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第五百二十九話 会場開場

「ううー、初ライブ緊張するよー」

「大丈夫だよ! アイリちゃん。あんなに頑張って練習をしてきたんだからさ!」

「そうですよ! アイリ先輩! 校内にチラシも配ったし、絶対皆来てくれるます!」

「先輩らしくないですよ。ほら、シャンとして」

「ありがとう、マイ! ハルミにナギもサンキューね!」


 はい。管制室のユウですけれども。いやあ、たまげますね。これがあの森の賢者達だとは誰も思わないことでしょう。里の皆さんが見たらびっくりするんじゃないかっていうか、ナギサちゃんもメンバーとして加入すれば少しはいい感じに……うっわ、なんだ!? 今の殺気! 奴はここからかなり離れた場所に居るはずなのに……うう、くわばらくわばらだ。


 ってわけでしてね! すげーなって思いつつ、なんだかムズムズする俺なんですけれども、無事にアイドル研究部を作った彼女たちは、3日間もの厳しいレッスンを経ていよいよ校内初ライブとなります。


 3日ってみじけえなって思うかも知れませんが、猶予期間は一月ですからね。マキでいくんです。マキで。


 アイドル物の手作り初ライブと言えば、主人公たちの空回り、張り切って挑んだというのに誰もKONEEEEE!と言う厳しい現実を突きつけられるのがお約束と言えばお約束なわけでして、


 見ていて胸が痛むシーンではありますが、主人公達のふわふわとしたお花畑状態にカツを入れ、反骨精神を刺激してより一層輝ける様にするための試練。


 その挫折が有るからこそ、最終話での大入りライブが寄り胸にグッと来るってわけですよ!


 ……だと言うのに……。


『おい! ラミィ! 一体これはどういうこった! オープン前だってのに、講堂前にすっげえ行列できてるぞ! 誰もこねーんじゃなかったのかよ!』


『なにいってるんすかユウさんは。当たり前でしょ? あれだけ根回ししたのに来なかったら困るっすよ!』


『ちょっと待て! ここは頑張ったのに来ないのが王道じゃねえかよ!』


『はぁ~クソでかため息』


『おいくそ、口で言うな! 何か間違ってること言ったか!?』


『お話と現実をごっちゃにしてはいけませんなあ。良いっすか? 我々の役目はアイドルグループ、ゾニュースの知名度をガンガンに上げて、プロアイドルグループに殴り込むことっす!』


『ゾニュースって名前に決まったんだ……』


『挫折、確かに大切なことかも知れませんけどね。ぶっちゃけアイリちゃん達は既にプロなんっすよ? ゾネスの集落で日常的に歌い、儀式で歌い。文化柄お金は発生していませんけれど、立派なお仕事、プロっす!』


『あっ……そうか……』


『そこまで数々の試練があり、挫折を味わうことも多々あったと思うんす。だからわざわざ今更そんなイベントはいらねーっていうのと、一番の理由は追加戦士がいねえってとこですね』


『おいこら! 追加戦士っていうな!』


『今回は所謂3年生組、アイドル活動を許さない生徒会組や、元アイドル研究部と言った皆様が居ないわけです。時間もないのに、追加戦士も来ないというのにわざわざ尺を削る余裕はないってこってすよ!』


『ぐうう! せ、正論すぎる!』


 ……きっちりかっちり王道を行くっす! とか息巻いてたラミィさんにこんな事言われると少しばかり腹も立ちますが、言ってることがド正論だからぐうの音も出ない。


 わざわざ学園でスクールアイドルやらせるってのも、せっかくだからスクールアイドルvsプロアイドルで対決しようぜーっていうネタでしかないからな……。


 目的はあくまでもアイドルの知名度を上げ、多くのファンを獲得し、この世界にアイドル文化を根付かせるという部分にあるわけだから、そこまで本気でやらなくても良いんだけど……くう、それはそれとして少し釈然としねえ。


 と、一人ブチブチとだれに言うでもなくボヤいているうちにオープン時間ですな。


「うおおおお! アイリちゃーん! 俺ですよー!」


「ハルちゃーん! がんばれよー!」


 汚い声援が、失礼。黄土色の野太い声援を送りながらファンのみなさんが会場入りです。コイツラ何をするのかわかってないはずなんですが、兎に角アイリちゃん達が集まってなにかするらしいという情報だけでこの興奮です。


 歌って踊るアイリちゃん達を見たら一体どうなってしまうのだろうか……。


 撤去作業が面倒くさいので、講堂には椅子なんてものはおいてありません。オールスタンディングですよ。当たり前だろ。

 

 だから結構キャパは有るはずなんですが、どうしたことか満員御礼っつうか、学園外からもめっちゃ人が来てますな。


『スクールアイドルって別に学園内だけでファンを作らねばならぬというルールは無いっすからね。パンさんに頼んで街中にビラ配りしてもらったんすよ』


 なるほどそれでか。しかしこいつ、さらりと女神をパシリに使いよる。まあいいんですが。


 見れば、おじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃん、お子様たちまでバラエティ豊かなお客さんで溢れていますね。ひと月後の約束で戦うことになっているママ組は始まりの街全域で営業をしているはず。


 となれば、こちらは学園だけではなく、メリノ全体を巻き込んで営業活動をしないと相手にならねーってことですな。


 と、スタート時間になったようで、講堂の照明が落ち、お客さん達がざわめき始めました。


「明かりが消えたぞ!?」


「なんだ? 照明の故障か?」


「待って! ステージに灯りが!」


 カーテン越しに浮かび上がる5人のシルエット。それがゆっくりと開かれていき……スポットライトを浴びたゾニュースの姿が浮かび上がる!


「「「「うおおおおおおおお!!!!」」」」


「「「「「みなさん、こんにちは! ゾニュース! ですっ♥」」」」」


「きゃー! ナギさまー!」

「アイリちゃーん! 僕が来ましたよー!」


「シー! ……はい。ありがと♥ 今日は、私達ゾニュースのファーストライブに来てくれてーー」


「「「「「ありがとー!!!」」」」」」


「「「「「うおおおおおおおお!!!!」」」」」


「なあ、ライブってなんだ?」

「知らねえよ。別にいいだろ」


 戸惑いつつも、場の空気だけで盛り上がるお客さん達。 さあ、震え上がるが良い! 伝説の15分が今ここに開幕する……ッ!

パン(あれでしょ、次話はライブが終わった後から始まるんでしょ?)

ユウ(やめなさい! そんな事言うの!)

パン(でもさ、アニメの常套手段よね。『それでは聞いてください!』っていったあと『じゃ~ん』で終わるの)

ユウ(そうだけど、最近のアニメは寧ろその辺気合い入れて作るところが多いだろ)

パン(アニメ調の3DCG様々よねー)

ユウ(セルでやっちまう凄まじいところもあるけどなって、何の話をしてるんだ我々は)

パン(知らないわよ!)

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