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第四百九十六話 カズクン イライラのちニコニコ

「な、なななな!なな!」


「なななな、ななななうるせえな。なんだ? どこぞのマスコットキャラか?」


「なー!そうじゃなくって!もしかして、収穫中はずっとその袋にぽいぽいと……?」


「当たり前だろ? このクソ暑い中馬鹿みたいに箱詰めして運んでーってやってられるかってんだ」


「くそがーーーー!!!!」


 ヘラヘラと涼しい顔でそんな事を言われてしまって非常に頭にきた。こっちは汗水たらして必死に頑張ったってのに、かたやアイテムボックス的な布袋にホイホイと入れるだけのイージープレイ!


 そりゃ早く終わるよな!力仕事がほぼ無いんだからさ!


「思ったよりめっちゃキレてらっしゃる」


「そりゃそうっすよ!ユーサンはいいっすよね!女神様?からチート貰ってさ、色んなスキル貰ったり、アイテムボックス使えるようにしてもらったり!ずるいっすよ!ずるいっすよ!俺なんて多分お情けで言語スキル貰ったくらいじゃないっすか!」


「それはまあ……そうなんだけどさあ……なあ、カズ。お前ひとつ勘違いしてるっていうか、気づいてないことが有るんだけど、わかるかい」


 こっちは絶賛怒りのカズロードだってのに、突然クイズの時間にされてもしらねーってーの!


 しらねーけど、ここで意地を張ってそれに答えないのは何か損をするような予感がしたので、ここは素直に答えることにした。


「わかんねえっす!」


 素直に答えた所で同じだった……。この手の質問苦手なんだよな。昔かーちゃんに説教されてるときさ、『あんた、なにやったか胸に手を当てて考えなさい』とか言われてさあ。


 暫く胸に手を当ててたんだけど『どう? あんたの心の声、聞こえた?』とか言うの。そんなもん聞こえるわけねーだろ?だからしょうがなく『うん、ドキドキ……ドキドキ……って』って答えたらかーちゃん、膝から崩れ落ちてさあ……。


 その話をユウさんにしたらくっそ笑ってたな……。


 それはいいとして。


 俺が勘違いしてるって言われてもわかんねーものはわかんねえ。だからユーサンにさっさと答えを言ってもらおうと思ってるんだけど……。


「本当に?本当にわかんねえのか? お前、さっき俺に文句言ってただろ? その中に答えがあったんだけどなあ」


 なんて言って、意地でも俺に答えさせようとしてくる。 畜生、何だってんだ!


 さっきの俺のセリフ……なんて言ったっけ? 作者の気持ちを考えなさいとかしらねーよだっけ? ちゃうわ。それは常々思ってることだわ。


 うーん……


「女神様からチートを貰ってずるい! でしたっけ?」


「そうそう! 俺が何のチートを貰って使ってるか言ってみろ」


「ああ、そういう。そりゃ何がずるいってアイテムボックスですよ」


「イグザクトリィ!」


「ええ……あっ! そうか、ユーサンは【アイテムボックス】というスキルを持ってるんッスね? だからつまり……」


「つまり……?」


「その布袋はフェイク! アイテムボックスというスキルを持っていることが国王やクソ貴族にバレたら面倒な事になるから布袋を収納の魔導具として使って見せてるってわけですね!」


 決まったな。 ここ数年で一番の名推理!決まったね! どうだ、俺の推理にユーサンも口をあんぐり開けて驚いてやがるぜ!


「いやあ、お前莫迦だなー」


「あれえ!?」


「お前ね、学園で何を学んだのかね? この世界にはまだ国というものは無いのだよ? 王様なんて居ねえし、貴族なんて居ないの。俺より強いやつも居ねえし、俺より権力が有るやつも居ねえの。俺がスキルを見せびらかした所で誰も凄さに気づかねえの。わかる?」


「えっ? えっ? ええ……?」


「なんかもう面倒くさくなってきたからネタばらしするとだな、これは本物の魔導具だよ。つっても、俺のスキルみたいに無限にはいるわけじゃねえし、入れられる物の大きさにも制限がある」


 ちょ、ちょっとまって。ユーサンより権力がある人が居ない? つまりユーサンがこの世界の支配者……? なんか凄まじいことをサラッと言ってるのに、それはどうでもいいとばかりに、魔導具の自慢を始めたもんだから頭にくる。


 一体この人は俺に何を言いたいんだ! 俺は馬鹿だからはっきり言ってもらわんとわからんぞ!かなしいけれど!


「つまりだ、俺やティーラはこの袋の上位互換とも言えるスキルを持っているわけで、わざわざこの袋を使う意味なんて無いわけだ」


「ええと……? おっしゃる意味が? わからないのですがぁ!?」


 ただただ謎の自慢をされているような気がしてイライラしてきた!ホントなんなの!何を言いたいの!


「お父さん!もー、意地悪しないの!ホームさん、何がなんだかわからなくて困ってるよ?」


「はっはっは、そうだな。悪かったな、ホームセンター。これはな、お前にやろうと思って作ったんだよ」


「……へ?」


「厳密に言えば、俺の……そ、その、つ、つつつ、妻がな? サクッと作ったんだけどよ」


「えっと、その、これはこれで何故こうなったというか、またしてもおっしゃる意味が?」


「お前はほんとに馬鹿だな……ああいや、怒るなって。いいか、まずひとつお前にはっきりさせておきたいのは、この畑の所有権はお前に有るってことだ」


「ええ、なんかそんなメチャクチャな話を聞いた気がしますけれども……」


「で、今回だけ特別にティーラの魔術を使って1日で収穫可能な状態にしたわけだが、今回収穫したもの全てがお前に所有権が有る。っていうか、置かれても困るから全部持って帰ってほしいわけだ」


「……なんか読めてきましたわ」


「で、流石に普通の手段では無理だよなと。ならばアイテムボックスを作ってそれに入れさせたらどうだと。まあ、そんなわけでアイテムボックスはおまけだ。とっととジャモを袋に入れちまえ!」


「俺的には野菜がオマケなんですけどおおおおおお!」


 なんだかわからないが、よくわからない流れでアイテムボックスを手に入れることになってしまった……。


 中には既に野菜がたっぷりはいっているため、もう半分も入れれば制限にかかるぞと言われましたけれどねえ……あの山程あった野菜と同じだけまだ入るってのは凄まじいですし、内部で劣化しないというお約束の仕様……これはゴリラが喜ぶだろうなあ。

 

パン「あんたねえ、もっと素直に渡せないの? だらだらだらだら見てる方は辛かったわよ」

ユウ「いやあ、なんかこう、カズを見ると弄りたくなっちまって……へへ」

ブー「それにしても……ふふ、ユウくんったら変な所で噛んでたわね?」

ユウ「えっ?」

ブー「えっとお……『俺の……そ、その、つ、つつつ、妻がな? 』だっけ?」

ユウ「な、なななな!?」

パン「ちょ、ば、ばばば馬鹿!なんでそのネタを引っ張り出すのよ!」

ブー「えー?」

ユウ「そうだぞ!説明がめんどくせえから便宜上妻として言うしか無いだけなんだぞ!」

パン「そうよそうよ!へへーんだ!そんなネタで弄られたって平気だもんねーだ!」

ブー「ふふ、なんだか最近あなた達を見ているとすっかり夫婦が板についてきたわよねえ」

ユウ「なっ!?」

ブー「子供がたくさんいるのに、初々しい新婚さんみたいで……お姉ちゃん焼けちゃうなあ」

パン「グハッ……そ、そんなことは……」

ユウ「な、なあ? な、ななないよなあ?」

ブー(にやにや)

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