第五百三十二話 雑用なので雑に展開させてやる!
『第1回リプラシル最強アイドルグループは誰だ? えっ?私……!?』まで残り2日。パンとラミィは最後の追い込みをすべく、ゾニュース達を連れ、メリノの中心部までライブに向かった。
『第1回リプラシル最強アイドルグループは誰だ? えっ私……!?』の会場を何処にするか、ブーちゃんと話し合った結果、公正を期すために塩のダンジョン第2階層、深淵の森林に特設ステージを作り開催することとなりました。
メリノやはじまりの街は既にそれぞれの固定ファンがひしめいていて、そのどちらかで開催すればホーム・アウェイの差がモロに出てしまうため不可。
それで他の街でやろうかと、話し合ったのですが、どうせなら一般人もダンジョンと触れ合う機会にしちゃえと塩のダンジョンの2階層ですることに決めちゃったんです。
今の所2階層は冒険者や商人以外の通行を許可していませんからね。ダンジョンには有効的な魔物達が多く住み、人間族と交流をしているわけなんですが、それを知らない人もぼちぼちといらっしゃいます。
自分たちの姿とはかけ離れた姿ではあっても知性を持ち、友好的であるということを知らなければ、いずれダンジョン外で交流する機会に恵まれた際に余計な軋轢を生むきっかけになってしまうかも知れません。
どっかの女神は当初『人族と魔族、どちらも育てて喧嘩させて力をつけさえろー』みたいな事を言ってましたけれども、今みたいにダンジョンで仲良く喧嘩する方向に進んでいる以上、要らん争いは避けるべきなんですよ。
つうわけで、両種族における今後の友好を考慮して『第1回リプラシル最強アイドルグル……なげえわ! アイドル対決はダンジョン第2階層で執り行う事に決めたわけなのでした。
で、まあ。ユウなんですけれども。開幕二日前に何をしているのかと言いますと、俺は単独塩のダンジョン2階層に来ていまして、これからステージ設営をするところなんですよ。
二日前だぜ? ありえねえよ。 ここでやるって決まったの昨日だぜ? ありえねーって!
まず2日でステージ設営しろってのがありえねーし、もう明後日やるってえのにこれから告知ってのもありえねーし。
ま、そこはそれ。設営は俺のスキル……すいません、俺のじゃないです。スマホの力でババーンとやっちまいまして、雪ウサ達にブラックな働きをしてもらえば音響周りや演出周りも全て解決。
各地での告知はウサ族達にブラックな働きをして貰って、ビラ配りや両アイドルの紹介映像をスクリーンに映してのプレゼンでバッチリ!
そのまま各地でライブチケットを販売し、後はゲートで瞬間転移ってなもんで……こればっかりは地球では考えられない、あちらではまず実現不可能なレベルで用意が済んでしまうってわけですわ。
まして、まだこの世界の人達は地球のようにキチキチと働いているわけじゃありませんからね。自分の都合で店を閉め、どこかにわっと行ってしまうということが余裕でできちゃうわけです。スケジュールなんてあってないようなもんなんですよ。悲しいけれども!
なので、こうしていきなり『おう、やるぞ!』と言っても『よっしゃ!行くわ!』と打てば響くように反応してもらえるわけで……あんまよくないことだけど、ありがたいよなあ。
とか言ってる間に俺の手は動いていますよ。主にスマホの操作ですけれども。
予め落としておいた……もとい、すげー必死で書いたライブ会場の図面をスマホに読み込ませ、後はアホほど溜まった素材で勝手にばばばーっと組み上がってしまうわけですよ。女神チートの力ってすげー!
てなわけで、フルオートで組み上がっていくステージもろもろをぼんやりと見つめているわけなんですが、こうしているとじわじわとやるせなさがやってくるわけで。
何がって、俺だってPをやりたかったって話ですよ! Pってなんだって、プロデューサーですよ! うーん、こればっかりは判断を誤りましたね。 うっかりスクールアイドルって言ってしまったがばっかりにプロデューサーの存在が抹消されてしまったわけですよ。
一方、あちらさんはガチの商業アイドルでしょう? カズの野郎がプロデューサーとなって、アイドル達から『プロデューサー♥』とか『Pちゃんおっすおっすう!』とか『プロデューサーくん!』とかとか! そんなふうに甘酸っぱい呼ばれ方をされているかと思うと気が気じゃねえんですってば!
……例え年齢だけ見れば後期高齢者だとしてもだ。彼女達は一般的な寿命の種族とは違う時の流れで行きてるんだからな! 見た目年齢で考えよ? 数字だけ見ても誰もとくしないからね?
「あら、言っておくけどプロデューサーは私よ?」
「げ、げえ!ブーちゃん? って、今なんとおっしゃいました?」
「だってカズくんね、ソシャゲしかやったことがないっていうのよ? それでプロデューサーって……ねえ?」
「あーーー……あいつ俺に偉そうなこと言ってたくせに、CS版未経験だったのかよ」
「そうなのよ! 箱のは兎も角として、ポータブル版くらい触ってたら話は違かったのに!」
「ポータブル版はまあ……未プレイなのはしょうがないけど、それでドヤってたのは腹立たしいですな」
「でしょう? 私もう無理!ってなってね? 気づいたら私がプロデューサーに……」
「……って、ブーちゃんがプロデューサーかよ! やべえな、めちゃくちゃ強化されてそうじゃん」
「でも、そっちだってユウくんがプロデュースしたんでしょ?」
「それが……こっちスクールアイドルでしょ? プロデューサーなんて居ないだろって言われたら、たしかにってなるじゃないっすか」
「あっ」
「それで俺、まあ、雑用じゃないけれどもそれに準ずる形になってですね。パンとラミィの奴がアドバイザーになって、後は彼女達の自主性にお任せですわ」
「あらあら……ユウくん、お姉ちゃんと一緒に寝よっか? なんなら少しくらいなら触ってもいいのよ?」
「ぐっ! 魅力的な誘惑だけども、お断りしておく! 後が怖い!」
「ざあんねん。お姉ちゃん、ユウくんPならプロデュースされてもいいかなって思うのに」
「って、後書きみたいな展開やめよう!?」
……と、好き勝手俺を弄り倒した挙げ句、謎のプロデューサーぶーちゃんPは煙のように消えていた。
やべえな、ブーちゃんプロデュースのアイドル達かよ。ゾニュースの子達もかなりの仕上がりだが……こりゃ勝負はどうなるかわかんなくなったな……。
ブー「はあーい、プロデューサー♥ お布団においでおいで♥」
ユウ「って、まだやるんすかそれ!」
パン「……何やってんのよアンタたち、ってか、まだってなによ? 何してたのよ!」
ブー「うふふ、リーちゃん怒らないの。ユウくんとちょっとお話してただけよ」
ユウ「あ! そうだ聞いてくれよパンさん! あっちのプロデューサー、カズじゃなくてぶーちゃんだって!」
パン「えっ? ま、まじで? ちょっと!ぶーちゃん! ズルくない? 女神が直々に手を出すなんて!」
ブー「それを言うならリーちゃん、貴方もでしょう? 聞いたわよ、ユウくん泣いてたわよー」
ユウ「な、泣いてなんか無いやい!」
パン「ユウ……だってしょうがないじゃない。スクールアイドルなんだし……」
ユウ「わかってるさ……って、パン! 流されるな! ブーちゃんがプロデューサーなんだぞ!」
パン「そうだ! ちょっとブーちゃん! あんたやりすぎてないでしょうね!?」
ブー「うーん? わからないわあ? ま、明後日のお楽しみってことでえ♥」
ユウ「……嫌な予感しかしない」
パン「同感よ……」




