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第二百七十八話 ルーちゃん……ルーちゃぁああああん!!!

 あれよあれよという間に企画された釣り大会。本日は私ユウと、クソみたいな駄女神!パンの二人でお送りいたします。


「クソみたいな駄女神ってなによそれ!」


「何度も言うとおり、やたらと俺の心を読むのはやめなさい!辛いのはお前なんだぞ!」


「だから変なこと考えるのやめろつってんでしょうが!」


 はい。

 

 と言うわけで、我々は今アルミボートに揺られ湖上に居ます。目指すはルーちゃん達の元。


 ゆっくりゆっくりと進む船上から参加者達の活躍が見えますが、まあどうでも良いことでしょう。

 

 亀たちのチームが必死に何かアピールしてますが、無視です。そんなことしてる暇があったらどんどん釣りなさいな。ナベゾコ村は良いとこだけど、現状珍しい景色が見られる以上の目玉がないんだから!


 優勝賞品で村おこしじゃー!とか燃えてほしいものです。


 応援はしませんが。


 しかしルーちゃん達の姿が見えないな。子供達も向かったから結構賑やかな感じになってると思うんだけど……。


 と、ざっぱぁあああああああああんと、派手な水音が聞えました。


 誰か落ちたか!?いや、何か巨大魚が跳ねたか?


 音の方に船を向けるとそこには…………!


 何か大きな魚を見て興奮したらしいリバイアタンが人化を解いて魚と戯れている姿が!


「こらあああああああああ!!!」


 船を寄せ、リバイアタンを叱るとのそっと水面からキラキラとした目を向けてきやがりました。


「ユウ!ここの水は良いな!気に入ったぞ!私もここに住む!」

「うるせえ!さっさと人化して船に戻れ!次やったら退場の上、土に埋めてやるからな!」


「っく……!お前はこんなにも綺麗な水を前に……そんな酷な事を……!」


「一発退場じゃねえだけありがたいと思え!ハンナ達が気の毒だから許したんだからな!」


「むうう……では大会が終わった後、ゆっくり堪能させて貰うとしよう……」


 あんまり湖を荒らすような真似はされたくないんですけどねえ……。


 ていうか、この周辺は暫く釣れないでしょうな。あんな食物連鎖の頂点みたいなイキモノがすいすいと泳ぎ回っちゃったわけですから……。


「龍族ってもっと賢いと思ったんだけど、リバイアタンはなんかこうお前っぽい感じだよね」


「なによ!遠回しに『馬鹿』っていうのやめてくれない?リバイアタンはダンジョンの龍とはまた違うからしょうがないんじゃないの。知らないけど」


 また適当な。


 確かにまあ、水のダンジョンには何故か龍が居なくって、その代わりに海で捕らえたリバイアタンを押し込んだわけだから1匹だけアレなのは頷けるんだけど、そうなるとなんで水龍がいないんだ?っていう話になるんだよなあ。


 うーん、この世界適当すぎていつかとんでもない何かが起きるんじゃ無いか……?

 その時までには地球におさらばしてしらんぷりしよーっと。


 巨大な水音を聞き、大物と勘違いした亀たちがこちらに向かってくるのが見えますね。


 よし、今度は島の方を見に行こう。


 プカリプカリ、スイスイとキレタル島に向かいますと、桟橋にボートが何隻か係留されているのが見えます。


 そしてわいわいと釣りを楽しむルーちゃん達の姿が。なるほど、居ないと思ったら島にきていたわけですね。


 島周辺の湖底は、ややなだらかなスロープ状になっていて徐々に水深が深くなっていきます。

 適度に水草が生えているほか、水が湧くスポットもあるので良いポイントなのです。


 それを知ってか知らないか、ここに場所を取ったルーちゃん。見ればそこそこ獲物をキープしてるようで流石と言えましょう。


「おーい、ルーちゃん、みんなー」


「あ、ユウー!ママー!」


 ルーちゃんがぶんぶんと手を振っているのが見えますね。少し離れた場所で釣りをしていた子供達もワイワイと集まってきました。


 船を桟橋に着け、インタビューをしましょう。


「さて、調子はどうだね、君たち」


「うん!この島いいね!遠目にライズが見えたからベイトが多いのかな?って来てみたらあたりだよ。シャローをクランクでコツンコツンってやってるだけでどんどん釣れるし、ディープにラバジグを投げ込んでるウーサーさんやリリィさん達も50アップをどんどん上げてる。凄いねこの島!さっきハチマルが泳いでるのが見えたから、どうアプローチするか悩んでたとこだよ」


 …………。


(パンさん!パンさん!なあにこの子?本当に僕らのルーちゃん?)


(知らない!私はなあにも知らない!)


(うそをつくなメガミ!そのDVDはなんじゃ!)

(っく!だって……ルーちゃんに勝って欲しくって……!)


(……まさかマジでバスプロのビデオ化なんか見せちゃったわけ?)

(あっ!……ずるいわよ誘導尋問するなんて……!)


「ユウ?ママ?なにひそひそ話してるの?」


「え?えええ?いや、何でも無いよ!ほら!あそこ今なにか跳ねたよ!」


「んん……んー、あれはあんまり大きくないね。まあいいや、じゃちょっと向こうでアシ際狙ってくるね!」


(……)

(……)


(ルーちゃんに活躍して欲しいのはわかる、わかるがその……)

(わかってるわよ!私もまさかあんな染まっちゃうなんて!)


 ルーちゃんは釣りに興味を持っていたみたいだったので、そこそこやるのでは無いか、準女神と呼んで良いレベルで加護を使いこなすルーちゃんならいい線行くのでは無いか?そんな風に思って居ましたが……、まさかいつの間にかどっぷりハマって居るなんて思いもしませんでした。


 だめですねえ、目を離すと子供って奴は直ぐに成長しちゃって……。


 いやほんとダメだろこれ!

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