ほんと不思議な御神体だなあ。魔物を全く寄せ付けないなんて』

『もう少し広く守ってくださればありがたいんじゃが、そりゃ贅沢な話だわな』


 どうやらたぬきどんの周りには何かが漏れ出していて、それを嫌がって魔物が寄らないみたいですね。シガラキが襲撃を受けたって言うのはおそらくその範囲外のエリアの事なんだろうな。映像のじいさまもそれを匂わせるようなことを言ってるし。


 そしてまた映像が切り替わり……む、赤子だ。


『おお、ヨシコが子を生んだか……なんとまるまるとした……まるで御神体のような子じゃ』


 ヨシコと呼ばれたのは鬼人族のガタいが良い女性。この頃は他と同じように鬼人族と犬族が男女それぞれ分かれて誕生し、共に暮らしていたみたいですな。


 そしてさらに時が進みます。


『なんじゃと!? マミコの子にわしらのような耳が?』


 どうやらマミコと呼ばれた母親から生まれた子供にタヌ耳が生えていたようですね。これはこれは、もしかしてもしかしてと思っていると、すかさずブーちゃんさんから容赦ない解説が入ります。


「みて、リーちゃん。あなたが連れてきたたぬきさんがね? すこうしずつ加護を吐き出してね? なんと! この地の子たちを眷属化して品種改良……って言ったらあれね。うん、独自の進化をさせちゃったのよ」


「あ、あたしわるくないよね? わるいのはたぬきどんよね?」

「いいえ? 連れてきたのはリーちゃん。そして過剰なまでにスキンシップをしたおかげで元々備わっていた神性を強化してしまったのもリーちゃん。たぬきさんを亜神に近い御神体にしてしまったのはリーちゃんなのです」

「……」


 全くこの女神様はほんと無自覚で御神体やらパワースポットやらをホイホイつくりやがりますよね……。


 この後も映像はどんどん切り替わり、切り替わる毎に犬の兄ちゃんや鬼の姉ちゃんの数が減り……そして300年が過ぎる頃にはすっかりタヌタヌワールドと化してしまっていました。


 種としてはメリル等で今もまだ普通に存続していますので、パンさんが絶滅させてしまったという悲劇は避けられましたが、メリル依存が強いこの大地の住人達には珍しく自立した一族を絶やしてしまった……厳密に言えば姿が変わっただけで血族は続いていますが、それはそれ。絶やしてしまった罪はとてつもなくでっかいですよ?


「ぱんさーん。またやっちゃったねえ」

「うわーん! それアライグマでしょうが!」

「知らん話だ。つうかお前は別にたぬきじゃねえだろ」

「そうでした」


 予想通りといいますか、いつもの如く本人無自覚のママに新たな種族を誕生させてしまっていたわけですが、そこはまあ……この世界の創造神ということで、一応は仕事の範疇です。


 ただこう、なんというかな……遠い遠い未来、学者さん的な人がさあ、タヌ族のルーツを探ったときにね、絶対ミッシングリンクにぶち当たると思うんだよ。


 ある年代から特定の地域に突如として発生した種族! みたいなさ。まさかその要因となったのが泥酔した創造神による異世界から持ち込んだ像と、それに対する過剰なスキンシップによる強烈な神化が原因であるとは夢にも思わないでしょうし、それを教えても信じてくれないでしょうし、信じてくれたらそれはそれで膝から崩れ落ちることうけあいですな。


 斯くしてパンのヤラカシが明らかとなり、タヌ族(自称猫族)の秘密が明らかとなった。もやもやが解消した我々は安堵の表情を浮かべ、王宮のゲストルームで安らかな眠りにつくのであった。


 ……1名を除いて。

パン「ぐすっ ひぐっ」

ユウ「うるさいぞー ねなさーい」

パン「なによ! 慰めてくれたって良いじゃない!」

ユウ「自業自得っつうか、何も泣くこた無いだろ。それともなに? 良心がいたんでしかたがないのか?

パン「違うわよ! ブーちゃんがSNS仲間内の女神に流したの!」

ユウ「ひでえ!」

パン「でしょう? みんなから笑われてもうしんどいのよ」

ユウ「あれ、メールだ……なになに、貴重なケースだから? 研究資料として共有した? ですってよ」

パン「建前よそれ! いつもそうやってあたしのやらかしを拡散するのよ? ひどくない?」

ユウ「ひどいと思いますけどね、まずはそういうスキを作らないようにする努力をしなさいね」

パン「うわーん」

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