第五百十一話 ようやく着きました
エルフ(マリーノ地方のすがた)の集落にやってきた我々探検隊ですが、ユウですが!
いやあ、所変われば様式も変わるもんですな。高温多湿という環境のせいなのか、住居はすべて樹上、いわゆるツリーハウスです。
これはそう、生活風景だけであればエルフと呼べる精霊樹の里の住人達と類似しています。
しかし、彼女達はあくまでも猫族。いくら元締めのフリーシアがテンプレエルフまんまの姿であろうとも、そこに住むのは遠き昔にヒゲミミから別れた同一の種族であるため、なんちゃってエルフ感は拭えません。
ところがどうだ!この集落ときたら、見た目はエルフ!生活様式はエルフ!口調はなんだかナギサちゃんみたいな姉御系だけれども、それに目を瞑れるレベルで俺は今最高に興奮してるんだっ!
住居や倉庫などは樹上にありますけれど、全部の施設が樹上というわけではありません。
集落の中央にはこんこんと冷たい水が湧き出る泉があり、住民たちの水場として重宝されているようなのですが、その直ぐ側には住人達が共同で使っているのであろう炊事場がありました。
なんだかキャンプ場にありげな屋根だけついて壁がない建物って感じで、これならば多少の雨が降っていたとしても火を使うことが出来るでしょうね。
地面には紐で組まれ筏のようになった丸太が敷かれていて、雨で地面がぬかるんでもも歩きやすい素晴らしい工夫がされています。住居等も勿論、木造建築でログハウスのような塩梅なのですが、外から見ただけではありますが、はじまりの村の住人共が住んでいる建物と変わらぬレベルでしっかりとした建造物と伺えますな。
ううん、こんなジャングルの奥地に住んでいるのだから、もう少し未開感あるのだろうなと、勝手に偏見の眼差しを向けてはいましたけれど、それはとっても失礼だったのだと反省。
「お、もう皆集まってるな」
先導するマイちゃんが嬉しそうな声を上げます。
彼女に案内をされ、向かっているのは『オタチダイ』なる、どこかバブル感漂う場所なのですが、なるほどオタチダイ。いやまあ、そりゃね。歩いていど近づいているわけですからもうその姿がだいぶ前から見えてるわけですよ。
しかし、そこにアホほど人が集まってるとは思わなかったな。ていうか、この集落こんなに人が居るのかよ。
誰かが俺達の姿を見つけ、謎の歓声を上げると、それに次々と声が重なり『ウォオオオオオ!』と良くわからん大歓声に。
300人くらいは軽く集まってるんじゃないっすかね?何処のミニライブだよ。
なんでライブに例えたかって、そのオタチダイとはまさに野外ステージそのものの姿をしていて、その上には族長かな? なんだか少し豪華でエッチな格好をしたお姉さんと、その従者であろうお姉さん方が腕組みをしてこちらをじっと見ていたからです。
いやあ、これ声優ライブとかじゃないよね?
「静まれ!」
と、突如として従者っぽいお姉さんが大きな声を出しました。びっくりしたなあ!と、うちの面々の様子を見ると、カズがまんまるな目をして固まっています。これめっちゃびっくりしたやつだな。
「これよりオヤカタによる客人歓迎の儀を執り行う!客人たちよ、こちらへ!」
その声を聞いたマイちゃんはコクリと頷くと、ステージに近い最全席まで俺達を連れて行ってくれた。最前列の前には槍を持ったお姉さん方が厳しい顔をして立っていて、なんだかほんと凄え勢いでライブのようだなと思いました。槍はアレだけど、これってまんま警備スタッフやんけ。
俺はもうこの時点で何が始まるのか察しがついているのでワクワクしていますが、他のメンバーたちはといえば、パンは俺同様に気づいているのでワクワクしつつも、またしても自分が知らないところでヒッソリと文化を発展させていた種の存在に複雑な顔を浮かべています。
ルーちゃんは良くわからないが楽しいぞと、鼻息荒く興奮しており、とても可愛らしく、フィーちゃんは先程泣きの追い10連をして、なんとか目当ての★4を引けたようでホッとした表情を浮かべています。いくら使ったのかはパンが気の毒なので聞かないでおきましょう。
で、ナギサちゃんはなんだか興奮していますが、その視線は俺やパンよりも下、ステージではなくそれを守護する警備スタッフ達に向けられています。
この集落の人達は、なんだか小柄な人が多く、ナギサちゃんがいっぱい居るように見えるのですが、姿だけではなくて、その口調や性格も何処と無く似ているような印象を受けますね。
そんな具合で自分と馬が合いそうな連中が武器を持ってずらりと並んでいるものですから、なんだかさっきから腕試しをしたくてウズウズしてるような感じなんですよねえ。何処の戦闘民族だよ……。
あ、カズは露出が多い女の子たちにジロジロ見られていて、なんだか良くわからない表情を浮かべていますね……。
「よし!客人達も揃ったようだ!ウチはララ族のオヤカタ、アイリ!行くよ客人!ララ族のみんな!歓迎の儀式だ!最後までついてきな!」
「「「うおおおおおおお!!!!!」」」
「ね、ねえユウ。サイリウムとか出したほうが良いのかしら……?」
「不本意ながら俺もそんな気がしてきちゃったが、やめておこう」
そしてアイリの後ろに4人控えていた従者たちが足を軽くトントンと踏み鳴らし、いよいよ儀式がはじまったのでありました……。
パン「一体何がはじまってしまうというの……」
ユウ「白々しい。さっきサイリウムがどうとか言ってただろ……」
パン「で、でもさ!ほんとに私達が思ってる通りの事になるとは……」
ユウ「あり得るが……今はそんなことよりも、もっと身近なところに目を向けてほしい」
パン「はあ?一体何を言ってるの?」
ユウ「我々の娘が……残念な方の娘が先程から必死にスマホをイジっているのにお気づきか」
パン「ッ!?」
フィー「くーっふっふっふ……この流れはもう100連もすればピックアップ★5も狙えるのでは」
パン「フィ、フィーちゃん!?」
フィー「げ、げえ!かーちん!後生だから!せめてもう一回だけ回させて!」
パン「フィーちゃんの言う1回は10連のことじゃないの!駄目よ!」
ユウ「君達、ライブが始まるのだからスマホの電源は落とすように」
パン「ライブって言い切った!?」




