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幼き世界に調律を  作者: 未白ひつじ
最終章
560/577

第五百五十七話 たぬきどんは見た

 黙れと言われたら黙る男! ユウです! まあなんつうんですか。長くなりそうだったので2話に分けたっていうやつですよ! はいメタい!


 というわけで、ブーちゃんさんとパンさんが語るある日の思い出話からスタートです。どうぞ!

 

 ……


 …


「ふふ。ええとね、ほら、何年か前にさ? エヴァンジェリオンの劇場版の⑨を見たあと二人で居酒屋に行ったでしょう?」

「あー……あったわね…… 待ちに待った映画がなんとも言えない感じで、二人無言で居酒屋まで歩いたっけ……」

「出来が良いとか悪いとかじゃなくて、なんかそんな空気だったわねー。だからかしら? リーちゃん、その日結構飲んじゃったでしょう?」

「あんましおぼえてない……けど、起きたらおうちにいたわね……」

「その日ね、リーちゃん結構酔ってたからね。私も心配で送ろうと思ったのよ」

「そうなんだ」

「ええ。でもね? お会計をしたあと、忘れ物に気づいて席まで戻ったんだけど、その間にリーちゃんが居なくなってたの」

「ええ……先に帰っちゃったのかな……なんかごめん」

「それはまあ、いいんだけど……それではここからはこちらの映像をご覧くださーい♥」

「え、ちょ、なにそれ」


 むむ! 俺を置き去りにして後書きトークが始まったと思ったら、突如ブーちゃんが取り出したタブレットに謎の動画が流れ始めました。


 これは……間違えて『録画』にしたままカメラを持ち運んでしまっているアレですな。よくわからないところにカメラが向けられたまま、ゆっさゆっさとひたすらに画面がシェイクされる『酔う動画』ですわこれ。


 横を見ると、パンさんがさっきとは違う理由で顔を青くしていますね。酔ったんですね……。


『うぇひひひ! ひかひはあ、うーてゃんもはなじがわがるでゃにゃーい!』


 ……お酒でだめな感じになっているパンさんの声が聞こえますね。これはあれでしょうか? パンさんのスマホで撮られた映像なんでしょうか? 映像からして何やらどこかを飛んでいる? 感じなのですが。


『あでえ? だいぢょうぶ~? ぶーでゃん、ノリばるいどー! ちゅーー!!』


 顔を赤くした ―照れではなくアルコールで― パンさんの顔がフレームインしたかと思ったら、どんどん近づいてきます。うわ、これ控えめに言ってちょっとえっちだ!


「な、ななななによこ、ここっこの動画! ななななななにしてんのよあたたたし!」


 これにはパンさんもびっくり! ていうかちょっと気の毒ですね。気の毒ですが、自業自得なので同情の余地は有りませんが。


「ふふ。これね、このたぬきさん視点の映像なのよ」

「ええ? こ、この焼き物カメラ仕込んであったの!?」

「まさか。ほら、付喪神ってあるじゃない?」

「ああ、日本のあれね。大切に使った物なんかに魂が宿る的な」

「そそ。このたぬきさんもね、長らく店番をしてるうちに若干の神性が芽生えたようでね」

「神性」

「アマテラさんがちょい、ちょいっとやったら()が見てた当時の映像をデータとして抜けたってわけ♥」

「わけ♥じゃないわよ! ちょっと意味がわからないわよ!」

「まあ、パンは置いといて先を見ようぜ。話がちっともすすまん」

「そうね」


 それからしばらくの間、狸をなでりこなでりこしたり、やっぱりたぬきさんにチューをしまくったり、なにやらウダウダと絡んだりするパンさんの様子が流され続けました。


 それを見ていたパンさんは途中から動かなくなりました。


『ううん……あー、ていうかあ、ぶーてゃん自分で歩きなさいっ! アハハハ!』


 おっと、映像の中のパンさんに動きがありました。 ふわりとどこかに降り立ったと思ったら、ドスンと信楽焼の狸さんをその場に置いてしまったのです。


『うーん? ちょっとトイレいくね? あ、もうごんなぢかんでゃないの。ごみん! ぶーてゃんあたち先にかえゆね! じゃあ、まだ! つぎあうひまでえ! なんちゃって! あははははは!』


 そしておそらく自宅に転移したのでしょう、薄暗い草原の中で一人消え去るパンさん。あたりには虫が鳴く声のみ流れています。


「……」

「……」

「……」


「ね? とりあえずリーちゃんが悪いでしょう?」

「うー! うー! この映像自体があたしへのバツなのでは!?」

「だからアマテラさん、そこまで怒らなかったのよ。今までにないほどいい笑顔だったわ」

「うー! うー! 」


 顔を赤くして唸るパンさんは可愛いですね。いつもこんなだったら良いのにね。絶えず何か弱みを握って弱らせておけばいいのかな? ……流石にやめてあげよう。


 そして映像は再生速度を上げ、目まぐるしい速さでチャッチャカチャッチャカ景色が移り変わっていきます。といっても、季節が固定されているため、草木が生えたり枯れたりするのがわかるくらいのものですが。


「このたぬきどんは……どっかの酔っぱらいに拉致され、こんな寂しいところでずっと一人何もねえ景色を見守り続けていたんだなあ。動くことも出来ず、じっと見守るだけ……ドラゴンなんとか5の主人公みたいだよね」

「や、やめてよユウ! 胸が痛むじゃないの」

「痛がれつってんだ!」


 賑やかな繁華街で毎日お客さんを見守ってきた狸どん……ホントひでえことをしやがる女神様だ。


 おっと、早回しが終わって再生速度が通常に戻りましたね……ってところで以下次回!

ユウ「やべえ終わらなかったぞ」

パン「うー……なに? まだまだあたしの恥部が晒されるの?」

ユウ「お前ね、これにこりたらお酒は控えめにしなさいよ」

パン「はい……反省してます」

ユウ「まあ、まだ見ぬヤラカシが今後も出てくる可能性はあるから、今反省してもおせえんだけどな」

パン「うわーん!」

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