第五百三十五話 わがなはルフィファー
『闇のコアより生まれ現れし混沌の申し子~♪』
『光のコアより君臨せし秩序の申し子~♪』
『闇とー♪』『光りがー♪』
『『合わさって最強にみーえーるー♪』』
「あっ、これ完全にフィーちゃん作詞だわ」
「曲もこれ、フィーちゃんがやってたゲームの曲によく似てるわ……」
「「やはり黒幕はフィーちゃん」」
知ってた。
知ってたというか、状況的証拠と言いますか。あの子いつの間にかいなくなってたし、アイドル育成とかフィーちゃんが好きそうなイベントなのに最後まで姿を見せることは無かったしで、思い返してみれば怪しさ満点でしたわ。
出演の根回しこそ、ラミィに頼らざる得なかったのでしょうけども、それ以外の衣装とか作詞作曲は粗方フィーちゃんが自前でやってしまったのでしょうな。
「それにしても……」
「これはこれで愛らしいわね……」
親馬鹿だろって? ばか言え。余り気分が良い物では無いけれど、カズの奴が顔を蕩かして発光の魔導具をブンブン振ってるんだぞ。会場の客だって今までに無い盛上りを見せてしまっている……。
☆やはりうちの子達の可愛さは隠しきれなかった――!
てなもんで。いやいやほんと、困るくらい会場が盛り上がってますわ……。いや、可愛いんですよ? めっちゃ可愛いんですよ? でも正直に言えば、歌やダンスの上手さはやっぱりゾネスの子達に軍配が上がります。
でも、それでもこの子達にはなにか客を惹きつけるものがあるのでしょう。
……と、ここでMCになりました。
「みんなー!今日はルフィファーのライブにようこそー!」
「くふ、違うよルーちゃん。ゾニュースやニューゾネレーションズの人達のライブに乱入したんだよ」
「そうだった!」
「「「どっ」」」
おいおい、MC上手すぎかよ。つうかルフィファーってなんだよ。二人が合体して魔王ルフィファー? やっべえ字面!
「ていうかルーちゃん、セリフ違うよ!」
「あれっ! あっまちがえたー!」
「良いぞー! がんばれー!」
「お水おいしー?」
何やら間違えたようですが、それすら利用してお客さんの心をどんどん掌握して行ってる……ルーちゃん達……恐ろしい子……っていうか、お水おいしー? って言ったの誰だ! 飲んでねーって言うか、定番ネタじゃねえかよ!
「改めまして! 今日は魔王ルーちゃんと」
「その片翼、フィーちゃんが収める魔王国に」
「「ようこそー!」」
「えへ、今度は間違わなかったよ」
「ルフィファー何処行ったって話しですけどね」
「「「どっ」」」
……あれ? なんか漫才みたいなノリになってない? 可愛いから良いけどさ。「魔王国にようこそ」がわかんねえけど!
「あー……わかった」
「どうした、パン」
「あの子達ね、ていうか子供達がこの間例の部屋に集まって映画見てたのよ」
「ほう」
「それがまた、修学旅行中の高校生が地獄に異世界転生する奴で」
「いやそれ転移じゃねえし、死んで地獄に堕ちた奴じゃん」
「そうとも言う……じゃなくて、その地獄ってね……何故かバンド対決するような世界観で……」
「読めた! 鬼か何かがギターかき鳴らして『地獄へようこそ!』とか言ったんだろ!」
「正解!」
「正解じゃねえ! パクリじゃねえか! 可愛いから良いけど……」
うむ。かわいいは正義! と、お客さん達から質問が飛び交ってますね。もう完全にこの空間を我が物としておる。我が子達ながら恐ろしいですな!
「それでー……ん? なになに? 魔王ってなんだ、魔王国ってなんだだって、フィーちゃん」
「くーふっふっふっふ! 説明しよう! 魔王とはダンジョンを統べる主の称号であり、その魔王が収める国こそが魔王国なのだー!」
「「「おおー!」」」
「え? なあに? あー、国ってなあにだって」
「くっふっふ……国というのは、複数の街や集落をまとめ上げる大きな存在なのである。故に! 国を統べる王は国の中で一番の権力を持ち、魔王とはダンジョンで一番偉い存在なのだー!」
「なのだー、って、私ってそんなに偉かったんだ!」
「くーっふっふ! そこは自覚してよ、ルーちゃん」
「「「どっ」」」
なんてこった……この子達……、俺がそのうちそのうちと後回しにしていた国の概念を……割とスマートに説明しよったぞ……。これはもう俺の役目が終わったと言う事で良いのでは?
「ちょっとユウ! あんたの仕事もうなくなった感じなんだけど!」
「それな! 明日にも日本に帰っていいっすかね?」
「だめに決まってるでしょ!」
「今宵……ルフィファーの歌を気に入った諸君……」
「君達もまた、魔王国の国民となるのだー!」
どうやらMCが終わったようで、2曲目が始まりました。今度は初っぱなから隠さずいきなり激しい曲調ですね。まあ、これも何処かで聞いたことがあるような……どこぞの美少女メタルユニットの曲のような感じですけれども。
いやいやしかし、国ですよ国! 流石にこの場に大陸中全ての人達が集まっているってわけじゃあないんですけれども、各大地から集まっているでしょう? そしてこのインパクト。噂にならないはずがありませんよ。
歌の話しと一緒にルーちゃん達の話しも広まっていけば、いずれ各大地ごとに国を立ち上げてまとめようって時にスムーズに行くと思いますよ。
勿論、こうなったらその場にはルフィファーを連れていってお手伝いをさせちゃいますけどね。娘可愛さじゃ無いぞ、あくまでもその方がスムーズに行くと思ったからだい。本当だぞ。
……と、どうやらルフィファーは2曲で終わりだったようで、惜しまれながらソデに帰って行きましたね。このまま歌やライブの文化が広まっていけば、こんな時にアンコールの声が響き渡ったりしそうですね。
『以上をもちましてー 全アイドルのライブが終了致しましたー。これより15分の休憩時間を経て、結果発表を行いますので、それまでごゆるりとおくつろぎくださいー』
「ふー! これで終わりかあ。いやあ、どうなるかわかんねえな!」
「ユウさんマジでそれ言ってます? なんなんですかあれ! 可愛すぎじゃ無いっすか! ていうか、なんでユウさんのお子さん達が出てくるんですか!聞いてないですよ! ていうか可愛すぎ……」
「うるせえ! 興奮しすぎだバカタレ! 可愛いのは当然だが、あの子達が出てくんのは俺達も知らなかったつうの」
ギャアギャアと興奮してやかましいカズを適当にあしらい、ぶーちゃんやパン、ラミィやナギサちゃんと感想を言い合っているとあっという間に15分が経ったようで、2分の猶予時間のうちにさっさと席に着けと言うようなアナウンスが流れました。
いよいよ……発表か……! 一体どうなってしまうんだ!
パン「どうなってしまうんだーじゃないわよ。なんとなく察してるんでしょう?」
ユウ「でもほら、現実は厳しいとか、何があるか分からないーとかあるじゃん」
パン「茶番のにおいしかしないわよ!」
ユウ「こら!そんな事言っちゃいけません! これまで苦労して用意した我々がバカみたいじゃないか!」
パン「暗にアンタも言っちゃってるじゃ無いの!」
ユウ「まあ、なんだ……ルーちゃん達可愛かったな……」
パン「そうね……。今度は他の子達にもやってほしいわねえ」
ユウ「むう、色々ユニット組めそうだし、それはそれでありかもしれんな……」




