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第四百七十一話 カズ君おだんごをたべる

 ナベゾコ村……、きっと鍋を主産業とするだけで、他の街や村と変わらない感じの場所だろうと思って居たのだが、どうも違うようだ……。


 日本の田舎……いや、昔話で見た景色そのまんまと言った具合の素朴な景色が広がっていて、俺が知っている日本とは全然違うんだけれども、何処か懐かしさを感じる温かみがある場所だ。


 やばいな。夏休みにばあちゃんちに来た俺くん!って感じ! ばーちゃんちは地元より都会にあるし、景色はどう見ても春真っ盛りだけどな。


 ほんわかとしながらナギサさんと道を行く。舗装はされていない土の道路だけれども、キチンと手入れがされていて歩きやすい。


 道ばたを見れば、タンポポのような植物が咲き誇っていて、とっても気分がやすらいでいく。ああ、ナギサさんはこの景色を俺に見せたかったのか。良いところだな。


 俺達の他にも観光に訪れたらしい人達が楽しげに道を歩いている。


 歩きながらゆっくりと景色を眺めているが、桜や藁葺き屋根以外にも田んぼがあるのが目に入り、ますます古き良き日本の田舎感を感じてしまう。


 田畑で作業をしている人達の格好も着物のような物を着ていたりしてさ、マジでここなんなの?隠れ里なのって感じ。


「お、ホームセンター。見ろよ、茶屋があるぞ。茶屋ってのはうちらの街で言うカフェ見たいなとこらしい。調査がてら少し寄っていこうぜ」


 俺の返事を待たず、茶屋に駆け込むナギサさん。しょうが無い人だな……。


 店の前にベンチがあって、そこでも食べられるようだ。既にそこに座っているナギサさんが店員さんに何かオーダーをしているようで、俺に早く来いと手招きをする。


「ほら、早くしろ。あたいと同じのにしちゃうぞ」


「ふふ、ごゆっくりえらんで下さいねえ。どのお団子もお勧めですよお」


 ほっかむりをした女性が鳥が囀るような綺麗な声で言う。背中越しなので顔は見えないが、これはきっと美人さんだ。俺は声優に詳しいんだ、声で大体の顔つきが分かる程度の能力者なんだぜ。


 壁に貼られているメニューを見れば『粒餡、こし餡、ゴマ、クルミ、醤油』と普通に書かれていて、なんだかちょっとクラクラとしたけれど、この世界における日本侵蝕度は今更だし、この土地もなんだかわけがわからん方向で日本に侵蝕されているので気にしないことにしておく。


「お姉さん、俺には醤油味を貰おうか。それとそうだな……ここは団子に合わせて緑茶にしとこうか」


 よく見たら飲み物は緑茶しかないようで、通ぶったのがちょっと恥ずかしかったけれどお姉さんはそんな事を気にせず、優しく答えてくれた。


「ふふ、お醤油と緑茶ですねえ。では、直ぐにお持ちしますので、少々お待ちになって下さいねえ」


 くるりと此方を向いて、可憐な笑顔を向けたお姉さんは……単眼……、それも大きな目を額に持っていた。


 びっくりして思わず叫びそうになったけれど、ここは異世界だ。そう言う種族がいる作品も多数有る。人外扱いをしてしまっては失礼に当たることだろう。


 なのでグッとこらえたのだが、お姉さんが去った後冷静に顔を思い出してみると……意外といける感じだった。いきなり見たからびっくりしたけど……いける、いけるわ!


 ううん、そうか。周囲をぐるりと壁で囲まれたこの村は、単眼族が隠れ住む隠れ里なんだろうな。そんで、そこにやって来たのが噂のユーサン。隠れ里って言う属性に目を付けたユーサンは軽いノリでこんな具合に発展させたのだろう。


 ううむ、これはおそらく正解だ。俺もこの世界に馴染んできたと言わざる得ないな。


 間もなく席まで届けられた団子はとても美味しくて、ナギサさんも嬉しそうに五皿ほどおかわりをしていた。


「ふう、食った食った。美味かったよ、ごちそうさん」


「はい、ありがとうございますう。お代は銀ドングリ1個と3リパンですねえ」


「ドングリ……あー、そうか両替が要るんだったか」


「いえー、リパンも普通に使えますので、大丈夫ですよう。13リパンですねえ」


 ドングリが通貨……? なんだか理解しがたい会話が聞えたが、支払いは問題が無いようなので助かった。っていうか、ナギサさんが俺の分も払ってしまってちょっと申し訳ない。


 さて、お金も払ったし行こうかと思ったら、可愛らしい声が聞えた。


「おう、お亮ちゃん。頼んどいたお団子は出来取るかのう」


「あら、村長さん。わざわざ来て下さってどうもう。出来てますよう、はいどうぞ」


「うむ、うむ。ありがとうなのじゃ。ではお代じゃ」


「はいい、銀ドングリ3つ、確かに-」


 よ、よよよよ幼女が……フサフサの尻尾を生やした……ろろろろろ、ロリが……ちっちゃな、ちっちゃなお手々で……ドングリを……3つ店員さんに渡して……お会計を……!ユーサン!あんた、これを見越してドングリなんて妙な物を通貨にしたのか?


 やべえ、尊い!尊いぜ!くそう、俺はユーサンという存在を勘違いしていたのかもしれねえ。ユーサン!あんた、こっち側の人間なんだな!俺は……俺は……!


「おろ、そこにおるのはもしやホームセンターかのう?」


 ユーサンに対するリスペクトの炎を燃やしていると、ロリが俺に声をかけてきた。し、知らんぞ!お巡りさん!俺が声をかけたんじゃ無い、ろ、ロリが俺に声をかけたんじゃ!


「む? なんじゃ?わしを忘れてしまったのかの? ああ、すまぬ。フードで顔がみえなんだか。ほれ!」


「ああっ!その!愛らしいお顔……レンゲちゃんじゃないか!」


 意外なところで意外な出逢いがあるものだ。ちょっと不思議なこの村で、俺は不思議な不思議な縁を感じた。

ユウ「はぁああ?俺じゃねえし!亀だし!亀がやったことだし!」

パン「ユウさんが知らない所でユーサンが別の存在として神格化されていく……!」

ユウ「うるせえ!良い笑顔で言うな!」

パン「ふふ、でも言われて見れば亀がちっちゃなお手々でドングリ持ってお買い物は可愛いわね」

ユウ「あれで中身が亀じゃ無かったらな!つか、俺はそんな目的で文化を授けたりしねえっつの」

パン「そう言われて見れば……あんまりエッチなこととかフェチ的な事を考えないわね?」

ユウ「ふふん。俺は紳士だからな」

パン「世間一般的にそれをヘタレと言います」

ユウ「くそが!」

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