第五〇四話 ユウ死す
というわけでしてね! お気軽日帰りツアー的なイベントが突如としてジャングルの旅!みたいな感じになってしまったわけですけれどもね!
どこぞの猫型ロボット的にシリアスサバイバル展開の敵のような事が出来ちまう存在が此方にはゴッロゴロしていますので、特に緊迫感も無く、楽しい楽しいキャンプのような雰囲気で夜を迎える準備をしているところです。
「おーい、パン。整地終わったから小屋出すぞー! そっちの用意はどうだー?」
「調理スペースなら出来たわよー! あ、ナギサちゃーんこっちきて御飯お願い」
「おうまかせとけ!ホームセンター!食材を出してくれ!」
「はいはい、今出しますよっと」
「のわー!投稿ボタン押したらエラー吐いた!神はしんだ!」
約1名サボって何かの投稿をしてる奴も居ますが、まあフィーちゃんはおいといて、ストレージ機能を始めとした様々な技能持ちが揃ってるもんだから無敵ですわ。
ジャングルさんには申し訳なかったけど、ちょちょいと周囲を整地させてもらいましてね。前に「はじまりの村」で使ってた小屋……いや、平屋をちゃちゃっと出しましてね。
あっという間に風呂付き一戸建て住宅の完成ですわ。排水は近くの川まで水路を引きましたし、水の浄化用にモルモルも送って貰ったんでバッチリ!さんきゅールーちゃん!
ん? ルーちゃんと連絡出来るならさっさと助けを呼んで帰れば良いだろって? ノンノン。その気になればパンさんの転移で帰れちまうんですよ。
そのことを知ってるのは俺とパン、フィーちゃんだけ。カズとナギサちゃんはそれをしらないわけだ。カズは兎も角として、ナギサちゃんはこの状況に非常にわっくわくしてましてね。
それに水を差すのもかわいそうって言うか、パンさんが同じくらいわっくわくしてるんで……なんつうか、頼んでも帰らねえだろうなって言うのがあります。
パンの場合は純粋にワクワクしてるんじゃなくて、何か起こるんじゃ無いかって言う打算的な意味合いがつえーけどな。
しかし魔術の力ってスゲーですね。こんなジャングルの奥地でも、家の中は煌々と明るいひかりが灯っていますし、各種家庭用魔導具もキッチリ動作します。
これが電気だったらもう、大変だ。クッソうるさくてクッソ重たい発電機をワンワンと稼働させないといけませんからねえ。
「……うっわあ……流石にこれは引きますわ。何普通の顔して家建ててんすか、ユウさん……」
「何言ってやがる。お前の大好きな異世界チートだぞ? 今時の転移者は家の一つや二つ収納出来ねえと務まらねえんだ」
「くそ!これだからガチの加護持ちは!」
「お前を召喚したのは実質俺だからな……まあなんだ、お前のチートは仲良しの俺の加護(物理)を得られるって事で一つ」
「助かってるけどあんまり嬉しくないから困る……」
照れやがってこの!
とかなんとかやってるうちに良い香りが漂って参りました。流石ナギサちゃん、手際が良いですね。あっという間に御飯の支度が出来ています。
俺も料理にはある程度の自信はありますけどね、やっぱり女の子に作って貰った方が美味しいでしょ? ゴリラでも結構可愛い顔をしていますし、いやあナギサちゃんの手料理楽しみ……ふごっが!
「なんだか腹減って仕方が無いってツラしてたからね、ダイレクトにぶちこんでやったが、どうだい?あたいの料理は美味いだろう?」
口蓋を貫くのでは無かろうかという凄まじい勢いの衝撃!なんとかそれを耐えた後、追うようにやってくる激しい熱!口の中の粘膜という粘膜を蒸発させるかのように熱されたそれは芋!灼いた芋!
それはそのまま喉に飛び込み、喉の粘膜を灼きながら途中でピタリと動きを止め……っ!
「ぐほごがっはっごっげっが!!!」
「あ、かーちん。ゆーちんが別の世界に転生しそうになってるよ」
「え?あ!ちょ!ユウ!ダメよ!こら!エクストラヒール!……ちぃ!ラ・リンカネーション!」
……ああ、死んだ婆ちゃんが遠ざかっていく……もう少し婆ちゃんとお話がしたかった……な……
「かはっ!?」
「あんた何ナチュラルに死にそうになってるのよ!」
「死にそうになったというか、殺されかけたというか……いやあ、助かったぜ」
「ごめんよユウさん!まさかユウさんが芋ごときに負けちまうなんて思わなかったんだよ!」
「ああ、いいよいいよ。芋、美味かったぜ!」
……いやいやいや。おかしいでしょ。俺って確か不死属性つけられてるんだよね? それを含めた色々なアレのせいでもう種族が神族になってるとかなんとか言ってたよね?
ハッ!
世の中には神殺しなる称号を得るものも居るという。一体どういったスキルを持ってそれを成し遂げるのかはわからないが、ナギサちゃんにはそんな属性があるのかもしれない……。
まあ、そんな伏線が生きることは今後ありませんけどね。
「さーて!飯だ飯!うひょー!カレーとバーベキューかよ!よくばりセットじゃねえか!」
「……あんた、復活が早すぎるのよね……」
「ユウさんの切り替えの速さは見習いたいけど見習っちゃだめな気がする!」
わいわいと食を堪能する我々。しかし、この時の俺達はまだ気付いていなかった。
パンが期待しているトラブルの種がジワリジワリと忍び寄っていた事に……!
パン「気付いていなかったーって気付いてるんじゃ無いのよ」
ユウ「しー!しー!地の文!じーのぶーん!
パン「つうか、あたしも気付いてましたし? 何か居るわよね?」
ユウ「だからそう言う事言うなよ!次回までのお楽しみだろうがよ!」
パン「しかし、なんであんた一瞬死んじゃったんだろうね?」
ユウ「ああ、あれやっぱ一瞬死んじゃったんだ……婆ちゃんと会ったよ、俺」
パン「少なくともこの世界ではあんたは死ねない筈なんだけど……ナギサちゃんはもしや……」
ユウ「ああ、それもう俺が言ったからいいよ。後その伏線は回収しねえ!」
パン「伏線とか言わないの!」
ユウ「つうか、俺が死ねるって事はお前もやばいんやで?」
パン「うっ……ナギサちゃん……ナギサさんには最大限の尊敬を……」
ユウ「それでいいのかよ神様よお……」




