第五百四十話 1話でサクッと説明回が終わると思うなよ
「というわけで、満を持して国と言う物を立ち上げようと思うわけなのですが」
「戻ってきてそうそうに『わかってるよな』ってな顔で言われても困るわ!」
顔を合わせて早々にひどく疲れた表情を浮かべるキンタ。我ながら弄りすぎてしまった感があるな。
「面倒くせえから地の文で説明するけども……」
「待て待て! 言っている意味がいっこもわからんぞ!」
「ユウさんが言うことにいちいち付き合ってたら身がもたないよ。とりあえず黙って聞いてみよ?」
「リットぉおおお! お前だけが頼りだよおお」
全く情けない父親ですね。あの集落があんな状態になってしまった理由がわかる気がします。
「なんだとお!」
「お、地の文ちゃんと読めてるな。よしよし、じゃあそのまま説明を続けるぞ」
「……リット……なあ、こいつ……一体何を言ってるんだ?」
「わからなくても解ってる風にしてたらいいよ」
「リットぉおお……」
なんてことはないぞ。脳に直接情報を送ってるようなもんだ。って、返事はしなくていいからな。説明がいっこも進みやしねえ。
まず、国というものについて説明をしていくが……、ああ、お手元の資料を御覧ください。
「資料? なんだそりゃ。なんもねえぞ」
「あっ これは失礼。ミケ、資料をお配りして」
「はい、ユウ様」
「なっ……!? 一体何処から……」
居ないようで呼べば何処からか現れる。それが高性能戦闘メイドロボ……もとい、ゴーレム『ミケ』だ。まあ、それは今は置いといて、ミケが配った資料に書いてある図を使って説明していくぞ。
まず、俺がこの地で始めに行ったことは、お前たちが住んでいる集落の高機能化だ。そのままでは先が見えないしょっぼいしょっぼい集落に見かねて……って、怒るな怒るな。事実、俺が行かなかったら今頃お前らは野菜頼りの生活になってて、肉不足ですっかり弱まっていた頃だと思うぞ。
うむ、わかればいい。
めんどくせえからキンタとリットちゃんにはぶっちゃけるが、俺はよその世界からやってきたんだよ。なに『セカイってなんだ?』だって? くそう。文化が発展したからつい普通のノリで秘密を打ち明けてしまったが、なんだかとっても恥ずかしいぞ!
簡単に言えば、もっともっと色々な文化や物で溢れているすげー遠くから俺はやってきたの! そんな所から来たわけだからさ、お前たちの生活振りを見てびっくりしちゃったの! こりゃなんとかせんといかん! とか思っちゃったわけ!
で、ある程度お前らの集落が住みやすくなったらさ、周りの集落からも人が集まってきただろ? そうすると、集落で出来ることがどんどん増えていってさ、生活も豊かになっていったけれど、人が増えると良いことばかりが起きるわけじゃあない。
元々は別々の集落だった者たちが一つの土地にまとまれば、風習の違いから喧嘩が怒ることだってあるわけだ。そういったいざこざが起きた際に、何処の誰が何をやったかというのは大切なことだ。
それらを記録し、まとめる場所と人間が必要となる。そこで俺は集落を『村』に変え、その代表にキンタ、お前を置いたわけだ。
やがてその村も俺がドン引きするレベルでどんどん大きくなっていったため、更に扱いを『街』に変えたんだけど、街と村の違い、答えられるかな?
「いきなり振られてもわかんねーっつうの。人が増えたら街なんじゃねえのか?」
「街は周辺の村を管理する役割がある、だっけ? ユウさん」
「リットちゃん正解。キンタは足が臭い」
「何よくわかんねえこと言ってやがる!」
はじまりの街周辺には俺が知らないうちに小さな村がどんどん増えている。
ごく近くに存在していた集落は、早い時期から『はじまりの村』に住人達が移住し、街になってからもそれは続いてドンドコ大きくなっていったんだけれども、中には全住人が移住を考えられないほど人口が多い集落も存在しているわけだ。
そういった土地に役場から人材が派遣され、新たな村として立ち上げた場所が何箇所か有る……らしい。リットちゃんがキリちゃん等と相談し、キンタや他のウサ族の方々に話を持っていって小さな村をどんどこ立ち上げた……というわけですが、今では他の大地でも同じ様な事が行われていて、俺が知らぬ小さな村がアチラコチラにできているそうだ。
リットちゃんマジ優秀。キンタはごみくず。
「くそが! 頭の中に直接悪口を送り込むんじゃねえ!」
そんなわけで、街は先輩として各村をまとめ上げ、運営のアドバイスをしたり、発展の協力をする存在として不可欠な存在なわけだけれども、その状態を簡単に言えば街が親で村が子という間柄だ。
親は子を育て、ある程度の管理をするし、運営に少々の口出しも許されているわけだ。
「春の大地だと、はじまりの街、リューツー、コハン、ナベゾコはまあ置いといて3つの街が有るわけだ」
「そうだね。後はそれぞれが周辺の村や集落を管理しているのが現状だね」
「へー」
キンタは『へー』とか言ってんじゃありません! まったく、商人ギルドの事がなけりゃリットちゃんを街長にしたいくらいだ……。
「実質私とキリちゃんが運営してるようなものだけどね」
「キンタ……」
「しょ、書類関係は俺がやってるんだからいいだろ!」
「当たり前のことで威張るな! ミケ、ゴーレムラボのクレムに監視用ゴーレムを何体かオーダーしといてくれ」
「はい、わかりました。エッグい奴をオーダーしますね」
「おい! なんだか知らんがやめろォ!」
あーもう! 話が終わらねえ! というわけで、ちょっと休憩だ!
ユウ『ったく、2000文字もありゃ終わる説明なのにグダグダするから終わんなかったじゃねえかよ」
パン『まーたメタな事言ってる……』
ユウ『おっ パンさんじゃないか。静かだったけど何してたんだ?』
パン『こっちはこっちで……ほら、魔王国の建国的なあれやこれをやってるのよ』
ユウ『おー、助かるわ。正直これから大陸各地を回るわけだろ? 魔王国の話まで丁寧にやったら最終話に間に合うのかなって心配でさ』
パン『最終話って何の話よ!?』
ユウ『まあまあ。っと、そろそろ行くわ。また次話でな』
パン『ちょっとお! 次話って何よ!? ユウー!』




