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第四百七十六話 カズ氏 バスの旅(再)

ナギサさんのクレープを大層気に入ったレンゲちゃん。


「頼むのじゃ!ナギサ!この村に引越して店をだしてくれぬか!」


 なんて必死にお願いをしてたんだけど、


「中々魅力的だけどね、あたいはまだまだアチコチ見て回りたいのさ。各地を巡って、魅力的な食材と出会って、新たなメニューを考えなきゃいけないのさ」


 と、あっさりと断られ、がっくりと肩を落としていた。それでも、帰りにまた寄ることを告げると渋々納得し『次は口説き落とすのじゃ!』なんて気合を入れてて可愛かったな。


 というわけで、俺達はレンゲちゃんとナベゾコ村に別れを告げて再びバスの旅だ。


 今回は用もないのでリューツー村では一泊をせず、そのまま次の村を目指すこととなった……んだけど、リューツー村で乗り換える際にナギサさんから言われた一言が俺を震え上がらせた。


「リューツー村と次のコハン村との間にはまだ宿場町が出来てないからね。途中、何回か休憩所に止まるけど、今日はバスの中で寝ることになるから覚悟しておきな」


 深夜バス……こちらの世界にも生まれてしまったか……。


 ユウさんと二人で薄い本のお祭り会場に向かう際、金が無い俺を気遣ってユウさんが選択した移動方法がそれだった。新幹線の1/3程度の旅費で済むので、正直めちゃくちゃ助かったんだけど、アレは地獄だった。


 行ったのが冬だったもんで、窓辺はなんか妙に冷えるわ、誰か弁当食ってるのか夜中にうまそうな匂いがしてくるわ、後ろの席の奴がシャカシャカ音漏れさせまくっとるわ、前の席のおっさんは無言でめっちゃ倒してくるわ……!


 そしてトドメが快適とは言えないシートだ。


 座った感触的にはそれほど硬いとは思わなかったんだけど、寝るとなれば別ね。寝たり起きたりのトータル4時間という最悪の睡眠時間と合わさって、アチコチいてえわ、頭はボーッとするわでひどかった。


 そんな感じなので、俺も結構覚悟はしてたんだけど……。


「うわ何だこのバス、めっちゃ快適なんだけど……」


 これまで乗ってきたこの世界のバスと比べ、一回り大きな車体のこいつはシートもゆったりとしたものが採用されていて、席の配置も互い違いっていうのかな?上手く言えないけれど、兎に角席を倒しても後ろの乗客にストレスが掛からないようになってたんだ。


 流石にフルフラットというわけには行かなかったけれど、安眠するには十分な角度まで倒れるわ、背中痛くねえわ、何より揺れが少ないし、いつもはニャアニャアうるさいエンジン音も控えめ!


 これは素晴らしい。


「いやほんとすげーなこれ。噂には聞いてたんだよ。宿場町が出来るまでの間、コハン村までの旅路で困らないようにってユウさんが新型のバスを作ったってな。

 ただ単に夜も休まず走れる仕組みがあるのだろうと思ってたが、まさか乗客にも優しい作りになってるなんて……すげーよなー。あたい、これに住めるわ」


 同意ですわ。


 しかしホントすげーなユーサン。この人が日本人であるというのは俺の中ではもう確定しているのだけれども、様々な発明品をもたらしている辺り、日本ではかなり有能な開発者かなにかだったのではなかろうか。


 くるま屋さんとか、後なんだ、わかんねーけどど、メカを作るような……博士かなんかだったんじゃないかな? モノづくりが好きな人は本職以外のジャンルも勉強するって聞くし、趣味では別方向のジャンルに燃えるとも聞くし。


 同じユーサンでもさ、もしユウさんがこっち来てたらこうはならねえよな。いいとこ薄い本の文化を広めてお祭りを開催するとかそんくらいもんじゃないかな?


 って、こんな事言ってるのバレたら怒られるな はは。


 お昼過ぎに発車したこのバスは、だいたい3時間おきに休憩所で停止してくれるんだけど、そこにはトイレがある他、ちょっとした売店まであって凄く俺を喜ばせてくれた。


 冷たい飲み物やお菓子が買えるんだぜ? 旅の退屈を紛らわすのには何よりのもんだよ。

 降りて身体を動かせるのも最高だよな。いくらシートが快適だからといって座りっぱなしじゃ肩がこるし、腰も痛くなってくる。


 ナギサさんもやっぱ座りっぱなしは疲れるようで、休憩所に止まる度に降りて身体を休めてた。

 

 ……ま、そうでもしないと快適なバスでも辛いんだよ。


 車内にはトイレが有るし、ひざ掛けだって有る。売店で買ったおやつや飲み物が有るし、ナギサさんが隣に座っているから話し相手にも事欠かない。


 でもこれ凄いぞ。何が凄いって移動時間だよ。大体13時頃出発してさ、到着が翌朝5時だよ?なんでこんな時間がかかるって、バスの移動速度が遅いんだよ!


 見た目だけは高速バスみたいなのにさ、おっせえんだよ。流石に自転車よりは早いけど、俺が知ってる高速バスより大分遅いと思う。


 それに加えて休憩に止まる回数が多いし、19時前後に止まった時は夕食を兼ねて45分もあったからさ、めっちゃ時間が掛かってしまうってわけらしいんだけど……。


 まあ、ご飯食べてバスに乗って少し揺られたらあっと言う間に眠くなって、起きたら目的地付近って感じだったんだけどね……。

ユウ「離せ!離してくれパンよ!計画は終わりだ!俺は!あいつを!ぶん殴る!」

パン「だめよ!貴重な外部からのお客さんよ?これまで作った世界を客観的に見てもらえるチャンスなの!」

ユウ「そうは言うがな!あいつ……よりによって俺を薄い本の伝道師扱いしやがったんだぞ!」

パン(めっちゃわらってる)

ユウ「畜生!やってやる!俺は!あいつを!ぶん殴る!ぬおっ!?」

パン「げらげらげら……あ!ちょ、ユウ!こら!待って、ああっ!……転移……しただと?」

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