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第五百三十七話 というわけで会話回です

 盛大な歓声と共に幕を閉じたアイドリング★バトル02。感触から次回大会の開催は勿論の事、アイドル文化……いや、音楽文化がこの世界に根付くことを確信した。


 既にこの世界に根ざしているゲーム。勿論それでも音楽というものは使われていたし、知らずにそれを口ずさむ者達の姿も確認出来ている。


 しかし、今回一連のアイドル騒動により、それらは寄り深く、そして確実に根付き、新たな文化としてこの世界を回す原動力となっていくことだろう。


 なんつうか、娯楽こそ人を動かす原動力なりますからね。ゲームに漫画に音楽。こんだけばらまけば続々とこの世界産のクリエイターやアーティストがじゃんじゃん誕生してどんどん盛り上げてくれることでしょう。


 ……既にウサギンバレーではテレビが存在していますからね。それが地上進出するのは時間の問題。


 ついこの間までその日暮らしをするだけの文明のまま停滞していた世界が、ここまで急激に動いてどうなってしまうのか不安に思うところはありますが、そこは暖かく見守るしかないでしょう。


 というわけで、それっぽく始まりましたが、ユウです。


 アイドル達と関係者による打ち上げは盛大に行われ、アイドル達はにこやかに、そして満足げな顔でゾネスの里に帰っていきました。


 ……うん、帰っちゃった!


 といっても、一度アイドルという快感を知ってしまった彼女達はもう元の生活に戻ることは出来ません。これからは里で後継者を育てつつ自らもレッスンを続け、月に何度かは各街でライブ活動を行うそうです。


 その辺りの運営に関しましては、ラミィがドリスに何か命じて事務所を立ち上げさせていましたので、今後は俺が手を回すこと無く上手いことやってくれるに違いありません(雑)


 ちなみにスクールアイドル属性を付けるためだけに学園に入れられたゾニュースのメンバー達ですが……。


 一時帰宅後、再び学園に戻ることに決めたようです。初めはオヤカタとしての仕事がある、種族をまとめなければと葛藤しながらも学生生活を諦めようとしていたらしいのですが、元々オヤカタの存在というものは象徴的なものに近く、実はいなくてもそれ程困らないという事が判明。


 それはそれでどうなんだって思ったんですが、ラミィとぶーちゃんが何かをやり、ゾネスの集落とアイリちゃんを繋ぐ連絡端末を作ってしまったようで、それで連絡を取り合い、何かあれば帰宅して対処すれば良いと言うことで学園生活の継続が可能となったそうな。


 ……ぶーちゃんほんと自由やな。


 というか、アイリちゃん達、なんだかんだ言って学園生活が結構気に入ってたんですね。アイドルという仮面をかぶり、ゴリ……森賢を押さえ込むのは辛いのでは? と思っていたのですが、実年齢こそ大人ですけれども、見た目と精神的にはまだまだ少女です。


 同じ年頃(に見える)学生達と共に暮らし、集落では学べない様々な事を目にし、耳にしているうちにすっかり居心地が良くなってしまったのでしょう。


 もう既に年に何人かを里から入学させるプランが浮上しているということで、どれだけ気に入っているかが窺えますね。


 移動時間も学園から転移門(ゲート)まで魔導バスで20分。転移門(ゲート)を乗り継ぎ夏の大地までは混雑具合にもよりますが、大体1分~15分くらいでしょうか。

 

 転移先のマリーノからゾネスの里までは魔導バスで2時間30分。混雑していても移動時間だけ見れば3時間ちょいで到着できてしまうわけなので、そんな決断も出来たってこってすね。異世界のでたらめな力ってすげー!


 というわけで、本日は家族会議なのです。


 例の別荘――一応は家の部屋扱いになっているパンの書庫に移動し、フィーちゃんとルーちゃんへの質問のお時間なのです。


 質問者は私ユウと、パン。別に何かを咎めるわけでもなく、もちろん叱るわけでもなく。ただ純粋に疑問を解き明かしたいというだけですので、空気は穏やかなもんです。


「というわけで! 第1回チキチキなぜフィーちゃんはあんな事をしたのか質問たいかーい!」


「だからといってなんで無駄にテレビみたいなノリになってんのよ!」


「いや……つい」


 俺もわからんが、なんかこう……重い空気にしたくなかったとかそんな感じなんだよ。この子達もだって叱られるっていう空気にしないほうが話しやすかろうしな。


「まあいいわ。それで、フィーちゃん。貴方何時から乱入することをかんがえていたの?」


「何時って言われると、五百二十六話の後書きとしか言いようがないんだけど」


「フィーちゃん!? そういうメタいことはやめなさい!」


「えー? とーちんだってよくやってるじゃん」


「俺はいいの! ……ていうか、あの時かあ。2チームに分けてって決めたときだな」


「そうそう。最初はとーちんを手伝おうと思ったんだけどさ、せっかくだから自分もアイドルになってみようかなって……だったらるーちんも誘おうかなって思ったんだよ」


「うん。フィーちゃんからいきなり連絡が来てね。面白いことやるから手伝ってって」


「なるほどね。それはまあ、予想通りだわ。魔王を名乗ったのは例の映画に影響されたんでしょ?」


「うん、そう。鬼に扮する七瀬君がかっこよくてさあ。生物なのにやるじゃん!って。そのタイミングでアイドルでしょう? ああ、ペピメタの子達かわいいよね、私達も真似しよ!って」


「やっぱペピメタリスペクトかよ! 俺も好きだけどさ……で、国とか王とかやけに具体的な説明をしていたのは?」


「ああ、あれは成り行きだよ、ユウ。お客さん達から聞かれちゃったらそう答えるしか無いじゃない」


「くふふ。でも、あれで名実ともにルーちゃんは魔王として認知されたよ。王とは何か、それが統べる国とはなにか。あの会場に居た人達だけだけれども、わかりやすく伝えられてよかったじゃん、とーちん」


「それはその通りだし、正直めちゃ助かったんだけどフィーちゃんに言われると釈然としねえ」


「なんで!」


「あ、そうだ。折角だからついでにお願いするけどさ、ユウ、ママ」


「なあに?」

「なんだ?」


「うん、あのね。その……ノリだけでやっちゃったアイドル活動だけどね、結構楽しかったからさ……ね? フィーちゃん」


「うん。あまり働きたくないと思っている私ですらアレは感動に値した」


「だから、これからもたまにやっていい? もちろんダンジョンのお仕事はするし、ユウやママのお手伝いもちゃんとするから! おねがい!」


「私からもおねがいだよ、ユーちん、かーちん! あの快感は忘れがたい……」


 愛らしい娘二人からのお願いとあっちゃ断るわけには行かない……っていうか、俺自身もファンとして応援したいというか、アレで終わりなのは勿体ないという気持ちもあるし……何よりこの世界に国やその統治者の概念を広げる良い素材になるのは明らかです。


 子供を利用するような感じになるのはアレですが、これは断る理由がありませんよ。


「ああ、いいぞ。アイドル活動自体が俺やパンのお手伝いにもなるからな。気兼ねなくやっていいぞ! なあ、パン」


「ええ。ただし二人だけでの活動はしないこと。必ずラミィか誰かその手のネタに詳しい連中をうまく使ってやりなさい」


「パンさん言い方」


「「わああい!」」


 こうしてアイドルユニット『ルフィファー』もまた、活動を継続することが決まり、ますます持ってこの世界のアイドル文化が賑わうこととなるのだが……。


 いよいよ国の概念が実装かあ。ゴール見えてきましたなあ。

ユウ「会話めっちゃ多い回だったからさ、今回ここいらなくね」

パン「それよそれ! そんな事言うからフィーちゃんが真似しちゃってもう!」

ユウ「まあまあ」

パン「しかし、いよいよここまで来たわね。正直あたし無理だと思ってた」

ユウ「俺もだ。ガバガバな世界だから助かったけど、あれからここまで来るとはな」

パン「停滞していただけだっていったでしょ? だから突けばすぐだったのよ」

ユウ「ま、うまく引っ掻き回せたようでなによりだ」

パン「……それであんたさ、国が出来たらどうするの? やっぱ帰っちゃう?」

ユウ「んー……それをここで言っちゃうと……次回最終話になっちゃうフラグが立つんだが?」

パン「またそういう! ……無し無し!今の無し! まだもうちょっと働いてもらうんだから!」

ユウ「はいはい。まあ、その時になったらちゃんと決めますよ」

パン「どの道あっちで死んだらまたこっち戻ってくるんだけどね」

ユウ「やっぱそれ確定なのな!」

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