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閑話 魔石の使い道


「そう言えばさ、以前に魔石の扱いについてちょっと聞いたことがあるけどもう少し魔石について詳しく教えてくれないかな」


「ん?どうしたの突然」


「俺はスマホを充電したり、お湯を沸かしたり、今度は冷蔵庫だーって魔石に依存しまくってるけど、世の中の人はどうなのかな?そもそも適当に使ってるけどどういうものなのかな?って気になったんだよ」


「そうねー、まず魔石だけど魔力を蓄える器官である、って話は前にしたわよね」


「ああ、そのせいで動物がいねえ酷い世界だって言うことを知ることとなった」


「ぐっ……、まあいいわ。それで抜き取られた魔石は使い切るとどうなるか…、それは今まで使ってきたから理解してるわよね?」


「え?あれっ?そう言えばどうしてたんだっけ?」


「あれ?じゃないわよ。ホイホイ適当に新しいの使ってるから気づいてなかったのね?使い切って魔力が枯渇した魔石は透明度が無くなり黒い鉱石のようなものに変わるの」


「そういえば充電終わった後黒くなってたね。石だからいいかーってそこらに捨ててた気がするけど、まずかったかな…?」


「やっぱり大して気にしてなかったのね。まあ問題は無いわ。通常魔力を失った魔石は10日もすれば形を保てなくなり、世界に還るの。

 それには微量の魔素が含まれていて、大地や水に降り注ぎ、巡り巡って生物、つまり人間や魔物の魔力の糧となるわけ」


「へえ、ちゃんとしてんな意外とさ」


「意外は余計よ。でもね、崩壊する前の魔石であれば"充電"して再利用することも出来るわよ」


「モバイルバッテリーみたいだな」


「まあ、そんな感じね。冷蔵庫なんかだと大型の魔石が必要だけど、あんなのホイホイ集めるの大変じゃ無い?だから枯渇しないよう、毎日コツコツ継ぎ足していけばずっと使えるって訳よ」


「なるほどなあ、でもそんなに便利なのにランプくらいにしか使われてないんだよね?自分の魔力だってそれを生かした魔法ってのもないみたいだしさ」


「確かにこの世界では照明代わりに使われているくらいね。魔石と反応する素材は色々あるんだけど、オレンジ色の鉱物で「日照石」ってこの世界の人が呼んでるものがあってね、その石に魔石が触れると発光するのよ。それを利用してランプを作ったことがあったみたいね」


「そこから発展して魔石文明でも起きそうなもんだが、まあ、理由は分かる」


「えっ?わかるの?まあ、いいわ……。それでね、ランプの誕生は偶然の産物で、とある集落に石を集めるのが好きな変わり者がいたの。

 ある日、日照石を見つけた変わり者は腰につけた袋にいれたわけよ。するとびっくり袋が輝きだしてね。それはそれは驚いたみたい。」


「発明家の伝記あるあるやね」


「で、家に帰ってから色々試すうち魔石とくっつけると光るってのに気づいてね、結果として魔道ランプの誕生となったわけ」


「ところがそれっきり発展しなかった」


「そう、ってわかったからその話はまた後にしてよ!

 ごほん!日照石を固定した箱の下に魔石をいれると石が輝く魔法のランプ、それが魔道ランプね。

 これがまた燃費が良くてね、そこらの魔獣から取ったちっさい魔石でも数年使えちゃうのよ」


「どういう反応で光るんだい?」


「魔石はほっといても微量の魔素を出し続けているのよ。

 人知れず死んだ魔獣が世界に還った後魔石だけ残ってるのもあれじゃない?

 だからじわじわ魔素を出してやがて魔石も還るように設定したのね。

 で、これが前提。日照石は魔石から出る微量な魔素と反応して光魔法を発現させる鉱物なのよ」


「なるほど、つまりみんな知らずに光魔法を使った魔法具を使ってたってわけね」


「そういうことね」


「魔石と反応する素材を使えば魔法の概念を知らなくても事実上魔法を発現できる、素材によっては水分や大気に干渉する魔法を発現させ、エアコンや冷蔵庫を作ることが出来る、そういうことね」


「うん、間違っては居ないわね。本来は素材という媒体に頼らない、所謂魔法的な事象に使って欲しいと思って設定したエネルギーの仕組みだったけど、未だそれは発展してないし、させる理由も見つからない。

 現状暮らしの役に立てにくい魔法より、そういう工業的な考え方のが魔力の利用を発展させやすいかもしれないわね……」


「工業的なものでもさ、いきなり難しいのは無理だろうと思うんだ。

 だから例えばさ、魔石の流れを遮断する仕組みを作って明かりのオンオフスイッチを作らせるところから始めてさ、後はザックやシゲミチ辺りを組ませて魔石と反応する素材を探させたりすれば、段階を踏ませれば上手いこと近代化の足がかりになるんじゃ無いかなって思う」


「おお!凄いわね!その発想はなかったわ!」


「でもさ、そうなってくると魔石の需要が高まってくるだろ?」


「そうね、肉だけではなく魔石を手に入れるためとなれば狩りの回数も増えるわね」


「そうそう、ただ、魔獣の森や女神の森はバランスがぶっ壊れてるので、大型の魔石が欲しくても狩人達に効率的な狩りはまだ酷だ。

 そうなると俺が分ける必要があるが、そんなのすぐに魔石不足に陥るわけで。

 それを考えると魔石の自給抜きでは、必要なものへの安定供給が出来ない環境では魔石文化の発展なんて不可能なわけだ」


「うっ……なんとなく魔道ランプ以降発達しなかった原因がわかってきたわ……」


「……(察したか)それでまあ、それを解決する策をひらめいたんだが、口で言うのも面倒なので後で資料作っとくわ」


「えっ?なによ、お預けなの?」


「んー、それを実現するにはまだ少し足りない物もあるし、もう少しこの世界の情報を集めたいからね。時が来たらまた相談させてくれよ」


「もっともらしいこと言っちゃって」


「まあまあ、それより今はホップのが大事だろ」


「そうね、この世界初のビールになるのよ。気合いを入れて取りに行きましょう。何なら今からでもいいわよ?」


「よかねぇよ!とっぷり夜だよ!お前の体力は無尽蔵かよ!」


「嘘ですすいません…腰がもう今日は辛いんです…」


「ですよね……俺も今日は腰がやばい…なあ、あまり女神様の力に頼るのもアレだと思うけど,これだけは助けてくれ…俺の布団に腰痛を治す加護を…」


「仕方ないわね…自分の布団に回復効果+5を付与するつもりだったからついでにやってあげるわ…」


「ありがてえ…ありがてえ…」


 こうして腰痛の危機は去り、穏やかな睡眠時間が訪れたのである。

 というわけで、この世界において住民からさほど意識されていない魔力と魔石の扱いと使い道について二人が語るお話でした。


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