第二百六十話 ユウ、やらかしていた
塩のダンジョン出入口前と、ウサ族の里にそれぞれ『商業ギルド』が存在し、商売のためダンジョン内に入る人々を管理しているってのをまあ、わすれてたユウなんですが。
まずいことにウサ族のキリちゃんに案を出してリットちゃんをギルマスとして立ち上げたのが『商人ギルド』ああ、これめっちゃややこしくね?っていうか俺が忘れてたわけだしどうすんだこれ!ってなってるユウなんですが。
忘れてたもんはしかたねーよ!と逆ギレしつつも、なんとかしないと将来的に『商人ギルドvs商業ギルド』みたいな意味わからん争いが勃発するかもわかりませんので、統合したり改編したりしちゃおうと思います。
口で言ってしまえばアホほど気軽なもんですが、ギルドからすれば何してくれとんじゃ!レベルでありえん提案だと思いますが、知るか馬鹿!
流石にいきなり完全に統合するのは無理がありますので、先ずは簡単なカードの統合化から。
ダンジョン内の『商業ギルド』は、そもそもがウサ族の里の連中がせっせと作る商品をお外で売るために作られたもので、村長であるウーサー・ウサドラゴンがギルドマスターとしてとりまとめていた……気がします。
具体的に言うと、製紙業、製糸業、醸造業……などなど、ダンジョン内で何らかの製造をしている連中が登録し、製造数や出荷数を管理しているはずです。
もう一つの業務として、ダンジョン外、つまりは各村からやってくる商人の管理も請け負っています。これは単純に商人用の転送システムを使用するために使うカードの発行と、その登録。
実際に商人をダンジョンに登録するのはルーちゃんの力を使った魔導具の自動処理なのですが、登録の際に名簿に名前や情報を記載してもらうようになっています。
なので、実際には『商業ギルド』と『商人ギルド』は名前が似ているだけの別物。メイクイーンとメインクーンみたいなものなのです(暴論)
これは完全に俺のやらかしなんですが、まあ先に行った通り逆ギレして改編します。
まず、単純なところをまとめます。
ダンジョンに出入りする時に使うカードを『商人ギルド』の物と統合し、商人たちとの取引に関わる帳簿は『商人ギルド』の管轄として管理することにします。
地上の管轄はリットちゃんがギルマスを務める『商人ギルド』で、ダンジョン内の管轄は商業ギルドから分割して新たに配置する『商人ギルドダンジョン支部』に任せます。
こうすることによって、商人たちはカードが1枚になってスッキリしますし、商人ギルドはなんもせずそのままで済みますし、商業ギルドとしても部署の名前が変わるだけなので特に面倒なことはないでしょう。
今後商人たちはダンジョンに入る際、提示するカードが『商業ギルドカード』だった場合、簡単に統合の説明を受け、旧カードは破棄され、商人ギルドカードを持っていればそれを転送門のキーとして登録、持っていない場合はその場で代理登録がされ、商人ギルドカードの発行と簡単な説明を受けることになります。
さて、問題は『商業ギルド』なんですが、これは名前を変えないといけません。
なので取り敢えずは『製造ギルド』という名前で活動してもらうことにします。将来的に職人の人口が増えればそこから『鍛冶師ギルド』『醸造ギルド』『薬師ギルド』とかに適当な具合に分裂すればいいのです。
まとめると
旧商業ギルド製造部→『製造ギルド』
旧商業ギルド商人管理部→『商人ギルドダンジョン支部』
こんな具合に。先に存在していた商業ギルドが割を食う感じになりますが、リットちゃんとウサ族を天秤にかけるとリットちゃんが勝るので仕方がないのです。
ドヤ顔で『ふうん?商人ギルドなんてどう?』と言った手前バツが悪いとかそういう理由ではないのです。
ちがうのだ!
という経緯をお手紙にしたためまして、ウサ族メール便を呼び出してダンジョンに運んでもらいました。リットちゃんとその秘書のキリちゃんには直にお話をしまして、了承を得ましたので、これで胸のつかえがなくなった感じがしますね。
「ユウさんあれでしょ、これ絶対商業ギルドの存在わすれてたでしょ?」
「ちがうのだ!」
「なんで商業ギルドがあるのにわざわざ商人ギルドっていう似てるのを作るのかなあ?って不思議だったの」
「言ってよお!」
取り敢えず後はもう知らん!どんどん何かを思いついてどんどん勝手にやらかしてどんどん発展していって下さいな。っていうと投げやり感凄いけど、俺はあくまで誘い水。その後の流れはこの世界の住人達のお仕事であり、そのお水が何処へ流れようと俺は見守るだけなのです。
氾濫してひどいことになりそうであれば流石にアドバイスをするけれど、それも俺がいる間しか出来ないからね。俺抜きでもうまく周るように頑張って欲しい。
さてー、これでようやくお仕事終わりだろう。
今日は村で一泊して、明日朝出発をしましょう。
はじまりの村からリューツー村まで魔導車で休憩を挟みつつ行って8時間。平均時速40kmくらいなので、300km前後でしょうか。
リューツー村からナベゾコまでが1時間位なので40km程度。
リューツー村からコハン村まで、これもだいたい8時間くらいです。開拓しながら走ってた時は倍以上時間がかかっていたため、かなり長い旅をした気がしましたけれど、舗装してしまえば速いですね。
はじまりの村からコハン村まで車で一泊二日の距離。旅としてはなかなかいい線いってるんじゃないでしょうかね。
とは言え、コハン村って実は春の大地の真ん中あたりなんですわ。そっからさらに北はまだ未開拓地なので、落ち着いたらまたそっち行かないといけませんよ。
面倒だからウサ族に任せて……ダメカナ?




