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幼き世界に調律を  作者: 未白ひつじ
最終章
559/577

第五百五十六話 半端に切れます

 さてさて、ユウですけれども。前置きなくいきなりユウですけれども!


 いやあ、いいですよねシガラキ。名前や御神体が和風なのに、街のデザインがきちんと定番の剣と魔法のファンタジーにありげな感じでとても素敵ですよね。


 こんなにも素敵な街になぜ信楽焼のたぬきがあるのでしょう?


 いえ、このたぬきを御神体と崇め、その周囲に集落ができたのがこの国の成り立ちですので、初めに信楽焼が有り、後に狸がわいた、と言ったほうが正しいのですが、そんなのどうでもいいです。


 な ん で ! 信楽焼なんだ!?


 その答えはなんとなくわかってますし、他で見ない狸型獣人が住み着いているということ。というかですね、そもそもその獣人たちは『別に自分たちと似ているから御神体と崇めたわけではない』のでは無いのではないかと思うのです。


 なんだかややこしい感じがしますね?


 では、ここで本日のゲストをご紹介しましょう。


「ブーちゃんさんです! どーぞー!」

「はあーい♥ みんなのお姉ちゃん、ブーケニュールでーす♥」

「でたわね……! 私何もしてないからね!」


 呼んだら直ぐきました。ほんと直ぐ来ました。というか、話しているうち気づいたら横にいましたし、ホントなんなんでしょうね。ああ、女神様か。


「というわけで、この信楽焼の出処に覚えはありませんか?」

「いきなりね! ね、違うよね!? あたしじゃないよね、これ!? だって狸なんて知らないもん!」


 パンさんはもうそればっかやな。ていうか、ここまで必死なあたり、うっすらと『また知らずにやらかしてるんだろうな』って認めてますよね。


 面白いからだまってますけども。


「うーん……? この狸が作られたのは西暦1965年の日本で……ええと……最後に地球にあったのは……待ってね……シュシュシュっとえーい」


 何やら凄まじい勢いでスマホを弄ってますな。ちらりと見えた画面からすると何かSNSのような感じでしたが……


『ピローン』


 今度は御神体の写真をとってまた何かシュシュシュっとやってますね。


「ふむふむ……なるほどなるほど……あーあーあー。あったなあ……なるほどねえ……」

「ちょ、ちょっとブーちゃん!? 何してんのよ! 何一人で納得してんの!」

「何って言われても……アマテラさんとメッセしてるのよー」

「ええ……? な、なんでアマテラさんと!?」

「この狸くんの実家を聞いてるんじゃないの。変なリーちゃんね」

「ふうん、そうなんだ。きっと私には関係ない話ね!」


 パンさん、めっちゃ手のひらに汗かいてますよ。奇跡の女神水ってレベルでぼったぼた汗が落ちてますよ。


 アマテラさんは地球は日本を担当する結構偉い女神様だったと記憶していますが、何か趣味の関係でパンさんたちと繋がりがあるんですよね。ただ、階級といいますか、位といいますか。圧倒的にアマテラさんが格上なので、パンさんは頭が上がらない感じなんですよね。


 感覚的には「部活のおっかない先輩」とかそんな感じでしょうか。いや、しらんけど。


 そんなアマテラさんとSNSで何やらやり取りをしているのがブーちゃんです。


 パンの奴を部の「だめな後輩」とすれば、ブーちゃんは差し詰め「よく出来た後輩」と言った具合でしょうか。言われなくとも部や先輩のために何かしら動いてくれるのがブーちゃんであるならば、やめろつってんのに要らんことばかりするのがパン。


 そんなブーちゃんが頼りになるアマテラパイセンと何やらやり取りをしているわけですよ。残念な後輩であるパンさんからしてみれば、常々先輩から怒られまくっている残念な後輩パンさんからしてみれば、優等生が先輩と何やらSNSをしながら時折こちらを見ては「ああ……」とか「あちゃあ」とか「またなんですね」とか言ってるのを聞くたび、胃にぷつりぷつりと穴が開く思いだと思います。


 あっ とうとうハラハラと涙を流し始めましたね。


「どうしたんですか、パンさん。あなた何もしていないのでしょう?」

「うっうう……してないはずなの。でもね、わかるの。この空気、この流れはね、うっうっ……」

「……なるほど、身に覚えはないけれど、もう完璧に自分のせいであろうと覚悟を決めたんだな」

「うん……ほんと覚えはないけど……あたし、たまにやっちゃうからあ……」


 たまにじゃねえだろ。


 めそめそと泣き始めたパンさんをみて胸が痛まないことも有りませんが、いつもの事ですからね。身に覚えがないってところが同情ポイントのような気がしますが、気の所為ですからね。おそらく俺が思っている通りの流れでやらかしていたならば――ですが。


「ふう……おまたせー。わかったわよー」

「ど、どどどうぜ……わだぢがわどぅいんでぢょお……」

「わ! びっくりした! ちょ、ちょっとリーちゃん……ぐっちょぐちょに泣いちゃって……」

「ゔわーん! だっでえ!」

「はあ……面倒だから先に言っちゃうけど、アマテラさん怒ってないって」

「え?」

「そんな狸の1つや2つどうでもいいって。良かったわねー、リーちゃん」

「うん!」


 良かったねーパンさん。ていうか、パンさんもう完璧に自分が悪いのだと認めましたね。


「ただまあ、今度アマテラさんが本を出すみたいで……もちろん薄い本ね」

「え、う、うん」

「何日か力を貸してもらうお願いをすることになるかもーとはいってたわね」

「……そ、そうなんだ……ま、まあ……お仕置き部屋よりは……いいかな……」

「そうね……ああ、それでその狸なんだけど、酔っ払ったリーちゃんが私と間違えてお持ち帰りしました!以上!」

「以上! じゃないわよ!? ブーちゃんと間違えて? お持ち帰り?」

「キマシタワー!」

「ユウは黙って!」


 はい。


 

ユウ「……」

パン「あれ? ここで切るの? 半端じゃない?」

ユウ「……」

パン「こら! ユウ! なんとか言いなさいよ!」

ユウ「……」

パン「何黙ってるのよ!」

ユウ「……」

パン「あっ……黙らなくてよし!」

ユウ「以後次回に続く!」

パン「えぇ……」

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