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第三十五話 沼地の妖怪

 カッパのおっさん…もとい、タルットとぐだぐだと無駄なやり取りが続き今日はこのまま帰る羽目になるのかなと思った時、思わぬ所から助け船が入った。


「たるっとよ こぞうをからかうのは もうやめろ」


 小僧?ああ、俺のことか。って主の主だから主だって言ってたくせに小僧呼ばわりかよ。しかもそれをルーちゃんに言わせるって言う。魔物同士言葉が通じるかと思ったが、そんなことは無いんだな。


「ん?お嬢ちゃんどうした?あ、なるほど、なんやモルモルの代弁かいな。ちゅーか声をだせんだけで色々物思うところあったんやなあ……」


「うむ それはいまはおいておこう しかしだな われらはしょうじきなところ いちばんのりというあまいことばだけで るーさまのだんじょんに いくことにしたのだが あのだんじょん すごいぞ このちより ちからみなぎる よきところ」


 マジかよ俺も今知ったんだけど…RPGなんかやってるとダンジョンに居るヤツのがレベルたけーとか、亜種が発生して強くなってるーとか有るけどそういうアレなの?ダメ元で聞いてみるかね。


「…女神様よ、そういう事らしいんだが知ってた?おい、女神!聞いてる?ねえ!」


「え?えええ?あ?ああー、うん、も、もちろん…うん!しってた!」


 あっ こいつ知らなかったな……なんかびっくりした顔してるし。まあびっくりするよな、だって元は岩塩埋蔵したただの岩山だぜ?コアが産まれたり、魔獣が強化されたり凄くないか?


「えっあの嬢ちゃんとこ、そんな凄いとこなん?うーん、そうねえ…そう言われちゃうとねえ…ワイもここでこのまま腐っていくのはどうなんかなあ?って思ってたんよね。強くなるのんかーほーん、ええな、いこかな……」


 めっちゃ乗り気になってらっしゃる。こんなウザいおっさんがルーちゃんのダンジョンに湧くようになるのは正直嫌な感じだが、まあ…仕方ないか…あっ想像したらかなり嫌だなあ……。


「なんや兄ちゃん、めっちゃ嫌そうな顔しとるな?わかるんやで?ワイ、こう見えてセンチメンタルなおっさんやからな!傷つきやすいハートなんやぞ!?」

 

「センチメンタルの意味まちがえてっから!ナイーブとか言いたかったんだろうけど全然ナイーブじゃねえから!ナイーブハートどころかアーマードハートだろうがよ!」


「がっはっは タルットだけに…おお!今回は上手いこと言えたん違う?なあ?なあ?」


 ああ……やっちまった……またカッパのおっさんに絡んでしまった。だめだ、もう俺は暫く口を出さない。パンとルーちゃん達に任せて口を閉ざす!絶対にこのおっさんとつきあわねえ!


「たるっとよ くるなら なかまをつれて くるといい」


「そうねえ、でもほら、ワイってこう見えて人気者なのよね。勿論同族はいくつか連れてこ思っとるんやけど、マイニーンの娘達とか、ドリューンの連中とか、声かけて連れてこなーって思う子達沢山おるんやけど…ええかな?」


「ゆう たるっとこういってるけど いい? ルーちゃんみんなつれていきたい」


「ん?ルーちゃんが良いなら俺はなんも文句は無いぞ。」

 

 そもそもルーちゃんのダンジョンだ。ルーちゃんの権限でどうとでも出来るのだからルーちゃんが良いと思ったらまず入れてみれば良いと思うんだ。なのでその辺に口を出す事は無い。


「ただなあ、今ちょっと思ったんだけどさ、こいつら道中しんどくないかな?カッパのおっさんはまあ平気だろうけど、きっと沼人魚みたいなのも居るんだろ?這って行くことになると思うんだが…怪魚!みたいな魔獣とか確実に干物になるよね」


「そんな事で悩んでるの?」


 出たよこの、女神のびっくりして馬鹿を見るような顔。


「はいはい、馬鹿ですよ,何もわかってませんよー で、どう解決するんだ?パンえもん」


「誰が猫型ロボットよ。そう卑屈になりなさんな。思いつかないのは仕方ないんだから。こういうのは開発側の人間じゃないとそう気づきやしないからね」


「開発とか言うなや」


 なんて話してると周囲がやたら騒がしいのに気づいた。


 ガヤガヤとうるさい。うるさいってレベルじゃねえ!こんな沼地で何の騒ぎだ!?


 後ろを振り返ると沢山の魔獣、魔族、面倒くさいからまとめて魔物!


 魔物が沢山居た。なんだよこのスタンピード!ってくらいわらわらと居た。


 その中心に居るのがおっさんとルーちゃん(とモルモル)さっきの話を改めてしているらしい。


「てなわけなんやけど、このルーちゃんについてくー!って連中はどんくらいいるかなー?」


「私たちは行くわよ。ここより濃い魔素に満たされてるんでしょ?お肌によさそうだもの」


 この喋れる魔物はマイニーンとかいう魔族らしい。

 多少赤っぽい肌だが、結構美人で着るもん着てないから色々丸出しだ。

 見ちゃいけない!と思いつつもデレデレと眺めてしまうが殻に収まる下半身を見て我に返る。

 ああ、タニシの妖怪か……。


 他にもドリューンとかいうザリガニの妖怪、それに首が二つあるドジョウの妖怪、なんかデケエだけのヤゴの妖怪、旨そうな匂いがするエビの妖怪、ごついワニの妖怪と池の水抜いたら出てくるような連中がわいわいと話している。そう、話しているのだ。


「女神よ、カッパのおっさんは分かるんだが、妖怪達が普通に話してる気がするんだけど…?マイニーン?とかいうタニシの妖怪はまだ分かるけど、どう見ても喋れなそうなエビやザリガニの妖怪に、よく見たらモルモルまでやたら渋い声で喋ってんだけど?」


「え?ああ!まじだ!発生器官なんて無いはずなのになんで????」


 



長いのでわけました。続きは19時に。

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