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第四百六十七話 カズの手も借りたい

 酔ったナギサさん、肩を貸し共に泊まるホテルに向かう俺……男女二人何もないわけがなく……。


 いや、何もなかった!


 悲しいほど何もなかった。俺がヘタレだとか、そういう話しじゃなくてなーんもなかった。


 そもそもナギサさんが手続きをしていた部屋は一人部屋が2つ!別室!別室です!


 だから俺には『寝る前と起きた後飲んで下さいね』ってスポドリが入った袋を渡すくらいしか出来なかったんだ……!


 まあ、翌朝スッキリとした顔をしたナギサさんから


『夕べはありがとな。お陰で今日はスッキリ起きられたよ』


 と、はにかみながらお礼を言われたのは悪くはなかったけどさ!くっそ、手を出しちゃう系ハーレム主人公達は一体どうやって大人の階段登ってるんですかね!


 ……何時かユウさんに聞いてみよう。ユウさん、あれで結構社交性ありそうだからな。まさかあの年で未経験という事も無いだろうし、次召喚されたとき困らないように遠回しに聞くのはありだな。


 で、いつかユウさんと食べた『お祭り会場付近の朝』を思い出す程に日本のビジホ感凄まじい朝食バイキングに舌鼓を打ち、今日はいよいよこの街の探検だ!


 と、思ってたんだけど……。


「あ?観光?ああー……わりい。先に言っとけば良かったな。果物はちゃんと扱わないと直ぐに傷んじゃうからさあ、今日はもう帰るんだよ。今度埋め合わせするからさ!な!」


 ……はい。


 というわけで、今俺は『はじまりの街』の懐かしき我が家に帰ってきています。


 すげーよねバス。俺達が結構時間かけて移動した距離をさ、1時間かからんうちについちゃったの。うん、距離じゃねえな道だな。


 誰も入らねえような鬱蒼とした森を移動するのと、舗装された道を移動するのを比べちゃいけない。バスじゃなくても倍以上早く移動出来るんじゃねえかな。


 ダンジョンを出てちょっと市場をひやかして。ついでに昼食を食べて移動したらもうおうち。


 ダンジョンで一泊したわけだからさ、充実した時間だったとは言えるけれども、もう少し滞在したかったなと言う気持ちはあるよね。


 なんて、部屋でゴロゴロしながら一人ぼやいていると、壁を凄い勢いで叩く音が聞える。


 ゴッゴゴゴゴゴゴッゴッゴン!ゴゴゴゴゴゴゴンゴッッゴッゴゴン!!!


「わー!ナギサさん!やめて!壁死んじゃう!壁が死ぬと俺も死んじゃうから!」


 ゴッ!


「返事代わりに叩かないで!なんすか?今行きますから!もうー!」


 慌てて部屋を飛び出し、ナギサさんの部屋の戸をノックしようとすると、ガチャリと開いてその手が空を切る。勘が良すぎるよ!


「きたかホームセンター!まあ入れ!いいから入れ!おら!さっさと入れ!」


「ひええい!」


 ナギサさんに襟を捕まれ、無理やり部屋に引きずり込まれる。なんつうか、逆の立場ならおまわりさん案件なのでは?


 ……というか、というかですよ? 俺さ、女の子のお部屋に入ったの初めてかもしれない……。


 凄いなあ、ナギサさん、ゴリラだけど女の子なんだな。噂通り甘い匂いがするよ、このお部屋。


 ……どこかで嗅いだ事がある匂いだな?


 バナナだこれ。


「ナギサさん?いくらゴリラだからってバナナの芳香剤はないんじゃないっすかね」


「ゴリラが何かは知らねえが、取り敢えず……おら!」


 洒落にならねえ一撃が俺の尻を襲う!ありがとうございます!じゃなくて、折れるから!


「芳香剤じゃねえよ。さっき届いたんだよ、フルーツがよ」


 見れば見慣れた木箱が置いてありまして、中には様々なフルーツ……いや、半分以上をバナナが占めていました。


「あー、これ屋台で使うやつなんですよね」


「そうだな。ラポルとピトラはパイにしようと思うんだけどさ、バナナをどうするか悩んでるんだよ。つか、彼奴等なんでこんなにバナナばっかり寄越したんだか……」


 ゴリラだからじゃないっすかね?


「……なんかホームセンターを蹴れと神様が言ったような……」


「何いきなり物騒なこと言ってるんですか!」


 こええ!ナギサさんの勘やべえ!うかつなこと考えてたら今度こそ骨持ってかれる!


「あー、もしかしてバナナの扱いに困って俺を呼んだんですか?」


「ああ、そうさ。お前さ、あちこち回ってきたみたいじゃん? だったら変わった料理食ってるんじゃないかなって」


 あー、言われてみればあちこち回ったもんな。なるほど、それで俺からヒントが得られるんじゃないかと思ったわけかあ。


 と、言われてもな。異世界人とは言え、ただのニートだしなあ。パテシエやってたり、お菓子作りが趣味だっていうわけじゃねえし、そもそもクッキーがなんで固まってるのか理解できんし。


 ホットケーキと材料一緒じゃん?なんであんなに固くなるのさ。って、ナギサさんの期待に満ちた目が……。


 わかんないっすね!で済ませることも出来るが、ここはなんとしてでも俺の株を上げて、ナギサさんハーレムメンバー化を進めるべきであると神様が言っている。


 バナナ……バナナ……バナナのデザート……むっ!これだ!


 昨日思いがけず出会ったコンビニ。それがヒントとなり、俺はとある異世界スイーツを思いついた。

ユウ「グワー!グワー!グワー!」

パン「ほれ!ほれほれ!カズくんが!ユウさんから!大人の階段について!聞きたいってよ!」

ユウ「グワー!グワー!キコエナーイ!グワー!」

パン「まさかあの年で未経験ということもあるまい!だって!ほらー!」

ユウ「グワー!………」

パン「ほれほれー!……ユウ?ユウ!?ユ……し、しんでる……」

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