第五百三十六話 そして結果発表
「茶番だわ」
「茶番ね」
「茶番っすよ」
「お前ら茶番って言いたいだけだろ。俺もそう思うけど……」
「チャバンってなんすか? 宇宙刑事か何か……?」
「カズ……お前は……いや、なんで宇宙刑事知ってんだよ!」
そんなわけで、結果発表を見た我々ですが、全員一致で茶番であるとの結論が出ました。茶番だーーー!!(言いたかった)
てなわけでユウなんですけど茶番なんですけど。
何がどうって説明するのも面倒なのでオラァ!……ぽわんぽわんぽわん……
◇◇◇
『それではー!アイドリング★バトル02結果発表のお時間となりましたのでー!』
「ねえ、ユウ。言おう言おうと思ってたけど、このイベント名って『第1回リプラシル最強アイドルグループは誰だ? えっ?私……!?』じゃなかった?」
「しっ! 長すぎる事に気付いてしれっと変えたんだろ! 知らんぷりしとけ!」
誰がイベント名を決めたのか、それは分かりませんけれど、面白かろうとノリだけでイベント名を決めるのは良く有りませんね!
ちなみにカズの奴が「今回初めてやるのにゼロツーって変じゃね?」って首をかしげていましたが、02は大会のカウントじゃ無くて今年がリパン歴2年だから02なんですよ。カズがバカなのは見ての通りですが、確かにちょっと紛らわしかったかも知れませんね。
『アイドリング★バトルでは、会場内にお集まりのお客様達から発せられるボルテージポイントを計測し、ポイント数が一番多いグループの優勝というルールになっています!』
どこのアイドルゲームだよ……っていうか、ほんとそんなもん計測できる魔導具作っちまうのが恐ろしいよ。何度でも言うけど、グループ名が書かれたボール転がせばいんじゃね?とか言わなくてホント良かった……。
『今回はどのグループもかなりの高ポイントを弾きだし、なかなかの接戦で……え? えっ? あ、はい! 突然ですが、ここで私、ドリスに代わりまして当ダンジョンの王、魔王ルト様に司会進行をお任せしたいと思いまーす! 皆さん拍手!」
「うおー!ルーちゃんだ!」
「魔王様ー!」
「るぅうううううううちゃあああああああん!!」
スゲー人気だなおい! 少し恥ずかしいのか、照れ笑いをしながら控えめに手を振り振り、トコトコと歩いて出てきたものだから歓声がやべえし、見ている俺も愛くるしさでやべえ。
「やっほー! 魔王ルーちゃんです!って、フィーちゃんも来てよ!」
「えー……めんどくさーい」
「もー! 魔王の片翼なんでしょ!」
「しょーがないなあー」
「「「どっ」」」
なにやら寸劇をした後、怠そうな顔でフィーちゃんもノソノソと歩いてきました。
「と言うわけで、今回の勝負の行方なんだけど-」
「くふふ……ほんと凄い勝負だったからね……って私達も参加者だからどうなったかは知らないんだけど」
「知らないのかよ!」
「「「どっ」」」
思わずツッコミを入れたお客さんに周りの客がめっちゃ笑ってる。 いやいやほんと何のイベントだよ!お笑いライブかよってんだ!
「そう、私達も知らないんだけどね、っと、ここで一度皆に出てきて貰おうー!」
「そだね。おーいゾネスのみんなー でておいでー」
「呼び方雑だよフィーちゃん……」
「だって皆ゾネスだし……」
「「「どっ」」」
凄い雑に呼ばれたニューゾネレーションズとゾニュースの皆様が戸惑った表情でわらわらとソデから現れました。
予定ではこの後に大会を振り返るトークをした後、満を持して呼ばれるはずだったらしいのですが、なんかもう進行無視していきなり呼ばれてしまって困った顔をしてますね。
「はい! これで全員集合だね」
「そだね-。ゾニュースのアイリちゃん、今日はどうでしたか?」
と、いきなりフィーちゃんがアイリちゃんに話しを振っています。振られたアイリちゃんは一瞬戸惑いの表情を見せましたが、直ぐに笑顔になってマイク……のような魔導具を受け取ります。訓練の賜ですな。
「はーい! ゾニュースのアイリでーす! 皆、今日はありがとー!」
「「「うおおおおお!!!」」」
「今日は先輩アイドルのニューゾネレーションズさんとのバトルということで、ウチらもいっぱいっぱいレッスンを頑張って……学園の皆の応援を受けてここまで来たんだけど……」
「アイリちゃーん!」
「がんばれー!」
「ありがとー! メリノのみんなー! うん! 先輩達だけじゃなくって、ルフィファーという手強い相手とも戦うことが出来て……ウチ、すっごく楽しかった! ね、みんなもそうでしょ?」
「「「「楽しかったー!」」」」
打ち合わせをしたわけじゃ無かろうに、ゾニュースメンバーの息はぴったりですな。戦闘民族めいたところがありますので、飛び入りのルフィファーの登場が楽しかったというのは多分本音でしょう。
……別に戦ったわけじゃねえけどさ。
「だから、ウチ、ううん。ウチら皆が今日この場に来れて、皆の前で歌えて本当に楽しかった! どんな結果になろうとも、今日のことは掛け替えのない思い出だよ!」
「「「うんっ!」」」
「「「うおおおおお!!!」」」
いやあ、スクールアイドルしてますな。よくあの森の賢者をここまで矯正できたものです。素直に感心ですよ。そして会場の盛り上がりもハンパない。ほんとこの世界の奴らはスイっと新たな文化に馴染むよな。
「ありがとー、アイリちゃん、ゾニュースの皆! じゃあ、次はニューゾネレーションズのマサエさん!」
「ふふ、ウチらもねえ、まさかこんな形で、こんなにも多くの人達に歌を届けられる日が来るとは思わなかったよね」
「そうだね。正直最初は戸惑ったけどさ、初めての路上ライブで色々な人達から声をかけられてね」
「うんうん、あれ気持ち良かったねえ」
「ウチらもまだまだいけるんじゃん!って!」
「愛してるよー!」
「俺もだー!」
「結婚してくれー」
「「「どっ」」」
ニューゾネレーションズの人達は、ゾニュースとは違って素が結構残ってる感じなんだけど、醸し出される大人の色気と相まって男性人気が半端無いっすな。
はじまりの街で路上ライブをしていた事もあって、濃いファンがたっぷりとついてらっしゃるようだ。
「だから、今回はゾニュースやルフィファーと言った強者と歌で戦えて本当に楽しかった! どんな結果になろうとも今日が最高の一日だったことには代わりゃしないし、今後もこの活動を続けられたらなって思うよ」
「「「うおおおおお!!!」」」
「はい! ありがとー! と言う事で、これで今回の参加者が全員揃ったわけだけど-」
「うんうん、ホント今回は皆凄かったよねえ、みんなー?」
「「「凄かったー!」」」
「でね、乱入しちゃった私達が言うのものなんだけど……」
「いいじゃんいいじゃん。魔王権限で言っちゃえ! ここはルーちゃんの国なんだし!」
「うん! 言っちゃう! 今回のバトル勝者は……」
……ルーちゃんめ、溜めよるな……!
「……参加してくれた皆だよ! ゾニュースも、ニューゾネレーションズもさ、皆素敵だったよね、みんな!」
「「「うおおおおおおおお!!」」」
「うん、その歓声が何よりの答えだよ! あ、ちなみに私達は魔王として挨拶に来ただけだからね!」
「くふふ。そうなんだよね。実は私達、参加者じゃ無いっていうか、はじめからゾニュースとニューゾネの対決だって言ってたじゃんね」
「だから今回の勝者はゾニュースとニューゾネレーションズ! 2グループの優勝だよ!」
「くふふ。おめでとう、ゾニュース、ニューゾネ」
「はは……何と言ったら良いのかな……」
「ふふふ。アイリと引き分けとは中々愉快な結果になったねえ。おめでとう、アイリ」
「ああ、かあ……マサエもおめでとう!」
「「「「うおおおおおおおおお!!!」」」」
もはや会場の人達は語彙を失ってうおおおしか言えてませんけど、なんつうか、なんだこの。ええ?
「ユウ様、これを」
「むっ? ……お前はミケ! 何か久々だな!」
「そう言うのは後で。まずはこれをご覧ください」
「むう……ってこりゃ集計結果表か」
「はい。先ほど入手して参りました」
「でかした」
何処からか現れたミケが何処からかパクってきたボルテージポイントの結果表を見てみれば……。
1位 ルフィファー 548,035,820VP
2位 ニューゾネレーションズ 25,482,355VP
3位 ゾニュース 25,482,348VP
なんだよこれ……マジで僅差だってのか……っていうか、1位と2位の差……なあにいこれえ……。
圧倒的なスコアで優勝をかっさらってるのが飛び入りのルーちゃん達ってのはホント笑えない。こりゃあれですな。トークでどっかんどっかん笑わせていたのが大きくポイントになったんでしょうな。
確かに……飛び入りのルーちゃん達がこんなアホみたいなポイントを稼いで優勝ってのはちょっとアレな感じがするけれど……もしかするとフィーちゃんは初めからこうなることが分かっていて、いや、ライブ自体はどうでも良くて、ルーちゃんとセットで魔王として降臨する事を目的としたイベントの私物化!
これは……これは……!
◇◇◇
「茶番だあああああ!!!」
「なに改めて言い直してるのよ……いやあ、でもこれはこれで……綺麗にまとまったのかしらね?」
「ううん……みんながんばってみんなえらあい♥は私の好みとは違うんだけどお……まあ今回に限ってあり?」
「有りか無しかは後からフィーちゃんとじっくりお話をした上で改めて決めるとしてだ……でも、今回のイベント、俺は最高だったと思う!」
「そうね! そうよ! 最高だった、それでいいじゃない!」
「うふふ。なんだか釈然としないところもあるけれど、私も同意よ」
「ほら、ユウ! ルーちゃん達が呼んでるわよ。私達もステージに行きましょ」
「ええ? ちょっと待てよそんなの聞いてないぞ!」
「ユウ君、もうこの手の流れは慣れっこでしょ? ファイトよ!」
「って、ぶーちゃん達もいくんだからね!?」
「ええー?」
斯くして雑でバタバタのアイドル章が幕を閉じようとしていた。俺はただ純粋にアイドルをしているゴリラたちを見たいと思って居ただけだったのに、予想以上の展開に正直言って驚きを隠せないでいる……いってえ! いてえ!地の文! じーのーぶーん! なんでこれにまで反応すんの! どんだけ優秀なセンサーだよ!
……さて、打ち上げが終わったらフィーちゃんから事情聴取といきましょうかね。
ユウ「切るとこ無くて一気にやったから普段の倍くらいの分量あるな」
パン「ほんとあんたは良くわからない事を言うわよね」
ユウ「まあ気にすんなって」
パン「別に良いけど……それで、フィーちゃんとお話するんだっけ?」
ユウ「ああ、と言っても別に怒るわけじゃないんだ。なんでこうなったのか純粋に気になってね」
パン「確かに気になるわね。まさかこういう幕引きをするなんて思わなかったしね」
ユウ「取りあえず楽しい楽しい打ち上げをしてからだな!」
パン「……その前に壇上でご挨拶よ」
ユウ「やめろパン。そのセリフは俺に効く」




