第四百七十八話 カズくんとユーサン
いい音で叩かれた後頭部……よりもその勢いでテーブルに打ち付けたオデコのほうが痛い……。
ていうか、問題はサスケさんだよ。何いきなり現れてんだよ!何いきなりツッコミしてんだよ!俺……何か悪いことしちゃいました!?
「その顔は……なんで叩かれたかわかんねーって顔だな。ああ、わかんねーだろうな!お前はサスケに叩かれる様なことをしていないかも知れん。だがな、お前はこの俺に叩かれる様な事をしたんだ!
ククク……俺はお前の秘密を知っているぞ……泣いて謝るまで……恥ずかしい秘密を暴露してやろう……」
なっ……何を言っているかわかんねえ。わかんねえが、理不尽にめちゃくちゃキレてるってことだけはわかる。わかる、わかるが……俺の秘密ってなんだ……サスケさんが知る……俺の恥ずかしい秘密とは……。
こっちの世界に来てからそこまで恥ずかしい事をしたとは思っていないが、忘れてるだけかもしれないから非常に怖い。何が怖いって、今ここにはナギサさんが居るから!
ナギサさんにだけは……俺の恥ずかしい秘密を……バラされるわけには――!
「クーハハハ!では、カズの恥ずかしい秘密その1!こいつな、実は……」
あー!やめてくれー!やめろおおおおおおお!!!
「つーかさ、なんでそんな仮面つけてるんだ?大家さんってことは、あんたユウさんだよね?ユウさんがそんな仮面をつけてるって話は聞いたこと無いんだけどさ」
「うわ、ちょ!こ、こらあ!」
……えっ!?
「あたい達が住んでいる辺りは、ユウさんが冒険者や新規住人向けにアパートを建てたって話は有名だし、皆大家さんがユウさんだってしってるんだよ。ま、実際にユウさんとあったことが有るやつはあんまり居ないけどね?」
サスケさんが……ユーサンで……ユーサンが……サスケさんで……?
「え、いや、そ、そそそそ、その、な、ななななんだあ?」
うっわ、目に見えるレベルでめっちゃ動揺してる。これは何をどう誤魔化そうと、サスケさんの正体がユーサンだってことになるな。
「そっか、サスケさん……いや、ユーサンは正体を偽って俺を……俺を護ってくれてたんですね。不慣れで何もわからない俺が困らないように、どーきょーのよしみ?ってやつで俺に手助けをしてくれてたんですね……」
◆◆ユウ◆◆
うっわ、やっべ、なに? 何この、この始まって以来の大ピンチは。え?俺正体バレちゃったの?俺のゲームはここで終わりなの? 俺の、俺のカズいじりは……ここで終わっちゃうの?
つうか、なんで俺が大家さんだって知れ渡ってるわけ? こういうケースを想定してってわけじゃあなかったけど、特に名乗る必要もないから未公開で大家さんをしてたんだけど……。
「あ、その顔『どうして俺が大家だって知ってるんだ』って顔だね? 当たり前じゃないか。賃貸契約する際に大家として名前や連絡先が書いてるあるんだから……」
「グハァ……」
そ、その発想はなかった……!マジでなかった……。そういやいつだったか、リットちゃんに言われて適当に空返事してた気がするけど……ううん、あんまり記憶がハッキリしてないな。
えっと【検索】っと……ああ、この辺りか。【再生】
『来週にはアパートが何棟か建つけど、大家さんの連絡先ってどうすれば良いのかな?』
『うん?おやさい? 今の気分はピーマンかなあ』
『もー!ユウさんしゃっきりして!徹夜続きだったのはわかるけど、今大事なお話してるんだから!』
『ああ、ごめんごめん……割と限界が近いみたいで……リットちゃんもう文字とか完璧だよね? あとの処理全部任せるわ……まじごめん……今度新作スイーツを……上げるから……スヤァ』
『ユウさん!ユウさん!?ユウさ……寝てる……こんな所で寝るとか一体どんなに酷い仕事をしてきたの……』
……ああ……突如として攫われてリプラシルファイターダッシュとやらを開発させられた後のお話か……普段の俺であれば適当に『んー、キンタが大家でいいや。街長なんだし』って丸投げしてたはずなのに、恐るべしは睡眠不足か。
ていうか、今はそんな場合じゃねえ。カズにサスケ=ユウさんってバレてしまった。
どうしよう? どう誤魔化せばいい? 寧ろ誤魔化しきれるのか?いくらアレなカズだとは言え、流石に名前が出てしまっている以上、どうしようもないだろうな。
まして、コイツは先にクロベエと会ってるんだ。もうこれは覚悟を決めて……バレたらバレたなりにいじる他ないか……。
「あーいやその、あのな? カズさあ――」
「いや、もういいっす」
「え?」
「色々とスッキリしました。冷静に考えるとサスケさんがサポートに来るタイミング、虫がよすぎるんですよね。ラノベで言うところのご都合主義ってやつ?」
「お、おう……。そうだな。確かに多少仕込んだ部分はあったかもしれん」
「ですよね。それに感謝することはあっても怒ることは微塵もありませんよ。頭を上げて下さいよ、ユーサン」
くっ……カズのくせに!何という穏やかで慈しみに満ちた顔をしてやがるんだ! ああ、もういいや。全部バラして後はカズの気持ちに委ねてしまえ。 カズが帰ると言えば帰すし、暫く居ると言えば置いてやるし。それが俺の償いになるのなら、俺は精一杯のサポートを――
「いやでも、驚きましたね。あ、一応改めますかね。はじめまして、俺はホームガーディアンのカズ、いやあ、ユーサンのご活躍はアチコチで聞いてまして、何時かお話出来たらなあって思ってたんです」
「うん?」
「アチラコチラを開拓したその手腕、数々の開発品を生み出す素晴らしい頭脳!俺の知り合いにもユウさんってのが居るんですけどね、いやあ、響きは同じでも中身が全く違うっていうか……あの人にゃあユーサンみたいな活躍はできませんよ。いいとこコスプレ文化の……フグベラァッ!」
……良かった……こいつやっぱアホや。俺が俺だってひとっつも気づいていなかったんや……。
くっ……しかし『隠れて悪口を言ったつもりが言った相手がご本人様でした!』って状況は非常に美味しいんだけどな……。ハリセンがいい角度で入っていい具合に昏倒しているようだし、今のうちにナギサちゃんに賄賂をやって根回ししておくとするか……。
パン「うひー!バレたと思った!バレたと思ったあ!」
ブー「ね? ユウくんあっちに送って正解だったでしょう?」
パン「全くだわ。こうまで面白い展開になるなんてって、アンタがやったんかいぃ!」
ブー「うふふ。ユウくんもあっち行きたがってたし、お姉ちゃん頑張っちゃった♥」
パン「頑張っちゃったじゃないし、お姉ちゃんじゃないし……まあ結果面白いから良いけど」
ブー「さあて、ここからどう転がるか楽しみねえ」
パン「いやあ……多分ピークはもう過ぎちゃったと思うなあ。彼処でガチバレしてたらもっと面白くなったんだろうけどね」
ブー「うーん……じゃ、もっかいやりなお……」
パン「やりなおさないから!面白かったけど心臓バクバクだったんだから!」
ブー「えー?お姉ちゃんつまらないわあ」
パン「っていうか、いい機会だからぶっちゃけるけど、あんた……最初からそんなキャラだったっけ……」
ブー「ハーレムでもないのに女の子沢山いるでしょ?お姉ちゃんキャラという設定を付けないと埋もれちゃうかなあって……」
パン「メタい発言ヤメロぉ!」




