第五百三十八話 多分最終章って奴だこれ
終始でたらめで雑な展開で、そりゃもうひどく振り回された感が強いアイドル章も終わり……いよいよ物語はクライマックスに近づいてまいりました!
……個人の感想ですってわけで、ユウなんですけれども。
いやあ、国ですよ国。国、国、国ってなんとやらだオラァ!って話なんですけれども、ルーちゃんフィーちゃんが上手いこと国とその支配者の予備知識についての種まきをしてくれたわけですので、うまくそのバトンを引き継いで楽に楽に行きたい――! なんて思ったけれど、実際そう上手いこと楽に進める方法なんてものはなく。
ただまあ、この俺ですよ? ガチでしっかりとした知識など有るわけがないじゃないですか。だから今回もその場のノリと勢いだけで適当にやっちまおうと思っています。
後のことはしらねー! 俺はあくまできっかけ作りがその役目なんだい!ってことで、手始めにはじまりの街の役所にやって来たわたくし、ユウなのです!
「きーんーたーくーん! あーそびーまっしょ!」
「居ないぞ! おい! ユウの奴に俺は居ねえって言ってくれ!」
「ダメですよキンタさん。そんな大きな声で言ったらもう聞こえてますよ」
「きーんーたーくーん! 俺が遊びに来ましたよー!」
「頼む! マリカ! 上手いことアイツを追い返してくれ! どうせまた!」
「私としては名付け親のユウさんには逆らいたくないのですが」
名付け親ってことは、俺がノリで名付けたシリーズのウサ族の誰かか。そういや前にキンタが囲ってる秘書の連中に名前をつけまくってやったことがあったな……ていうか、キンタよそこまで俺に会いたくねえのか……うっ 悲しくなっちゃうなあ。
「よっし! キンタいねえなら仕方が無いな」
「うむ! 俺はいない! 仕方が無いぞ!」
「あーあ。私知りませんよ」
「丁度ここの上に良い具合のホールあるし、ルフィファー呼んで一ヶ月くらい連続ライブやろーっと!」
「うおおおおおおおい!!!! やめてくれよおおおおお!」
瞬間、バタバタとやかましい足音が扉に近づき、ガチャリと扉が開いて半泣きのキンタが飛び出してきました。
「やっぱいるじゃねえか」
「ユウならマジでやりかねねえからな! 畜生め!」
まだ挨拶すらしてないというのに、すっかりと疲れた顔で、仕方なさそうに俺を招き入れるキンタ。なんて失礼な奴なんだ。俺が一体何をしたってんだい。
「……今までユウが来て、俺に面倒な話しをしなかったことがあったか?」
「んっ? んー? まあ、それはそれとしてさ」
「強引だなおい!?」
色々と立派になったキンタくんですけどね、基本ヘタレな所は微塵も変わりやしませんからね。こうして多少強引に話しを進めてやらんと話しを聞くことすらしようとしねえんだから困ったもんです。
「……何考えてるかわからんが、自業自得じゃねえかって気分になったぞ」
「ムウ。貴様、読心術の才能があるのかもしれんな。って、そうじゃねえ。今日は真面目な話をしに来たんだよ」
真面目な顔をしてそう言うと、死んだ筈の友人を見たような、そんな顔をしやがる。
「一体何を驚いているんだね?」
「い、いやあ。珍しいことがあるもんだなって……」
「やかましいわい! 俺は何時だって真面目だっつーの」
「まあ、そういうことにしておいてやるが……一体何の話しだ? あ、リット呼ぼうか? うん、それが良い。その方が互いのためになる。な? リットを呼ぼう?」
ほらね? こうしてヘタれるのがキンタなんですよね。でもリットちゃんか……。正直キンタと話すよりリットちゃんと話した方が話しははええんだよな。
「はあ……まあ、遅かれ早かれリットちゃんにも話しを通しに行く予定はあったからな。いっそのことまとめて話しちまうか」
てことで、心の妹事、リットちゃんに電話ですな。
『もしもしリットちゃん? ユウお兄ちゃんですよー』
『はーいリットです。なに? まためんどうなお仕事でも始めるの?』
顔は似てませんが、反応はそっくりですね! いや確かに面倒なお仕事を押しつけようとしてますけれども。
『うーん、面倒と言えばそうなんだけど、今後のために必要になる大事な相談をしたいんだよ。キンタの奴もさ、リットちゃんに来て欲しいって言うし、なんならマーサさんも連れてきてくれないかな?』
『うん、今急いで進める案件も無いし、私は構わないよ。けど、お母さんは……』
マーサさんの名前を出したところ、何やら考えるような口調に変わるリットちゃん。病弱から頑丈にジョブチェンジしたマーサにまた何か厄介ごとでも起きたのだろうか?
『マーサに何かあったのか?』
『あ、ううん。お母さんは元気。昨日もお父さんを蹴り飛ばしてたし』
『蹴り……』
『うん。蹴ってた! お父さん土下座したまま飛んでたよ。あはは』
一体何やったんだよ……。ウサ族か? ウサ族に手を出したのか? 触らぬ神にたたり無しだな!
『あ、ごめんごめん。それでね、お母さん、今さ、はじまりの街に小さな子供向けの学校を開いてね、そこの運営をしてるんだよ』
『ほほう。所謂小学校って奴か。なんだか凄いこと始めたな』
『メリノに行けないような小さな子供でも、お勉強を出来る場所を作りたいってお母さんが言ってね。文字や計算、後は一般教養を学ぶ場を作ったんだ。ユウさんに言ってなかったけど不味かった?』
『いいや。ここはリットちゃん達の街なんだ。君達がそうやって住みやすいように変えていくのは構わないし、寧ろ嬉しい事だからどんどんやっちゃって!』
『よかった! ユウさんにそう言って貰えるとほんと嬉しいよ!』
なんというか……キンタは相変わらずキンタなのに、リットちゃんやマーサはどんどんと立派になっていくなあ。他の住人達もそうだな。互いに刺激されあって自発的に新たな何かを生み出そうと動き始めているし。
いやあほんと、なんつうか最終章って感じがプンプンするぞ!
『なんだかリットちゃんと久々に話せて良かったよ。また何かあったら連絡するわ』
『うん! 私もすっかり連絡忘れてたけど、今度は私からかけるね! バイバイ!お兄ちゃん!』
『またねー!』
うふふ。お兄ちゃんだって。ああいう可愛い妹なら大歓迎だぜ!
「って、ユウ!何電話切ってんだよ! いつ来て欲しいとか、そう言う話しいっこもしてねえじゃねえか!」
「あっ」
キンタに突っ込まれ、微妙に照れながら再度リットちゃんに連絡を入れ会議の時間を2時間後に決めた。
「2時間後か。じゃあ、俺はちょっと飯でも食って来るわ」
「おっ!? そうか! よし! 良いぞ! 2時間もお前と一緒に居るとか過労でどうにかなりそうだからな!」
「行くの辞めようかな……」
「嘘だって! 頼む! 俺を解放してくれえ!」
嘘じゃねえじゃねえか! まあ、腹が減ってるのも事実ですからね! 嫌われてるようでなんだかいやなんですけれども、散々弄り倒した俺が悪いってのも分かってますので、ここはすんなりと引くこととしましょう。
「2時間後、覚悟しとけ」
「ヒィイ……」
パン『ほんとにぃー? ほんとに最終章でござるかぁー?』
ユウ『だってほら、一応2年を区切りとしたお話じゃん』
パン『確かにそう言う契約であんたを呼んだけれども……』
ユウ『なんだ? ずいぶんと寂しそうにしてるな?』
パン『べ、べつに? 寂しいとか無いし……どうせ数十年経てば……』
ユウ『なんだか悪魔と契約したような気分だよ俺は』
パン『失敬な! ま、約束の日まで精々私の世界を発展させるがいいわ!』
ユウ『悪魔!』




