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第二十九話 はじめてのけいやく

 さて、このスライム的な魔物、モルモルを家に連れ帰り、便利に働いてもらう為には使役させる必要があるわけだが、俺にはそのスキルが無い。


 そこで活躍するのがルーちゃん。魔獣スカウトスキルでモルモルを使役してもらって、いうことを聞かせようというわけだ。


「ルーちゃん、モルモル達にもおうちに住んでほしいんだ。お話してきてもらえるかな?」


「うん! おはなしするー!」


 たったったと、モルモルの群れに駆け込むルーちゃん。溶かされやしないかと、なんだか不安になるが可愛くともダンジョンコアだ。まずい事にはならないだろう。


 身振り手振りでモルモルと対話するルーちゃんだが、困った顔で戻ってきた。


「モルモルね おまえじゃ はなしにならんって いってるのよ」


 モルモルのくせに上のものを出せとか言ってくるのか……ううむ、難しい役目押しつけちゃってるな。


「えっと、じゃあ俺が一緒に行って話してやるよ」


 モルモルの所に向かい、直に交渉することにした。


「はじめまして、あっちに住んでいるユウです」


 モルモルに話しかけるの変な感じだな…… ルーちゃん、翻訳を頼むーと思ったら


「モルモルは モルモルだー っていってる」


 伝わってた


「ええと、うちに住んでもらいたいなあと思ってここまで呼びに来たんですが」


 ピョコピョコ跳ねるモルモル。発声器官が無いため喋ることはできないが、ルーちゃんには何を言っているのかがわかるらしく、モルモルさんサイドの言葉を代わりに話してくれる。


「それはきいた しょくの ほしょうは されているのか」


 難しい言葉知ってるな……! こいつら、見た目に反して結構賢かったりする? まさかそれでルーちゃんには伝わらず、上のものを出せーって言ったのかしら。


「ここではあまり食えない肉や野菜を出してやるぞ。モルモルはなんでも食うんだろ? 基本的に俺たちの”残り物”なんかの処理をして貰うことになるが、足らないなら別途やるしそれにな……」


 ちらりとルーちゃんを見つつ切り札を出す。


「この子、ルトはこう見えてダンジョンコアだ。今うちの近所に生まれたてのまだ誰も住んでいないダンジョンがあるんだ。どうだ、うちに来ればそのダンジョンに住処を作ることも許そう」


「だんじょん! われらが いちばんのりか! しかしそこのまじゅうにわるいな」


 クロベエの方を見てピョコピョコはねている。スライムっぽいくせに気遣いまで出来るのか……。


「いや、こいつは……クロベエは俺の息子みたいなもんで、うちに住んでるだけだから気にしないで良い」

 

「うん おれは ユウと一緒にくらしてるだけだ。ダンジョンとかどうでもいいぞ」


「ほほう! では! いや しかしな これはきいておくぞ そこはすみやすいのか?」


「私からも説明するわ。ダンジョンはダンジョンコアが思うまま生成されていくのよ。

 普通のコアはこうやって動くこともないし喋ることもない。だから中に住む貴方たちの事なんか考えず適当に生成されてるだけだし、そこを気に入った魔獣や魔族が勝手に住む感じね。

 でもね、ルーちゃんはモルモル達と話すことができる。こういうのが欲しいって言えばその通りやってくれるわよ? 例えば、この湿地のような場所だって作れちゃうわけ」


 ピョコピョコピョコピョコと飛び跳ねるモルモル達。やがて相談を始めたのか輪になって固まった。


「わかった われらは るとさまに したがう」


「急に様をつけて呼び出したぞ」


「るとさま だんじょんこあ あらたなすみかをくれる えらい われら なわばりふやしたい るとさま ありがとう」


「ユウ、わたしえらいの?」


「ああ、偉い偉い」


 と、頭をなでてやると腕をピョコピョコさせて喜んでいる。ふふ、可愛いなあ。


 どうやら話はうまくまとまったようだ。モルモル達は沼の群れから10匹ほど塩のダンジョン族として分かれる様だ。少なくないかな? と思ったが、そのうち適当に分裂して増えるらしいので問題は無いらしい。


「なかよしなかよし」


 ルーちゃんがモルモルの頭を撫でると付いてくる群れたちが淡く光った。


「ん、契約出来たようね。モルモルとルーちゃんの鑑定してみなさい」


 パンに促されスマホを見てみる。


=========================================

 

 名前:ルト

 職業:ダンジョンコア

 LV:5

 体力:5900

 魔力:5900


 スキル:人化 ダンジョン生成 魔獣勧誘 魔獣使役

 

=========================================


 使役が増えていた。なるほど使役に成功して付与されたのかな?勧誘だけじゃ言うこと効かないだろうからありがたいな。


 次にモルモルを見てみる。


 名前:モルモル

 職業:モルモル(塩のダンジョン、ユウの家)

 LV:2

 体力:128

 魔力:150


 スキル:溶解 吸収 



 なるほど、職業欄に生息地が表示されている。これは今までになかったな。


「使役されたことにより固有ポップ地が定められたからね。」


「固有ポップ地とな」


「基本的に魔獣は産まれた後は自由だから、適当に好きなところに住んでいるのよ。例えばさっきも言ったけどフラリと入り込んだダンジョンが気に入ればそこに住み着いたりね。まあ、大体が生まれた森の周辺で暮らすんだけどね」


「サハギン的なのが森を好んで住むとは考えられんしな」


「うん、そういうこと。でね、例えばそのサハギンが砂漠に迷い込んで死んだとしましょう。その場でポップ……リスポーンと言ったほうがわかりやすいかな? そんな事になったらまたすぐ干からびて死んじゃうでしょ?」


「砂漠がリスキル干物工場と化してしまうな」


「干物工場て……ごほん、でさ、そうならないように私も考えたの。死んだら産まれたところでリスポーンするようにすればいいじゃんって。

 だからほら、女神の森のラウベーラみたいに本来そこに居ないものが無限湧きして生態系が変わるってことも起きないわけよ」


「じゃあさ、つがいのラウベーラが女神の森ではげみまくっちゃったらどうなるの?子の代からはそこがポップ地になっちゃうんじゃ」


「あっ」


「ガバガバだな!」


「……ま、まあほら! 時代とともに魔獣の種類も変わるから、周辺の人間たちも色々開発したり討伐したりして努力しなさい! ってことよ! ね! あ、そうだ! そうよ! あんたを呼んだのはそういうこと! ほら! ほら!」


「取ってつけたかのように俺を出しよってからに……って、話が脱線したな」


「そ、そうね。ええとそうそう、固有ポップ地ね。本来モルモルはこの湿原をはじめとした各地の湿地帯がポップポイントとして指定されているんだけど、この群れだけは塩のダンジョンとあんたの家が新たなポップ地として指定されたわけね」


「つまり何かあってこいつらが死んじゃってもうちやダンジョンでリスポーンするわけか」


「そういうこと。何度も迎えに来なくて済むわけね。ちなみに普通のダンジョンだと魔獣や魔族が気に入って住処と認めた瞬間に契約されポップ地になるの。あとはそこで繁殖すればそのダンジョン固有の種に進化したりもするわねー」


 そういう話か。しかし、うちもポイントとして登録されてるのが気になった。多分俺たちが家でモルモルを使うという話をルーちゃんが聞いていたからだろうけどさ。


 ……家もコアであるルーちゃんの居場所だからダンジョンの一部として登録されてしまう、とかだったら今後困るな。嫌だぞモンスター版どうぶつ王国なんて!これは後でちゃんと確認しないとな。



 

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