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第二十七話 このダンジョンコアかわいい…

「ええ……?職業ダンジョンコアってなによ……」


 俺のとんでもない呼びかけにすっ飛んできた女神は逆に問いかけてくる。


「そりゃ俺が聞きたいよ。この子なんなの誰の子なの?どっからきたの?」


「誰の子って……うーん…ちょっと待って周辺の様子を探ってみる」


 そのやり取りを不思議そうに見ている幼女だが、一番不思議なのは君だからね。俺の袖を引っ張りスープのおかわりをねだるその姿は普通の幼女にしか見えないし、とっても愛らしいけど、君ダンジョンコアだからね?不思議幼女だからね?


 俺から受け取ったおかわりををはぷはぷと飲むのを目を細めて眺める。


 かわいい…いやいやそういう趣味はないからな!可愛いものを見て可愛いというそんな感想だからな!なんつうかほれ!娘がかわいいなあ!とかそういうアレだ。うむ、健全だぞ!


 誰に言うでもなく弁解していると


「わかった!」


 と、パンちゃんが叫ぶ。思わず「ごめんなさい!ゆるして!」と謝ってしまった。


「?何に謝ってるのよ。わかったわよ、この子の正体が」


「まじか!で、なんなんだ!?ダンジョンコアなのはわかってるからそういう答えはするなよ!」


「……この子の親はあんたよ。間違い無いわ」


「はあ??????身に覚えが無いっていうかどうやったらダンジョン孕ませられるんだよ!」


「何変なこと考えてるのよ……ほら、あんた岩塩の採掘したでしょ」


「うん?そういえばそんなこともあったね」


「あの時張り切りすぎて岩山に大穴開けちゃったじゃないの、ここを塩の洞窟として末永く言い伝えさせよう!なんて言ってさ」


 そんなこともありました……ううん、この流れは……


「その洞窟にうまいこと流れ着いた魔素が溜まってしまって洞窟にコアが産まれダンジョン化。

 さらにスマホから滲み出て残留していた私の加護と相まってコアに肉体が授けられ知性を持ってしまったようね。

 つまりきっかけを作ったのはあんた。塩のダンジョンの親はあんたってことね(たぶん…)」


「その理屈だと加護の元であるお前も親なんだが?つか多分って何だよ…聞こえたぞ!」


「多分とか言ってないわよ…!ってか!その理屈だとあんたと夫婦みたいで嫌なんだけど!」


「俺だってやだよ…寝屁する女神なんて…」


「…な!だ、だれがいつ!寝屁なんてしたのよ!女神はトイレなんて行かないのよ!?」


 やいやいと言い合ってると幼女が袖を引く。スープのおかわりか?と思ったが、どうやらケンカをしているのが嫌なようだ。


「はあ、わかったよー。なあパン、この子名前が無いんだけど俺がつけられたりするのかな?」


「そうね、本来親を持たない者の命名は神である私の役目なんだけど、きっかけとなった貴方にも命名権が付与されてるわ。まあ、親だしね……。せっかくだからつけてあげなさいよ」


「そうだなあ、塩のダンジョンだから…しお…しおり…ううん、いや、ソルト…ルト…うん、ルトにしよう。この子の名前はルトだ!」


 そう決めた瞬間、幼女が淡く輝きだした。


「私の祝福がかかったようね。これでこの子は今からルト。名がついたことにより止まっていた成長が始まるわ」


 そして……


「…る…と?」


「しゃべったああああああ?はやくね?突然じゃね?」


「成長が始まったって言ったでしょ。ダンジョンコアが人化するって聞いたことないっていうかそういう設定にしてないからどうなるか分からないけど、普通の人間より色々優遇されてるはずだし当然よ。(たぶん)」


 やべえ神すら未知の存在かよ。また多分っていってるし。まあ、それはおいといて。


「うおおおルト!ルトちゃん!ルーちゃん!俺はユウ、お前のお父さんだぞ!」


 抱き上げすりすりしようとするとパンに取り上げられた。


「ごめんねー 気持ち悪かったねー 私はリパンニェル!お母さんよ!」


「りゅ…?ぱん・・ ぱん!ぱん!」


 やっぱりパンって言われてやんの!


 ぐぬぬと悔しそうなパンだが、何か譲れないものがあるのか頑張っている。


「お母さん、が難しくて言えないのね?ママよーマーマ!」


「まーま?まーま!」


「そう!まーまよー!えらいわねー」


 めっちゃメロメロになっておる…… 可愛いもんな…


「おれはクロベエだよー お兄ちゃんだよー」


 さり気にクロベエが兄貴アピールをしている。おまえ俺の子だったのか……


 全裸なのは可哀そうだが、普通の服を作る素材はまだ持っていない。俺の上着を着たままってのもアレだしどうしたもんか困っていたが、気づいたらルーちゃんは綺麗な白いワンピースを着ていた。


「お、なんだルーちゃん、名がついたから服が生成されたの?」


「馬鹿じゃないの?そんなわけないでしょー 私が今地球から買ってきたのよ」


 ……そういうチート能力は俺にこそ付与されるべきであり、神が軽々しく使っていいもんじゃないと思うんだけどな…… そういやビールとか取り寄せてたな… 今度優しくして煽てて色々買ってもらうか…


「なによ、なんか悪いこと考えてるでしょ?」


「え?ルーちゃん可愛いなあって」


「ふうん、まあいいわ。あらールーちゃんリボンも似合いましゅねー」


 すっかりデレデレになっておる。おかげで企みがばれずに済んだぜ。

 

  ◇


 小一時間ほどルーちゃんと遊び…もとい、調べた。女神すら未知の部分もあるが、ステータスを覗いていたパンが説明してくれた。


 ルーちゃんは塩のダンジョンのコア。

 

 魔獣は今はいない。通常のダンジョンであれば勝手に住み着くのを待つだけだが、ルーちゃんなら自ら迎えに行くことが出来るため、その気になれば自ら選んで住人を増やせるだろう。


 ルーちゃんはダンジョンに居る必要はなく、寧ろ外に出て見分を広めた方が成長が早まってよい。


 ルーちゃんはかわいい。


 っと、俺もステータスを見てみよう。


=========================================

 

 名前:ルト

 職業:ダンジョンコア

 LV:3

 体力:5800

 魔力:5800


 スキル:人化 ダンジョン生成 魔獣勧誘


 =========================================

 おーすげー!小一時間ほど遊んだだけなのにLV3になってる!なんで?


「私たちと話したり、スープを飲んだりして”経験”を積んだからね。別に魔獣を狩ることだけが経験じゃないからね?ルーちゃんの場合は人としての日々の生活も立派な経験。そして生まれたてでなんでも吸収する今は成長が早いのよ。今話してた内容から「勧誘スキル」が芽生えてレベル上がったんじゃ無いの?(たぶん)」


「なるほどね、でも見た目はそれほど成長してないな。」


「うーん、そうね。私もこんなの想定外だからわからないけど、見た目はそんな急に成長するものでもないのかもしれないわね」


「まあ、俺としてもそれはありがたいな。かわいい時期があっという間に終わるなんて嫌だぜ!」


「それに関しては同意するわ!」


「おれも このルー すきだぞ!」


「るー も!みんな しゅき!」


「「「るーちゃああああああん」」」


 あっというまに打ち解けてあっという間にメロメロである。


 

 突然家族が増えてしまったが、可愛いのでいいことにしよう。



 

 


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