第五百十八話 女神も知らない不思議な種族
歓迎会から転じたお食事交流会で出された料理達に僕らは仰天! 出てくる料理のどれもが真っ赤だったんだ!
ただ赤いだけじゃないぞ! きちんとカプサイシン的な辛み由来の赤さだったから、パンやカズ達なんて目を白黒させてて面白かったなー!
でも不思議だよな?アイリちゃん達だって別に辛いのがそこまで好きなわけでは無いんだって。何か仕方が無く辛くしているとかで、僕はまたしても厄介ごとの襲来を強く感じちゃったんだ!
……はい、ユウです。少年向けアニメのあらすじ的に言うとこんな感じだったんですが、まあ大体そんな感じなんすよ。
赤いんですよ辛いんですよ!そんでもって別に好きでも無かったんですよ!なんなんだよ!
「てなわけで、原因を探るべく我々探検隊はエルフ族のカマドに足を踏み入れました」
「タンケンタイってなんだ? というかえるふ族?勝手に変な呼び方するんじゃないよ!ウチらはゾネス!偉大なるゾネスの女達だよ!」
ゾネス……ゾネスの……女達……。
うーん?
「あの、知らなかったのでそれは謝りますけれども、一つ教えて貰って良いですかね?」
「なんだい、急に気持ち悪いしゃべりになっちゃってさ!普通に喋りなよ」
「ああいや、もしかして、この近くにゾネスとは別の……男だけの集落があったり……?」
「そうさ。近くでは無いけどね。向こうに2日ほど歩いたところに男衆の集落、ウッホがあるね」
ウッホ……。
(つうかさあ、これぜってえお前がノリで作って忘れてたパターンだよね?)
(な、なによ!人聞きの悪い!これはあれよ!私の作った世界も頑張ってたって証拠じゃ無いの!)
(いいや違うね。ゾネスってアマゾネスじゃん、絶対。んで、ウッホってお前ふざけてんのか!)
(ふふっ)
(なにわろてんねん)
(あ!いやあ……男だけの集落でウッホってばっかじゃ無いのって思ったらつい)
(それ付けたのお前だろって話してるんすけどねえ……)
(ううん……言われて見ればアマゾネスやウッホって私が付けそうだけどマジ記憶に無いわよ)
(まあ、今はそういうことにしておいてやるか……)
「どうしたんだい?難しい顔をしてさ」
「ああいや、男女で分かれて暮らしてるの面白いなあって」
「面白い?そういやあんたら、男女ひっついて行動してるね? 番だって聞いてるけど、子産みの時期でも無いのに男と女がつるんでるのはウチらからしたら妙だよ」
「お互い様ってこったね……子産みの時期というのがあるんですね」
「うむ。合同収穫祭ってのを年に1度やるんだけどね、そこで成人したゾネスの女衆は気に入ったウッホの男衆を捕らえてね、営みの小屋で半年共に過ごすのさ……」
女衆が……男衆を……捕らえる……!
「アイリちゃん若くみえるけど、族長ってことは既に男衆と……?」
「な、なななな!なにいいやがるんだ!ウチはたしかに成人してるけどね!ウチを満足させられそうな男衆はまだ見つけられないんだよ!ま!まったく!ユウは男衆のくせにハッキリ物をいいやがるね!」
ううむ。ウッホの人たちがどんな性格なのか見たいような見たくないような……っと、そういったデリケートな風習を聞きに来たんじゃなかったんだ!
改めまして!ここはゾネスのとあるお家のカマドです。
「い、家に上げてやったからって勘違いすんじゃねえぞ!お、お前には既に子も女衆も居るんだからね!」
はい、アイリちゃんのお家にやってきました。なんだかなー!可愛いけどめんどくさい子ですね!
「ああ、はいはい。では上がらせてもらいますよ……武器とか預けなくて良いのかい?」
「あん?男衆のあんたから遅れを取るつもりは無いし、女衆も……いや、武器があろうとなかろうとウチが敵わなそうなのが居るね……別にそういう決まりもないし、信用してるから構わないよ」
信用て。何か信用されるようなイベントなんてあっただろうか。まあ、面倒なく入れてくださるってことであればお言葉に甘え冴えていただきましょう。
「ウチにはウチと母であるマサエ、妹のマイの3人が住んでいるよ。ああ、聞かれる前に言っとくけど、父であるヨシオはウッホで弟のアキノリと二人暮らしているのさ」
先回りどうも! 思った通りといいますか、ベタといいますか、お約束と言いますか。俺たちの勘定で言う所の10歳を迎えた男の子は問答無用で父親が暮らすウッホの家に送られてしまうらしい。ていうか、マイちゃんはアイリちゃんの妹さんだったのか。
ただし、一生離れ離れというわけではなく、収穫祭の後に2ヶ月ほど営みの家で家族水入らずで過ごすそうな。んでまあ……その、その期間中、上手いこと行けばやったねアイリちゃん!家族が増えるよ!ってな感じになるそうで……って!そういう話を聞きにきたんじゃねえ!
「お前がユウとか言う男衆だね!マサエの家によく来たね!カマドを見たいとか男衆らしいことを言うけれど、なんだか普通の男衆とはちょっと違う雰囲気がしてるねえ!」
威勢よく登場したのはアイリちゃんのお母さんであるマサエ! マサエの家って言い方が面白かったのか、パンさんがツボってますね。
ていうか、マサエさんいくつなんだろうか? アイリちゃんにマイちゃん、アキノリがいるらしいのに見た目的には結構アリな感じなんですけれども。なんつうの? 二十代前半くらいに見える……。
(うっわ、マサエさんこれで78歳だって!)
(ああ?え、ちょっと、ちょっとまって……ああん?アイリちゃん……48歳なの……!?)
(あれ、これってもしかしてガチのエルフ族なのでは?)
(おいこら!お前がそれをいうなよ!)
……くっ!余計な情報が次から次へと飛び込んできやがるもんだから畜生!赤い料理の調査ができねえじゃねえか!
ユウ(おいおいおいおい!まじでさあ!何か覚えてないの?)
パン(覚えてるも何も、身に覚えがないもの!)
ユウ(そう言ってさあ、お前はさあ……いつもいつもさあ)
パン(なによ!)
ブー(うふふ……浮気したしないの痴話喧嘩みたいね)
ユウ・パン(ちげえし!)
ブー(ところでユウくん、ちょっとこっち来てこれ見て?)
ユウ(ったく……なんすか……またしょうもない……ん?これは……)
ブー(泥酔したリーちゃんが端末弄ってるシーンね)
ユウ(あーこれ俺が見ちゃっていいのかな……神様的なデバイスじゃん)
ブー(いいのいいの。ほら、みてここ。春の大地から何%か夏の大地に移してるでしょ)
ユウ(うわーマジだ……何やってんのこの女神)
パン(ちょ、な、なにみてんのよ!え、ちょ、それあたしじゃないの!ねえ!)
ブー(ほら……パラメータまで弄ってるのよ? もう完全にリーちゃんの仕業よねえ)
ユウ(つまりこのアホは泥酔してやらかした上覚えてないと……)
パン(だから……何見てるのよ!って!?)
ユウ(パンお前!酔って覚えてないと言えば許されると思うなよ!)
パン(え!何いきなり怒ってるの?え?ブーちゃんまで笑顔で怒ってる?なんで?なんでえええ!)




