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第五百十二話 儀式の様子はダイジェストでお送りいたします

 お付きのエルフ達によるハミングが始まる。それぞれが異なるメロディーを奏でているのだけれども、それらは綺麗に調和し、重厚な音の空間を作り出している。


 なんというか、ゴスペラがやたら流行ったときにテレビで見たような感じのものに近いのだけれども、それとはまた別の聞いたことがない美しい何かといいましょうか。俺の貧弱な語彙では言い表すことが出来ない、なんだか神聖な音楽です。


 これだけでも随分と完成されているというのに、まもなくスッとその音域に加わったオヤカタさんの歌声といったら……!


 そう、それはまるで薬味とタレの海で優雅にたゆたう高級素麺の様な……っ!


 ……だめだ。


 俺の語彙は死んでいる!


 しかし、残念な点もある。


 あれだけ派手に会場をわかせて始まったこのライブ……もとい、儀式は儀式というだけあって、なんだかゆったりとした曲調で、ゆらゆらと左右に動いてこそいるものの、踊りという感じではないため、なんだか見ていてちょっぴりさみしい感じ。


 でも、これはこれでいいんだよな。ナギサちゃん級の姐御キャラっぽい人たちがおしとやかな感じで歌ってるんですよ。ギャップ萌えってやつですよ。

 

 カズなんてなんだか手をワキワキとさせていて、時折ナギサちゃんの方をこっそりチラ見しては、何かを感づかれてスネを蹴られています。


 ちょっと心を読んでみたところによりますと……。


(やっべ、やっべ。なにこれ尊い……。普段暴力キャラで通ってる系女子がクラスの皆には内緒で家業の儀式を舞っている……その舞はいつもの彼女からは想像がつかない程にお淑やかで……ああ、これやべえ。ナギサさんにやってもらえたら俺もう一片の悔いもないかもしれん)


 とのことで、まあ想像通りではありましたが、こいつそこまでナギサちゃんに魅了されてしまっているのかと、微笑ましいやらなんやらですわ。


 しかし、なかなか魅惑的な儀式だな。歌もさることながら、歌っている彼女達の表情がまた良い。なんだかこう、心より楽しそうな表情を浮かべながら伸び伸びと音楽を奏でているんだ。


 これはやっぱりここだけのものにしておくのは勿体ないな。なんとかいい方向に話を持っていけるよう、口説き落とさねばならぬ。


 して、どうやって彼女達を口説き落とすか? それはもう決まってるよね。今までのパターン通りでいいじゃん。マイちゃんの様子を見て確信したもの。今回もいつものパターンで行けると!


 

 なんてことを考えながら見ているうちに、盛大な拍手とともに歓迎の儀式は終了した。しっとりと汗をかいた彼女達はキラキラと輝いていて、それはそれは美しく。


 見た目が若干幼いため、ちょっといけない事をしている気分にすらなってしまった。


 カズは遠慮なく鼻穴を大きく広げ、妙に興奮していたのでナギサちゃんに殴られていました。


 さて。ここからが本番だ。


 儀式が終わると、思った通り歓迎の食事をという運びになったのだが、ここで俺はひとつの提案をさせていただいた。


「既にマイから報告されているとは思うけれど、俺達はちょっと変わった食事を摂っているんだ。ここはひとつ、互いに料理を出し合い、双方に新たな経験を齎すというのはどうだろう」


 この提案にアイリちゃんは少しむずかしい顔をしていたが、


「よかろう。マイの奴が『汚いけどやたら旨い』と連呼していたお前たちの食事、ウチも食べてみたいのだ」


 と、好奇心でキラキラとした顔で承諾してくれました。君あれだろそれ、度胸試しとかそういうたぐいの期待だろ? まあいいさ。何にしても胃袋を掴んでしまえばこっちのもんだ! 今のうちに精々汚い汚い言っておくんだね!


「というわけで、ここの人たちに飯を振る舞うことになったのだが!」


「一緒に聞いてたから知ってるけど、どうすんの? マイちゃんに聞いたら400人ちょいくらいは居るみたいなんだけど……」


 そうなのである。


 多いのである! 俺達一行の中でそれなりに飯を作れるのが俺とナギサちゃん。上手にお手伝いが出来るのがルーちゃんで、カズとフィーちゃんはスマホでもいじってたほうがマシなレベルだ。パンさんは良くわからん!


「えっ!? 3人で400人分の料理を!?」


「出来るの……?」


「出来ねぇ……!」


「どうすんのよ!!!!」


 どうするんだろう……。実際どうするんだろう? イヤイヤまじでちょっと考えてなかった。俺としたことが何も考えてなかった。


 今までのパターンはそもそもの人数があんまり多くなかったり、お手伝いできそうな人たちが周りに沢山いたりしたんだけど、今回はやべえな。


 ここは何処かも良くわからんジャングルのど真ん中! 人はたくさんいるけれど、あちらさんだって自分たちの料理に精一杯だ。


「ねね、ユウ。お手伝いさんが居ないなら呼んだらいいんじゃないかな?」


「うん? それは一体どういうことかな?ルーちゃん」


「かんたんな話だよ。料理が得意な子達をたくさん呼んだら解決だよ!」


 ……料理が得意な子達……つまりはウサ族……! 奴らは一応魔族! 魔族や魔獣はルーちゃんの眷属!眷属召喚が可能……ッ! そうか、その手があったか!


「たのむルーちゃん!適当に20人くらい呼んで!」


「わかった!えーと……」


「っと、一応喚ぶ前に相手の確認取ってね? 仕事中に呼んだらいくらウサ族とは言え気の毒だからさ」


「う、うん!そうだね!わかってたよ!うん!」


 絶対わかってないやつだ。ともあれ、これで何とかお振る舞いの目処は立ったぞ。くっくっく……エルフの娘さん達の即落ち……見させてもらいますよ……。

パン「なに気持ち悪い事考えてるのよ……」

ユウ「そ、そういう意味じゃねえよ!料理漫画的なアレだよ!」

パン「言っとくけど変なお薬入った料理とかやめてよね」

ユウ「黒いカレーとか誰が作るか!真っ向勝負でいくんじゃい!」

パン「それは冗談として、カレーの他になにか考えてるの?」

ユウ「ふっふっふ……」

パン(あっ何も考えてないやつだ)

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