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第五百二十四話 雑なテコ入れ回とでもいうのか

 あーその、なんだ。何も見てないし、見えてなかった。うん!急にこっち振り向きやがったから色々全部そっくり見えたとかそういう事はなかった!はい!解散!


 ……なかったと言ったらなかったんです!


「ユウ?どうしたの? お腹痛いの? 変な実とか拾い食いしちゃったの?」


「~!? そ、そんなことはないぞ!なんでも無い!なんでも無いから!ほら!さっさとお社の中にあるご神体とやらをチェックしろよ!」


「ふうん? なんか変ね? 大丈夫なら良いんだけどさ」


「いいから!あんまこっち来んな!」


「わかったってば!……あれれ、こんな所にお団子が落ちてるわよ。ちょっとー!これ拾って食べたんじゃないでしょうね!」


 グハぁ……なんでそこでそんなポーズをとってしまわれるのですか、この女神様は……ッ!

 見えてはいけない色々なものがバッチリ視界に入ってしまったと言うか、仕事しろ!謎の光!


「ば、ばばばば!ばバカヤロ!そんなの食うわけねえじゃんかよ!良いからさっさといけ!しっし!」


「なによ!心配してやってるのにさ!言われなくてもね、一人で中を見ちゃいますからねーだ!」


 ぶーーーーーーちゃあああああああああああんんん!

 これさあ、さあ見るぞって時に付与してくれてもよかったんじゃないっすかねええええ!?


《……ニコッ》


 なんか今、無言で微笑んだ様子が伝わってきたんですけどおおおおお!ワザとか?ワザとなんだな? なんて女神だ畜生!


 はぁはぁ……だめだ色んな意味で脈拍がヤベエ。深呼吸して……深呼吸してっと。


 はあ……よし。落ち着いたぞ。


 くっ!しかし迂闊に社の方を見れねえじゃんか。油断すると奴が視界に入りやがる。

 ゾネスの民達が近くに居なかったのはある意味良かったな。これであのエルフ娘共まであられもない姿で視界に入ってしまったら俺が俺で居られなくなっちまう。


 さて……今のうちにお社をチェックしよう。


 ダメな物が司会に入らないよう、慎重にパンさんの様子を伺うと、お社の前に仁王立ちになって何やら目に神気を集めているようですな。ははーん、これはアイツも神眼を使う感じですか。


 つうか、神眼が発動している影響なんですかね。俺やアイツを取り巻く神気の流れが手にとるようにわかると言いますか、何やら黄金の神々しいモヤモヤが煙のようにうごめいている様子がそっくり目に見えます。


 この煙がもう少し仕事をして謎の光効果でも出してくれたら、俺ももう少しやりやすくなるんですが……って、パンさんがこっちをじっと見てますね。なんだろう?


「……えぇ……?」


 赤い顔をして『なんで?どうして?意味がわからない』そんな感じの視線を此方にジロジロ送っています。

 その視線の先は俺の顔ではなくて、もう少し下の……下の?


 ……下あああああああああ!?


「パンさん!?何か俺の下腹部に珍しいものでも見えちゃったりしてるんですかね!?」


「は、はあ!?何よ変態!そんなわけないじゃないの!なんでいきなりそんな事になってるか知らないけど、何も見えてないわよ!」


「……」

「……」


《ぶーちゃあああああああんんんん!!!!!》

《あっはっはっははははははは!!!やだーもー》

《やだもーは俺だよー!》

《うふふ、うふふふふふ!あはっっはっはっは……はー、くるしー》


 くっ!もう笑い声しか伝わってこない。

 ブーちゃんめ、俺に社の中を見せるとか言って初めからこういう少年誌のちょっとエッチな漫画展開をさせるつもりだったんだな!


「な、なによ!あ、あたしが何か見ちゃったとかでもいうわけ?」


「い、いいや!お、お前が言うならそうなんだろうよ!ほ、ほら!早く御神体を確認しろよ!」


「そ、そうね!そうだったわね!」


 はあ……。何だよこの状況……。この場に居るのは実質俺とパンのみ。俺とアイツは互いに全裸に見えてしまっているわけで、感覚としては二人仲良く裸で広場に突っ立ってるド変態じゃねえか!


 ブーちゃんめ、ほんとさあ……!


「あっ」


 どうしたら良いのかわからない様々な感情の行き場を持て余していると、パンのやつが小さくやらかした感たっぷりの声を漏らしました。


 予想通りに何時もの何かやらかしに気づいたと言うか、何か思い出すような物が御神体として入っているようですな。


 どれどれ……なるべくパンが視界に入らないようにしてと……。


「ちょ、ちょっとユウ!何こっちに来てるのよ!まだこっちに来ないで……ひゃあああ……ほ、ほんとこっちに来ないで!そ、そんなものこっちに向けて歩いてくるのは……ひえええ……」


「……一体何を言ってるのかわかりませんねえ。まさか貴方、透視術か何かお使いになられてたりするんですかねえ……」


 困ったような声を上げながらも、しっかりと此方を凝視している女神様。呆れすぎて一周回ってビシッとダイレクトアタックしちまいましたよ。


「と、とととと透視ぃいい?そ、そんなジョークグッズみたいな術があるわけけけけないじゃないのおおお?」


 ごまかすの下手くそかよ。


 とうとう俺の()()が視界に入るのに耐えきれなくなったのか、パンさんが後ろを向きました。よし!今がチャンスだ!背面部ならまだギリギリ謎の光さんに頼らずとも視界が確保できる!


 それでもなるべくパンが視界に入らないよう、社の中を見ると……。


「ああ? なんだこれ……バースデーカード……? ハッピーバースデーリーちゃん……?」


 やたら豪華な紙で作られた二つ折りのバースデーカードらしきものが豪奢な台に乗せられて、新品同様にキラキラと煌めいていました。


「……えっ!? な、なななななんであんたも社の中が見えてるわけ? ま、まさか!あ、あああああああ!あんたも?」


「やっべ……な、なななななんのことですかの?」

 

「ちょ、ちょっとおおおおおおおおおお!!あああああ!あんた!眼!眼に神気が!あああああ!!!ぶーちゃあああああんん!!!!」


 ……バースデーカードについて問い詰めてやろうと思った瞬間これですわ。話が進むと思ったかい? 得てしてそういう時はこうしてグダグダと一番ダメな方向に向かっていってしまうのですよ……。


 どうすんだこれ……!

パン(……)

ユウ(……)

ぶー(ヒーヒー……もう、お腹痛い……助けて……あははは)

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