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幼き世界に調律を  作者: 未白ひつじ
最終章
542/577

第五百三十九話 ただ街を歩いて暇をつぶす

 リットちゃんを待つ間、飯でも食おうと街に降り立った私ユウですけれども。こうやって冷静に街を眺めてみれば、我ながらドン引きするレベルで大発展を遂げていますな。


 そりゃあ、最初の辺りは俺があれやこれやと手を出し、口を出し、案を出して弄くり倒しましたけれども、あっちへこっちへと、大陸中を駆け巡っているうちにそんな事は出来なくなったわけで。


 それでもこの街は着々と発展を続け……物々交換をしていた牧歌的な雰囲気は何処へやら。今やすっかり立派な街へと姿を変え、そこらの日本人がホイっと異世界転移して来たとしても大満足な景観に代わってますわ。


 ……ちょいちょい視界に入る日本的な、明らかにオーバーテクノロジーな文化の欠片は見ないことにして。


 俺が情報制限を緩めたのもあり、最近はダンジョン内からもじわじわと文化が伝わっていますからね。バイクこそ走っていませんけれども、魔導バスや自転車は普通の顔をして走っていますし、街のアチラコチラには街頭が立ち並び、屋台に並ぶ冒険者の中には儲かってるんでしょうか、携帯電話的なアレを手に誰かと通話をしているものの姿も見えます。


 うーん、やりすぎ感もあるけれど、すっかり発展しましたなあ。


 この街がここまで発展を遂げたのはウサ族達の力がやはり大きいです。あの日クロベエのやつが場のノリだけで助けることとなった名もなきウサギの魔物達がまさか賢者の卵だったなんて誰が思ったでしょうか。


 ウサ族達は今やこの世界の発展に無くてはならない存在になっています。ウサ族にだけ依存してしまうと、それはそれでまずいのですが、シゲミチやザックのような若者達がウサ族達と手を組み、日々新たな何かを目指して研究を続けているというのだから、その心配はきっとありませんね。


 ダンジョンは一応、ルーちゃん達が宣言したとおり魔王国扱いとする予定ですけれども、ウサ族の里やウサギンバレーには自治権を与え、自由にやらせるつもりです。


 最終的な決定権というか、何かあった時にダンジョンをまとめるのは勿論ルーちゃんですけれども、それ以外の細やかなことはルーちゃんにどうにか出来るもんじゃありませんからね。


 あの子だってそれなりに賢いのは知っていますけれども、全部全部一人で見られるわけじゃあありませんので。


 とか言ってたら可愛いゴr……っぶねえ。ナギサちゃんの屋台が見えてきました。


 あの子にゃお店をあげたんですけども、やっぱり屋台が好きみたいで、昼時分になると店を従業員に任せ、カズと共に屋台を引いて街の広場までやってくるとのことでした。


「おっす。どうだい? 儲かってるかい?」

「ん? ああ、ユウさんか! おかげさんで店の方は大盛況だし、屋台もこの通りさ」

「ユウさん! 来たなら何か買ってってくださいよ! タコなしたこ焼きとかおすすめですよ!」

「カズはうるせえなあ……ってタコなしたこ焼きって最早たこ焼きではないのでは……まあいいや。ひとつくれ」


 生意気にも忙しそうに働くカズ。アイツすっかりこっちの世界に馴染んじまってるけど、もうすぐ帰ることになるってのにどうするんだろうなあ。


 たしかちゃんと俺と一緒に帰るのだと話したはずなんだけれども……ううむ、少々悩ましい問題になるかも知れないな。


 しかしカズもすっかり立派になったもんだ。アレだけ働くのを嫌がっていたくせに、今やナギサちゃんに言われるまでもなく自分から仕事を見つけてテキパキ動けるようになってるもの。


 今のアイツなら、冒険者としてダンジョンに放り込んでもちゃんと動けそうな気がするな。ステータスも当初よりかなり上がってるしな。


 しかし、このタコなしたこ焼き……中に入ってるのはチーズとハムか? ソースがかかってるせいか、サクサクしないハムカツを食ってるような気分になるが……これはこれでうまいな。


 結構大きな物が12個入って3リパン。1リパン100円とすれば300円くらいだ。結構腹も膨れるしなかなかお得な価格ですな。


 むむっ! 向こうの屋台でソフトクリーム売ってるな! いつの間にそんな物まで売られるようになったんだ! しかも普通に「バニラ」「ストロベリー」「チョコ」って書いてるしよ……。


 恐らく身内の誰かが大いに関わってそうな感じがするけど、わかりやすいから良いや……どれ、デザートに俺も一つ――


「あ、ユウさんだ! おーいお兄ちゃーん!」


 可愛らしい声に振り向くと、ふわふわとワンピースの裾を揺らしながらリットちゃんが此方に手を降っています。なんて可憐な娘さんなんだろう。


「あら、リットちゃんじゃん。早かったね?」

「うん、ちょっと余裕を持って2時間って言っただけだからね」

「そっかそっか。偉いぞ。そうだ、リットちゃん。今からソフトクリーム食べるけど、どう?」

「食べる!」


 ふふ。立派になったとは言え、謎の進化を遂げてスーパー少女になったとは言え、中身はやっぱり年相応の女の子のままですね。 俺は別にロリコンとかそういう人種ではありませんけれども、可愛らしい少女が喜ぶ姿は何よりのご褒美ですからね、ロリコンじゃありませんけれども、ここはおごるしか無いでしょう。


「よし! じゃあ、好きなのを選びな。俺が奢ってやろう」

「わあい!」


 俺はチョコ、リットちゃんはストロベリー、デレデレする俺を見てニヤニヤしていたキリちゃんはバニラをそれぞれオーダーし、ひとしきり甘い甘い時間を過ごしたのであった。

ユウ「ていうかキリちゃん久々だな」

キリ「わあい!ユウさんちゃんと私のこと覚えてたんですね!」

ユウ「うむ。商人ギルドのマスター、リットちゃんの秘書として多大な貢献をしているからな!」

キリ「えへへ、照れますね」

ユウ「これからまた忙しくなると思うけど、これからも頼むよ」

キリ「キンタさんみたいに勝手に秘書扱いしないから良いですよ」

ユウ「キンタ……そういや気軽にお茶くみさせたりしてたなアイツ」

キリ「リット様のお父さんだから無下にはしませんがねぇ」

ユウ「……そういうとこだぞ、キンタ……」

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